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介護保険は保険ではない ケアマネジャーと上手に付き合う方法 - 藤尾智之

30代~40代は子育て世代なのでそれだけでも大変でしょうが、両親の介護もゆくゆく直面する問題になります。ご両親が急に倒れて介護が必要になった場合、ひとまずは地元の地域包括支援センターに駆け込んでください。何をすれば良いか丁寧に教えてくれます。問題はそれ以降です。

入所サービスと居宅サービスの使い分け

入所サービスは、特別養護老人ホームやショートステイ(短期入所生活介護)などのことです。居宅サービスは、デイサービス(通所介護)やヘルパーサービス(訪問介護)などのことです。介護保険は保険ではない「親の介護は老人ホームにお願い」は甘い考え 介護保険を考える(1)で書いたように特別養護老人ホームへの入所は困難を極めるので、一般的には入所サービスのショートステイと居宅サービスを組み合わせて介護保険を使うこととなります。

要介護度は、市町村から送られてくる介護保険証で確認します。その保険証には、1か月間に使える単位(クーポンのようなもの)が記載されていますので、その単位内で利用したいサービスを組み合わせて限度単位を超えないように使っていきます。

ケアマネジャーの役割

サービスの組み合わせとは、介護を必要としている高齢者一人ひとりに介護サービスをカスタマイズすることを言います。ここで活躍するのはケアマネジャー(介護支援専門員)です。ケアマネジャーは、地域に点在している介護事業所を把握している一方で、高齢者がどんなサービスを必要とするのかを理解しています。ケアマネジャーの初めの仕事は、高齢者や家族から需要を聞きだして、供給先である介護事業所をアテンドする仕事となります。

ケアマネジャーはこの需要と供給とのバランスを取りながら、介護計画を作っていきます。この介護計画はケアプランを呼ばれるものですが、この作成料として、毎月1万円くらい国からもらえます(私たちの支払いはありません)。ケアマネジャー一人が作成可能なケアプラン数は、せいぜい40人~50人くらいです。このことから、1か月に稼げるお金は40万円ほどです。家賃を払ったり、水道光熱費を払ったりと経費を差し引くとあまり儲かりません。独立系ケアマネジャーの数が少ないのはこのことが原因です。

ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所として看板を出して営業を行います。しかし、多くのケアマネジャーは収入が少なく経営が成り立たないので、ヘルパー事業所やデイサービスセンター、特別養護老人ホームに事務所を併設することとなります。

ケアマネジャーの問題点

非独立系のケアマネジャーも公正で独立した立場を貫くことが求められますが、経済的に併設先の介護事業所に弱みを握られていることとなります。それでも多くのケアマネジャーは、適切なケアプランを作成しているのですが、併設先の介護事業所の手先となっているケアマネジャーがいないとも言い切れません。手先となった場合には、併設先の介護事業所のサービスを優先的に使うようにすること、そして、過剰にそのサービスを使うようにケアプランを立てることが考えられます。介護者にとって不必要な、又は、不適切なサービスを介護事業者の利益のために無用に使うようにされてはたまったもんではありません。

しかしながら、この関係はケアマネジャーにも利点があります。介護サービスの調整を図るにあたって、多くの介護事業所に出向いて話をするよりかは、隣の机に座っている併設事業所の職員と話したほうが手っ取り早く、簡単で楽です。時間がかからない分、もっと多くの高齢者のケアプランを作成することができます。

さらに、高齢者にもメリットがあります。ショートステイもデイサービスも、ヘルパーも同じ介護事業所であれば、責任者や介護職員、事務職員などと顔見知りになりやすく、安心感が芽生えるからです。行きつけのお店のような感じですから、精神衛生上に良い効果があるのかもしれません。

このことから、介護事業所も、ケアマネジャーも、利用者も持ちつ持たれつの関係にあります。一方的にケアマネジャーを責めることができない社会的な問題です。

私たちができる対策

市区町村の役所に行って地域内の介護事業所一覧リストをもらってください。そのリストには、大手の介護事業所から零細介護事業所に至るまで今日現在の介護事業所が掲載されています。それには、サービスごとに事業者の名称や連絡先、責任者名、対応可能地域が記載されています。

ケアプランに記載された事業所が、なぜ家のすぐそばにあるヘルパー事業所ではないのか? 定員いっぱいのデイサービスに通うように計画されているが、なぜ最近オープンした空のあるデイサービスではないのか?など、意味不明のケアプランを理解するのにヒントを与えてくれます。

ケアプランを承認する権利は私たちにあります。依頼したケアマネジャーが作ったケアプランを見て、事業所やサービスが偏ってないかを確認してください。偏っている時は、その理由を問いただしてください。納得のいく理由であれば、ケアプランの承認を笑顔ですればいいだけの話です。

ケアプランはあくまでも紙なので、紙だけを見て承認するのはかなり危険です。絶対にやめてください。デイサービスに出向いてどんなことをしているのか、ヘルパー事業所に行ってどんなヘルパーがいるのか、どんなスタッフが働いているのかを良く見てください。この見学は、介護事業所の責任者やヘルパーに緊張が走ります。結果としてきちんとしたサービスを提供するように努めることでしょう。

介護サービスを利用するにあたっては情報が何より大事です。最新の情報があれば、「ここのデイサービスはやめてほしい」、「このヘルパー事業所にしてほしい」などをケアマネジャーに主張できます。必要のないサービスもなくすことができます。

介護保険は、タダではありません。現在は1割負担ですが、ゆくゆくは2割、3割と増えていくかもしれません。在宅で受ける介護サービスは、特別養護老人ホームに比べて負担する金額は少ないですが、それでも毎月3万円とか5万円とかのお金がなくなっていくことを忘れないでください。

《参考記事》
■介護保険は保険ではない「親の介護は老人ホームにお願い」は甘い考え 介護保険を考える(1)
■新卒はチャンス! 自己研鑽組サラリーマンへ 特定支出控除は絶対使うべし
■数年後の大学入試に簿記登場。 一生役立つ簿記の知識
■じじばばのすねをかじって将来を担う大人になれ OECD国際成人力調査(PIAAC:ピアック)を受けて
■差別化できる税理士を目指せ

藤尾智之
藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー

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