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「幼稚園と学力の関係」における相関関係と因果関係

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統計データの解釈について、しばしば指摘される注意事項が「相関関係と因果関係を混同するな」というものである。今回はこの警句について、「幼稚園出身の子の正答率、高い傾向 全国学力調査」(asahi.com)という記事を題材にして少々詳しく説明してみよう。記事では、全国学力調査での小6時点の算数の得点と中3時点の国語の得点は、いずれも「幼稚園>保育園>どちらも通っていない」の順に高かった。

朝日のこの記事では、この関係について三つのコメントを掲載している。
全国国公立幼稚園長会の池田多津美会長は「幼稚園は、充実した遊具や広い運動場で体験を通して主体的な学びを積み重ねている。勉強が難しくなる6年生ごろから学習意欲で差が出るのでは」と言う。

この推測は、幼稚園への通園経験自体に学力を伸ばす要因があるのでは、というもの。

次。
一方、保育所施設長でもある全国保育協議会の小川益丸会長は「保育所の教育が幼稚園より劣るわけではない。十分な説明や前提なしにこんな結果が公表されると、利用者に不安や誤解を与えないか」と心配する。

このコメントの趣旨は、「幼穂の教育力に差はない(=原因は別のところにある)」「因果関係として確定していないのに公表すると保育園に対する不信につながる」というものであろう。
最後に専門化の意見。
今回の調査は幼稚園や保育所へ通った経験と正答率を重ね合わせただけで、家計や子どもが育つ環境など他の要素は調べていない。お茶の水女子大学の耳塚寛明副学長(教育社会学)は「データがひとり歩きすると、近所に幼稚園がなかったり、働いていたりして通わせられない保護者の動揺を招きかねない」として、さらに分析を進める必要性を指摘する。

家庭環境をそもそも「調べていない」のなら「分析」の進めようがない気もするが...。調査ではデータを取ったがまだ「分析をしていない」という意味なのかもしれない。

さて、この記事は一見したところ、「単なる相関関係を因果関係として(早とちりして)理解するな」という、統計に少し詳しい人がよくやる警句の格好の材料になりそうな事例を提供してくれる。しかし教科書に乗っているような綺麗なケースは、実際にはなかなか存在しない。

「A(幼稚園)とB(学力)のあいだに相関関係があるのに因果関係がない」というのはどういう場合かといえば、何よりも「擬似関係」を考えることができる。つまり何らかの第三の要因が、幼稚園と学力の両方に影響しており、この要因をそろえてやれば二者間の関係が消える、というものである。

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ではこの第三の要因とはなんだろうか? まず子どもの学力に影響する要因の候補をあげると、両親の学歴・教育期待(熱心さ)・教育投資(家計所得)などであろう。仮にこの三つだとして、これらのうち、幼稚園選択にも同程度にプラスに影響するものがあれば擬似関係が発生する可能性がある。

子どもを幼稚園ではなく保育園に通わせるのは要するに共働きであるからだ(たいていは夫に加えて妻が働くかどうかの選択)。そうだとすると、まず妻の学歴は、共働き(したがって保育園選択)の可能性を高めるだろう。他方で夫の学歴は(ここから起因する高所得の効果は他で統御しているので)はっきりしない。夫が高学歴だと同類婚効果で妻の学歴が高い可能性があるが、同類婚効果が統御されている場合、リベラルな態度、家事育児への協力的態度から妻の就業継続を後押しする可能性もある。データ次第だが、両親の学歴は幼稚園とはマイナスの関係にある可能性が高い。であるばらば、両親学歴は擬似関係を作らない。

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