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江沢民に対する逮捕状と三権分立

 『フジテレビ』が「江沢民元主席らにスペインの裁判所が逮捕状 中国政府は撤回要求」という記事を配信しており、いろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

 「チベットでの大虐殺に関わった容疑で、スペインの裁判所が19日」、「江沢民元主席や李鵬元首相らに逮捕状が出たことについて」、「中国外務省の洪磊報道官は、20日午後の会見で、『事実なら、強い不満を表明する』などと強く反発した」という記事です。

 「洪磊報道官は『スペインに対し、中国の厳正な立場を直視し、間違った決定を改め、悪影響を挽回するよう求める』などと述べた」そうです。

 今回の事案は、「スペインのEFE通信によると、裁判所は、スペイン国籍のチベット人らの告発を受け、逮捕状を出した」というものです。

2 国家権力

 刑罰は国家権力なので、ある国で殺人が行われた場合、基本的にその国が処罰を行うこととなります。やっかいなのは、当該国の政府による犯罪で、裁く者がおこした犯罪を誰が裁けるかという話になるわけです。

 そのため、昔からいろいろ議論があるのは国家元首による犯罪はどうかという議論があるわけですが、人道に対する罪などでは裁けるのではないかという考えが主流な様です。

 中国は過去に半植民地とされた歴史もあり、外国の介入を異様なまでに排除する傾向があり、人権問題でも国家主権を強硬に主張する傾向があります(アメリカの人権に対する中国の批判)。

 主権を用いだされるとやっかいなのは、基本的に他国がどういう言える話ではなくなってしまう点と、国家を超えて犯罪を裁く主体が存在しないために、人権侵害という刑法に違反する行為を誰が処罰するのかという問題が出てきます。

3 外国人と犯罪

 外国人がA国で犯罪を犯したとすると、結果A国の刑法が適用されるわけですが、イスラム法のようにある国独特の犯罪の構成要件などがあるとやっかいです。

 いくら自国では犯罪でない行為だとは言っても、その国で滞在していた以上、その国の国家権力(刑法)の及ぶこととなるので、よほどの事情がない限り処罰は免れません。

 例えば、日本では売(買)春行為そのものだけでは処罰の対象とはなりませんが(除く年齢要件)、中国では処罰の対象となり、外国人にも例外はありません(下手をすると日本人だからと逆に狙われることもありそうなのが中国の怖いところです(日本人売春容疑で逮捕?))。

 今回の事案では「虐殺」されたチベット人の中にスペイン国籍を有していた方がいたので、スペインの裁判所が出てきたわけですが、人権問題で欧米の批判を受けることに慣れている中国でも逮捕状となると、自由にその国を訪問できなくなるわけで、看過できない問題であることは間違いありません。

4 三権分立

 ここで出てくる問題が三権分立ですが、これは権力を特定の部門に集中されると問題が起きやすいという発想から設けられている制度です。

 ところが中国は共産党の一党支配が国の国是なので、裁判所もすべて党の支配下に置かれており、その気になれば自由に判決をいじることができます(自国の法制を全く信用していない中国人)。

 そのため、スペインに対しても圧力をかければ、同じことができると考えているかもしれませんが、三権分立が確立している国ではそのようなことはできません。

 と以前であれば、こういう話で終わっていたのですが、韓国の「反日」のような例外もあるということを、ここのところ嫌と言う程見せつけられているので(靖国神社放火犯を韓国が日本に引き渡さなかったことについて)、あまり中国が特異な国と批判できなくなってしまったのが何とも言えません。

5 最後に

 国内に意見が1つしか存在することが許されないというのは、言論の自由がないという話にもなりかねず、どうしてもおかしいことで、私はより多くの意見や反対意見などが存在してこそ、社会はより良くなると考えます。

 そういう意味で、ヘイトデモに対するカウンターデモが許容される日本の社会は望ましいと思う点があるわけですが(「在日」関連の2つのデモ)、その一方で、山本議員に脅迫をする者が出るような状態は望ましいと思えません(山本太郎議員に対する脅迫と度量の広さ)。

 ある意味、こうした様々な勢力が牽制しあうというのが三権分立の発想の基礎にあるわけですが、その意味を理解していない(したくない)人が中国や韓国には多いのかとも思った次第です。

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