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デジタルネイティブを取り巻くコミュニケーションの姿とは?――ネット時代の文化人類学

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文化人類学がわかる! 高校生のための3冊

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西太平洋の遠洋航海者 (講談社学術文庫)

著者/訳者:ブロニスワフ・マリノフスキ

出版社:講談社( 2010-03-11 )

定価:¥ 1,418

Amazon価格:¥ 1,418

文庫 ( 448 ページ )

ISBN-10 : 4062919850

ISBN-13 : 9784062919852

文化人類学の魅力を知ってもらうには、やはり骨太の「民族誌」をじかに読んでもらうのが一番だと思います。マリノフスキー『西太平洋の遠洋航海者』の原著は1922年。90年以上も前の著作で、たしかに時代を感じるところもありますが、市場原理が強まる現代社会において、ヒトが「交換」することの意味を改めて問い直す強烈なインパクトをいまだに持っています。

市場原理に対抗あるいは補完する意味合いで、相互扶助、贈与、互酬、絆などの概念がコミュニティ、地域社会、ネットワークなどとともに語られることがありますが、本書を読めば、現在における議論の多くがいかに底の浅い空論かがわかると思います(あるいは、そうした議論をする人たちは、まず本書を読んでからにしてほしいと思っています)。(この学術文庫版は原著の抄訳で、かなり割愛されているので、関心を持った方は原著を読んでもらえればと思います。原著はインターネットでオープンアクセス可能です)

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悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)

著者/訳者:レヴィ=ストロース

出版社:中央公論新社( 2001-04 )

定価:¥ 1,523

Amazon価格:¥ 1,523

単行本 ( 339 ページ )

ISBN-10 : 4121600045

ISBN-13 : 9784121600042

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悲しき熱帯〈2〉 (中公クラシックス)

著者/訳者:レヴィ=ストロース

出版社:中央公論新社( 2001-05 )

定価:¥ 1,628

Amazon価格:¥ 1,628

新書 ( 449 ページ )

ISBN-10 : 412160007X

ISBN-13 : 9784121600073

『野生の思考』に触れた以上、レヴィ=ストロースの著作を紹介しないわけにはいかないと思います。難解な理論に入る前に、まずは、『悲しき熱帯』(原著は1955年刊)を読んでもらえたらと思います。この作品は、レヴィ=ストロースの文学的感性が強く表れており、まさに「野生(フィールドを生きる)」としての人類学のダイナミズムを実感してもらえるのではないでしょうか。

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インボリューション―内に向かう発展 (ネットワークの社会科学)

著者/訳者:クリフォード ギアーツ

出版社:NTT出版( 2001-07 )

定価:¥ 2,625

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単行本 ( 315 ページ )

ISBN-10 : 4757140312

ISBN-13 : 9784757140318

マリノフスキー(イギリス)、レヴィ=ストロース(フランス)ときたので、アメリカ人類学の巨星としてギアーツを紹介しましょう。文化人類学という学問領域全体への影響を考えると、『文化の解釈学』(1987年、岩波書店)、『ローカル・ノレッジ』(1991/1999年、岩波書店)をまずあげるべきところですが、現在でも翻訳が比較的入手しやすく、なおかつギアーツの議論がもつ奥行きの広さ、深さを知ることができるという意味で、『インボリューション』を薦めたいと思います。

これは、インドネシア・ジャワ農業を主題として、可耕地に限界があるなかで、労働投入を増大させることによって産出量の増加を実現しようとした内向的発展について議論していますが、同様の傾向が日本社会にも認められ、ギアーツは日本との比較も行っています。原著は1963年と半世紀前の著作ですが、現在もこの「インボリューション論」は論争の対象となり、新たな研究を生み出す原動力であり続けており、皆さんにとっても優れた知的刺激となるはずです。

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科学が作られているとき―人類学的考察

著者/訳者:ブルーノ ラトゥール

出版社:産業図書( 1999-03 )

定価:¥ 4,515

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単行本 ( 473 ページ )

ISBN-10 : 4782801211

ISBN-13 : 9784782801215

インタビューのなかで、人類学者は、「異なる次元にある要素間に結びつきを見いだし、複雑に入り組んだ人々、社会、文化のあり方を解釈し、理解し、記述しようと努める」と言いました。この時、念頭においていたのが、ラトゥールの『科学が作られているとき―人類学的考察』です。

ラトゥールは、科学技術人類学と呼ばれる比較的新しい分野を開拓した中心的研究者で、上記のような観点からの「科学」というものが、科学者、研究対象となる自然、実験装置、実験データ、解釈、学会、論文、研究助成機関などさまざまな次元にある多様な要素がいかに結びついて作られるダイナミクスを理解し、記述する枠組を提示しました。「科学」を対象とする新しい人類学の方向性を感じ取ってもらうことができればと思います。

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デジタルネイティブの時代 なぜメールをせずに「つぶやく」のか (平凡社新書)

著者/訳者:木村 忠正

出版社:平凡社( 2012-11-17 )

定価:¥ 840

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新書 ( 256 ページ )

ISBN-10 : 4582856608

ISBN-13 : 9784582856606

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木村忠正(きむら・ただまさ)

文化人類学

ニューヨーク州立大学バッファロー校、東京大学大学院総合文化研究科にて文化人類学を専攻。東京都立科学技術大学、早稲田大学などを経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。Ph.D. Yale大学客員研究員、CS朝日ニュースター「ニュースの深層」キャスター、総務省情報通信審議会専門委員などを歴任。主著に、『デジタルデバイドとは何か』(岩波書店、2001年、日本社会情報学会優秀文献賞、電気通信普及財団テレコム社会科学賞)、『ネットワーク・リアリティ』(岩波書店、2004年)、『デジタルネイティブの時代』(平凡社、2012年)などがある。

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