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- 2011年01月18日 00:50
リアルタイム時代に潜む「即座に理解したい」という罠
1/2JIM ROBERTS, the assistant managing editor who has helped create today’s NYTimes.com, likes to call it the 1440/7 news cycle ― 1,440 minutes every day, seven days a week, each one of those minutes demanding news for delivery to a networked world.という印象的な言葉で始まる、New York Times紙のパブリック・エディター(※NYTに対するオンブズマンのような立場の役職)Arthur S. Brisbane氏の記事。非常に考えさせられる内容ですので、ご紹介しておきたいと思います:
報道の現場では、ネットワーク化された世界に向けて、毎分のようにニュースを配信することが求められている。1日1440分、それが週7日間続くわけだ。New York Timesのアシスタントマネージャーであり、今日のNYTimes.comを創り上げるのに尽力してくれたJim Robertsは、この現状を「1440/7のニュース・サイクル」と呼んでいる。
■ Time, the Enemy (New York Times)
タイトルは「時間、それは敵」とでも訳せるでしょうか。となれば、何をテーマにした記事か察しが付く方もいらっしゃるでしょう。そう、先日発生したガブリエル・ギフォーズ下院議員の銃撃事件の際、同議員が死亡したという誤報が流れたこと(参考記事)について論じられています。残念ながらNew York Times紙も誤報を流してしまったのですが、彼らも「毎分のようにニュースを配信することが求められ、それが1日1,440分×週7日間続くような状況で、速報性と信頼性をどう両立させるのか?」という問題に直面しているわけですね。
Brisbane氏は誤報が生まれてしまった状況について、次のように解説しています:
Here’s how the error was made. It was hectic in the newsroom with many news reports flowing in as Kathleen McElroy, the day Web news editor, was trying to decide whether The Times was ready to report Giffords’s death. She decided against it and was telling Web producers to hold off reporting it in a news alert when J. David Goodman, who was writing the story, told her he had a few changes he wanted to make.ということで、「1440/7」という状況がチェック漏れを招き、結果として裏の取れていない情報が公開されてしまったとのこと。しかしいくら時間に迫られているからといって、ミスが許されるわけではありません(もちろんBrisbane氏は釈明しようとしてこの記事を書いているのではなく、何が起きていたかを検証しているに過ぎませんが)。リアルタイムのプレッシャーを受け、混乱している最中であっても抜け落ちが起きることのないよう、新たなチェック体制を考える必要があるでしょう。
Ms. McElroy said, “I should have looked at every change,” but she thought Mr. Goodman was referring to small stuff. Mr. Goodman told me he then erred by reporting Representative Giffords’s death in the lead as though The Times itself were standing behind the information. In any event, Ms. McElroy had said O.K. without seeing that change, so Mr. Goodman pushed the button.
The result was a news story with changes that were not edited. Less than 10 minutes later, a new story appeared with the words “and killed” stricken.
誤報が起きた経緯はこうだ。当日のウェブ版ニュース編集者であるKathleen McElroyは、無数のニュースが飛び交う慌ただしいニュースルームの中で、ギフォーズ議員の死を報じるか否かを判断しようとしていた。彼女はそれに「ノー」という答えを出し、ウェブプロデューサーに速報には流さないよう伝えたのだが、そのとき当該記事を書いていたJ. David Goodmanが数箇所の変更を求めてきた。
McElroyは「変更した点すべてに目を通すべきでした」と語ったが、彼女はGoodmanが言っているのは小さな修正だと思い込んでいた。しかしGoodmanが私に語ったところによれば、彼はその時リード文でギフォーズ下院議員の死について触れてしまっており、あたかもNew York Times紙がその情報を支持しているかのような印象を与えていたのである。いずれにせよ、McElroyは変更点に目を通さずにオーケーを出し、Goodmanはボタンを押した。
その結果、記事は変更点に手を加えることのないままとなってしまった。そして10分もたたないうちに、「そして死亡した」という言葉の入った記事が公開されたわけである。
ただし、ここでBrisbane氏の考察が終わるわけではありません。時間というプレッシャーが、もう1つ別の過ちを招いているのではないか、と彼は指摘しています:



