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  • 煎茶

日本の言論人の無能さ

無能って言ってもいろいろあるわけだけれども、少子化が進行する、という未来予測を回避する政策提言を出来る人が全然いなかった、という意味ですね。

これはかなり致命的だったと思います。

「だった」と過去形なのはもう、日本はすでにやばいところに来ているからなわけですが。

私自身、少子化対策について多少なりとも考えるようになったのは5,6年前くらいで、ブログに書き始めたのも2年くらい前からですから偉そうなことは言えないけど、それでも言論で食っていっている人が少子化を改善しようという提言をほとんどしてこなかった、というのはちょっと呆れるほかないな、と思ったりします。

それを言うなら政治家や官僚もそうだろう、という話もあるんですが、そこら辺は本記事の趣旨とはまた別の話です。

まあ、日本人のほぼ全員がバカだった、ということなのだけれども。

もちろん、賢い人はいるし、バカだって賢さを発揮する瞬間や局面はあるわけで、こういう記事を書いている私だって、生きている時間の多くをバカとして生活しているのだけれども、それでもこうまで破滅に突き進んでいく日本社会を放置し続けてきたのは「バカ」で「無能」と指摘せざるを得ないんじゃないか、と思うわけです。

短絡的な物言いであることは承知しているけど、それでもちょっと、ね。

少子化して何が困るかって話になると、世の中の大抵の人は労働力が足りなくなる、という方向で考えます。

だから移民で…って話が出てくるんだけど、労働力は足りています。

余っていて労働力の価値が低いから労働ダンピングまでやっている。

こんな状況で移民を受け入れても、食えない人間が増えるだけです。

よく3K職場に日本の若者が集まらない、という話も聞きますが、待遇がよくなれば集まりますよ。

単純に日本語ネイティブの市場規模が小さくなる、ということのほうが問題です。

たとえば国内市場しか相手にしていない産業でも、小売、外食、教育、医療、インフラ、レジャー、法務……ここら辺なんかは日本社会の構造そのものを効率化すれば何とかならないこともないと思います。

撤退放棄する地域自治体を選定して、住民の集住化を促進し、日本全体の都市化を強烈に推進すれば。

これもまたずいぶんな無理筋ですけどね。

もちろん、産業構造がどういうふうに変化していくかは定かではないから、技術革新の進捗具合によってはアウトな産業はいくらでも出てくるでしょうし、実際、小売はかなり危機的な状況にあります。ただ、少子化による衰退が必然だとしても、社会の効率化によっては盛り返せないこともないかもしれない。教育も生涯学習を一般的なものにすれば市場を拡大できる可能性もないことはない。

非常に困難な道程ですけどね。

つまり、一応、少子化によって人口が減少しても、ライバルとなる同業者も減少するから、それで需給のバランスを取ろうと思えば取れる可能性がある。

まあ、実際できていないから、地方はいまどんどん衰退していっている最中なわけですが。

でも、放送、出版などのメディア関連産業って地域コミュニティ相手の商売じゃなくて、大衆=マスを相手にする商売で、社会構造をどんなに効率化しても、人口が減ることによるダメージを軽減することがまったくできない。(それとは別に産業構造の変化という意味でネット時代の到来で一番ダメージを被ったのも彼らだと思いますが、人口構成と人口規模の変化に限定した話でも)

特に言論人や小説家なんて日本語話者が減ってしまったらどんどん自分の著書を買う人が減っていくのは目に見えていたはずなのにね。

何がどう転んだって、少子化してダメージを受けずにいられないのに、少子化を「前提化」「既定路線化」した議論しか出来ず、それを改善しようという議論をほとんどしてこなかった。

少なくとも私の知る限り、論壇知識人達の著書を読んでいて、少子化を改善すべくどうにかしよう、というような提言を継続的に行っていた人は皆無だった。

多分、少子化って、イデオロギーの対立とはまったく関係のないところで進行していたから、価値観でしかものを考えられない人たちには中核的な問題として認識できなかったのだと思います。

一番困るのは自分たちなのに、それを是正すべく努力を払わなかった。

そういえば、このブログでも少子化問題についての記事を書くと、「左翼が寝言をほざいている」「こんな右翼的な世の中じゃ無理」的なコメントが寄せられて、それらに多くの支持が集まった、ということもありました。

価値観や党派性でしか物事を考えられない人が多すぎます。

それが楽なのはわかるんだけど、それって自分でものを考えていない、と表明しているのと変わらないですよ。

インターネット時代になって、誰もが情報を発信できるようになり、政治や社会に関する様々な言説が世に飛び交うようになりましたが、その多くは感想コメントでしかありません。

2chやツイッターやはてなのコメントは参考になるものも多いけど、大きな現象があって、その感想考察批評を言い合うことで何かを考えた気になっている人がほとんどではないでしょうか。

感想考察批評記事自体が大きなアクセスを集め、感想考察批評される、という現象もよく観察されるしね。

感想を言うことで、誰かの感想を読むことで、その時々の問題に決着をつけたつもりになることはできるかもしれないけど、そこから以後の自分の人生や社会のあり方を変革していくような思考には結びついていない。

そういう回路が日本人には生成されていないんじゃないか、ということをちょっと考えてしまいます。

多分、それはネットが始まる以前、言論人と呼ばれる人たちもそうだった。

報道されるニュースに見解を示すことが仕事で、時には常人には及びもつかないような洞察力を見せる人たちもたくさんいるけど、でも、報道されない現象を問題意識の中核に持ってこれる人がどれだけいたのか。

国家が打ち出す政策への評価や賛意、批判を示すことや社会的な事件の論評が主で、自分たちで制度論を組み上げようという活動をしてこなかった。

それでも、たとえば原発問題などが問題意識の上位に上がってこなかった、というのは理解できないこともないんですよ。

放射能で国土が汚染されたって生きていけないことはないし、原発の運用実態や危険性の認識にしたって、その把握程度、予測には専門家の間ですら大きな開きがある。

今でも問題ない、ガンガン推進すべし、という人がいるくらいですしね。

今話題になっている秘密保護法案もその運用予測を正確に立てられる人はいないと思う。

でも、少子化って普通に考えていけばこうなる、という予測が誰にでも容易に立てられた話だと思うんですが、それを解決すべく、まともな提言をする人はなく、注目を集めることもなかった。

大衆がバカなのは仕方ないとは思うんだけど、知識人もバカだった。

イデオロギーや価値観の延長、その枠内でしか物事を考えられない人たちばかりだった、というのは今更ながらにあきれずにいられません。

今からでも、抜本的な少子化対策を政策の優先順位の最上位に持っていけるよう、知識人の方々には結束していただきたいものです。

日本語を喋れる人が減って一番困るのはあなた方とその周辺の方々じゃないですか、と。

関連記事:価値観に囚われない思考のあり方
関連記事:時代にレッテルを貼って処世術を説くことが知識人の仕事
関連記事:移民論者は何を考えて移民を主張するのか

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