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  • Willy

中高英語教員に留学制度は必要か?

東京都の教育委員会が、来年度から都内の公立中高で英語を教える採用3年目の若手教員全員を3ヶ月間、海外留学させる方針を決めたそうだ。

見出しを見た時の第一感は「やったらいいんじゃないの」といったところだ。私は、基本的に、この手の能力開発には賛成である。そもそも、90年代後半以降の日本人って、人材を育成するのにはお金がかかるってことを忘れてる。英語教員の英語力の不足が英語教育のネックになっていることは確実なのだから、英語教員にはもっと頑張ってもらわなくちゃいけないし、そのために年数億程度のお金を使うのは、新しい校舎を建てたり、毎年校庭を工事したりするよりも、よっぽど有意義だろう。教育には、モノじゃなくてヒトが大事だ。この機会に是非、学校関係の公共工事も削減して欲しい。

「そんなにお金使って贅沢。TOEICやTOEFL、英検みたいな試験を課せばいいだけ。」みたいな意見もあるけど、私はあまり賛成できない。

第一に、英語が自然言語である以上、やっぱり現地で運用能力を育てることには意味があると思うからだ。
"How are you doing?"
に対する日本の教科書的な答えは
"Fine, thank you. And you?"
かも知れないけど、スーパーのレジ係に
"How are you doing?"
って聞かれた時にそんな受け答えしたらレジ係の目が点になってしまうだろう。それに、どうして"bad"とか"terrible"じゃなくて"good"とか"great"じゃなきゃいけないのか、っていう英語文化も知っておく必要があると思うんだ。

第二に、先生も謙虚に勉強を続けなきゃいけないと思う。学習者の痛みを常に感じるってことは教育者としてとても大事なこと。学校の先生って、同じ事を何年も教えてるから、どうしても生徒に威張り散らすようになっちゃう。「どうして、こんな基本的な文法もできないんだ!」みたいな感じに。そういう先生だと生徒の方もやる気をなくす。「あのセンコウ、ホントに英語しゃべれるのかよ」みたいな陰口を叩かれたり。逆に、英語できると思われてた先生が、「アメリカで固定電話引こうと思ったら、手続きは複雑だし、英語は通じないし、泣きそうになりました。」とか言った方が、生徒の方も、「先生でもそんなに大変なら、俺も真面目に勉強しておかなくちゃ。」ってなると思うんだよね。こんな事書いて良いのか分からないけど、私は実際、留学前に東大の先生にほとんど同じ事を言われた事がある。もちろん今は英語もペラペラの先生だけど、そんな人でも留学直後はそうだったんだ。書き方は悪いけど、中高の英語教員ごときが、生徒の前で自分の英語が完璧なふりをする必要なんて全然ない。そういう事を、留学で学んできて欲しい。

じゃあ、東京都のプラン、手放しで賛成なの?って言われると、やっぱり荒削りなところはたくさんある。一番ダメだなと思うのは、全員一律に行かせるっていうところ。

世間には企業から留学させてもらうような人もいるけど、そういう人がそれなりに英語できるようになるのは、留学前に必死で勉強するからなんだよね。試験のスコアだって必要だし、その前に仕事でも結果を残さなきゃいけない。つまり、留学制度のコスパを最大化するには、それをインセンティブとして使うのが賢いってことだ。

例えば、中高の英語教員の場合は、TOEFL-iBTで80点以上あるいは90点以上を留学の必要条件にしてはどうか。取れた人は、3ヶ月留学して英語をブラッシュアップしてもらう。点数取れない人は、日本の学校で引き続き授業してもらう。留学から帰って英語力が高まっていれば昇進や昇給をさせればいいし、点数取れない人は第一段階がクリアできないんだから当然、昇進や昇級を止めるべき。そうすれば、英語教員は必死に英語勉強するようになる。競争が目的じゃないから、全員達成できたら全員留学させればいい。

無条件で留学させることに反対なもっと大きな理由は、留学の効果に関するものだ。語学力に関する大きな誤解は、「留学すればいずれは誰でも英語に不自由しなくなる」というもの。全ての人の最終到達地点が同じ、というのは全然正しくないのだ。経験則として、留学前の語学力が高い方が、留学後の語学力の伸びも大きい。それは、よく考えれば自然なことだろう。そもそも、英語がしゃべれない人と英語で会話しようとする人はいないのだから。

留学制度を導入する一番の利点は、優秀な教員を集めやすくなるってことだろう。先生になってからも、勉強したり、研修を受けたりできるし、またそうしなければいけない、という仕組みにしておけば、本当に教育や教科に情熱を持った先生を集めやすくなる。優秀な人を集めるには給料を上げるっていうのは一番簡単に思いつくことなんだけど、公立学校の予算には限界があるし、下手をすれば、経済意識が高くてテストが得意なロリコンばかり先生になるという事になりかねない。

う〜ん。でも、Facebookのコメント見ると今回の都の案にも批判的なコメントがほとんど。ともかく、今の日本人って嫉妬の塊みたいになってて、今回みたいな案が出てくるとすぐに叩かれる。何もかもがネガティブなんだよね。

そうじゃなくて、英語の先生はもの凄く勉強しなきゃいけないけど、その代わり留学もさせてもらえるし研修も受けられる、という風にしなきゃいけない。英語の先生自身は「英語力や英語教育を追求できてやりがいのある職業です」と、それ以外の人は「自分にはそこまでの覚悟ないけど英語の先生って凄いなあ」と、思える様な世の中にした方がずっといい。

もちろん、英語に限らず、数学の先生、社会の先生、国語の先生だって、社会からもっとダイナミックな知識を学べる様な仕組みにしたらいいんだけど、今回の案は東京オリンピックをきっかけにできたもの。
まずは、オリンピックをきっかけに、日本を前向きに変える事ができるかどうかが試されてる、ってことなんじゃないのかな。

【関連議論】
「東京都、英語教諭の留学を必修に…」英語教員の指導力を強化するためには?

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