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ニッポン株式会社の「株主」は誰だ

 今朝の朝日新聞一面の「異議あり」というコラムで、内田樹(たつる)氏が特定秘密保護法案への所見を書いている。その要点は、安倍政権の最優先課題は経済成長なので、それに適した国づくりを急いでいる、その文脈でこの法案を位置づける必要があるというものだ。

(以下引用)

 国民が知ることのできる情報を制限すれば、それだけ議論の余地は少なくなり、政策決定はスピードアップする。トップダウンですべて決まる「株式会社」のモデルにならって政治システムを改組しようとする試みだと私は見ています。
(引用終り)

 周知のように利益の追求を最高目的とする企業は、民主的に運営されたりはしない。全社統一のスローガンを唱え、毎朝「社歌」を歌ったりする。そうして得られた利益は、まず経営者への高額な報酬となり、株主への配当となり、余剰な資本は企業規模の拡大をめざして全世界を舞台に投資される。社員への賃金も多少は上がるかもしれないが、利益の源泉となる低賃金の非正規労働者への配慮は、おそらく最後になるだろう。

 会社の目的は平和産業だけとは限らない。場合によっては利益の障害となる「敵国」との戦争へ向かうこともある。内田氏が、秘密保護法は、運用次第ではかつての「治安維持法のような凶器にもなる」と警告しているのは、そこに「戦争のできる国家」への道程を見ているからに違いない。そこには当然、世界的な余剰資本の動向がからんでいる。

 ところで、この「ニッポン株式会社」の株主は、いったい誰なのだろう。日本国憲法によれば国の主権は国民に存すると明記されているから、国民の全員が日本国の株主ということになる。その株主が選挙で代表者を選び、選ばれた議員が首相を選んで内閣を組織させ、国政を委託するということで一貫している。その行政府が、国民の知る権利を制限して、もっと効率のよい「ニッポン株式会社」に作り変えようとするのは、「国体の変更」を意図するクーデターにならないだろうか。つまり越権行為の疑いがある。

 「ニッポン株式会社」の株主は、どうも日本国民の全員ではないらしい。配当を受け取る人たちは、一部の日本人も入ってはいるが、海外にも大勢いるようだ。すべて資本の成長こそが人類の最高善だと思い込んでいる人たちである。

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