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- 2011年04月12日 00:00
燃料棒破損事故として福島原発事故を見る
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福島第一原発の状態は毎日変化していて、収束に向かっているのかまだ予断を許さない状況なのか、なかなかわかりにくいと思います。
私は、「燃料棒の破損」というポイントに着目することが、問題を整理する一つのヒントになると思っています。これが多くの問題の発生源であり、今後、何が起ころうとも、これそのものが修復される見込みはないからです。
そこで、これについて自分の理解の範囲でまとめてみます。
原子力発電所の燃料は「ペレット」と呼ばれる、直径 1cm、高さ 1cmの円柱状のものとして作られます。そして、これが「燃料棒」と呼ばれる4mの金属製の管に入れられます。
事故がなければ、燃料のウランは、この燃料棒の中に入ったまま原子炉の中に入れられ、そこで核分裂反応によってエネルギーを取り出され、数年間の運転の後、やはり燃料棒の状態で、原子炉から取り出され、核廃棄物処理の工程に送られます。
つまり、正常な運転状態であれば、ウランが燃料棒の外に出ることはないのです。
今回の事故では、このジルコニウムという金属の管が溶けて破損してしまった為に、ウランが燃料棒の外に出てしまいました。
核燃料のウランが燃料棒の外に出るという事態は、本来あってはならない状態で、このために、次のような問題を引き起こしています。
これが破損したのは、地震後の数日間に原子炉が異常な高温になったために、ジルコニウムという金属が溶けてしまったためです。
この高温の原因(崩壊熱)については、後で詳しく書きますが、とにかく管が、25%から70%の長さで溶けてしまったものと思われます。
管が溶けはじめる温度では管の中のペレットはそのままです。ですから、この1cmのペレットの状態で、炉の中にこぼれ落ちているものと思われます。その後、ペレットも溶けて集まって溶岩状の塊になった可能性もあります。
原子炉の中で核分裂反応を起こしたウランは、その後、数年間の間、「崩壊熱」という熱を発生し続けます。ですから、正常異常に関わらず、運転を停止した後も、水をかけてこれを冷やし続けなくてはなりません。
通常であれば、燃料棒に触れた水が外に出ないような冷却システムが稼動します。つまり、どこか別の所でその水を管に通し、その管を冷やすのです。管の中を通る水は放射能に汚染されていますが、外の水は影響を受けません。ですから、この管を冷やす分には、海水など外部の水を引いてきて、あたたまった水は外へ捨てることができます。
この形だと、燃料棒そのものを直接冷やす水は、同じ水がぐるぐる回っていることになります。これを循環冷却と言います。
事故後の福島第一では、1号機から3号機までどれも、この循環冷却ができていません。つまり、放射能を含んだ水が外に直接流れています。事故を収束させるには、循環冷却システムの再構築が必須となるのですが、これが以下の理由により非常に困難と言われています。
特に1.の問題により、再構築すべき循環冷却は、燃料棒でなくウランそのものに触れた水を再利用しなくてはなりません。そのため、水が循環するたびにさらに高い濃度で汚染されることになります。
フィルタにより汚染を取り除くことは可能ですが、その場合、そのフィルタそのものが異常に高い濃度の放射性物質となるために、この交換の作業が困難になります。フィルタによる浄化を行なわないと、冷却水の汚染がどんどん進行し、循環冷却系全体が濃い放射能で汚染されるために、そのメンテナンスが困難になります。
つまり、燃料棒に入ってないウランを冷却する循環冷却システムというのは、前例のない特注のシステムになるわけです。これを、現在汚染が進行している炉の回りに構築するという非常に困難で危険な作業が、循環冷却のためには必要になります。
私は、「燃料棒の破損」というポイントに着目することが、問題を整理する一つのヒントになると思っています。これが多くの問題の発生源であり、今後、何が起ころうとも、これそのものが修復される見込みはないからです。
そこで、これについて自分の理解の範囲でまとめてみます。
燃料棒とは
原子力発電所の燃料は「ペレット」と呼ばれる、直径 1cm、高さ 1cmの円柱状のものとして作られます。そして、これが「燃料棒」と呼ばれる4mの金属製の管に入れられます。
事故がなければ、燃料のウランは、この燃料棒の中に入ったまま原子炉の中に入れられ、そこで核分裂反応によってエネルギーを取り出され、数年間の運転の後、やはり燃料棒の状態で、原子炉から取り出され、核廃棄物処理の工程に送られます。
つまり、正常な運転状態であれば、ウランが燃料棒の外に出ることはないのです。
今回の事故では、このジルコニウムという金属の管が溶けて破損してしまった為に、ウランが燃料棒の外に出てしまいました。
核燃料のウランが燃料棒の外に出るという事態は、本来あってはならない状態で、このために、次のような問題を引き起こしています。
- 冷却水の異常な濃度の放射能汚染
- 「再臨界」を起こす可能性
- 廃炉処理の困難度
なぜ燃料棒が破損したのか
これが破損したのは、地震後の数日間に原子炉が異常な高温になったために、ジルコニウムという金属が溶けてしまったためです。
この高温の原因(崩壊熱)については、後で詳しく書きますが、とにかく管が、25%から70%の長さで溶けてしまったものと思われます。
1号機では燃料集合体400体の約70%が損傷していると推定された。2号機は同548体の約30%、3号機は同548体の約25%が損傷したとみられる。
1号機、燃料集合体の7割が損傷と推定
管が溶けはじめる温度では管の中のペレットはそのままです。ですから、この1cmのペレットの状態で、炉の中にこぼれ落ちているものと思われます。その後、ペレットも溶けて集まって溶岩状の塊になった可能性もあります。
第一の問題点: 冷却水の汚染
原子炉の中で核分裂反応を起こしたウランは、その後、数年間の間、「崩壊熱」という熱を発生し続けます。ですから、正常異常に関わらず、運転を停止した後も、水をかけてこれを冷やし続けなくてはなりません。
通常であれば、燃料棒に触れた水が外に出ないような冷却システムが稼動します。つまり、どこか別の所でその水を管に通し、その管を冷やすのです。管の中を通る水は放射能に汚染されていますが、外の水は影響を受けません。ですから、この管を冷やす分には、海水など外部の水を引いてきて、あたたまった水は外へ捨てることができます。
この形だと、燃料棒そのものを直接冷やす水は、同じ水がぐるぐる回っていることになります。これを循環冷却と言います。
事故後の福島第一では、1号機から3号機までどれも、この循環冷却ができていません。つまり、放射能を含んだ水が外に直接流れています。事故を収束させるには、循環冷却システムの再構築が必須となるのですが、これが以下の理由により非常に困難と言われています。
- 燃料棒でなく燃料に直接水が触れるため、通常運転中よりはるかに高い濃度で水が汚染される
- 漏れている箇所が、高濃度の放射能により汚染されている(修復はもちろん調査も放射線が強すぎて困難)
特に1.の問題により、再構築すべき循環冷却は、燃料棒でなくウランそのものに触れた水を再利用しなくてはなりません。そのため、水が循環するたびにさらに高い濃度で汚染されることになります。
フィルタにより汚染を取り除くことは可能ですが、その場合、そのフィルタそのものが異常に高い濃度の放射性物質となるために、この交換の作業が困難になります。フィルタによる浄化を行なわないと、冷却水の汚染がどんどん進行し、循環冷却系全体が濃い放射能で汚染されるために、そのメンテナンスが困難になります。
つまり、燃料棒に入ってないウランを冷却する循環冷却システムというのは、前例のない特注のシステムになるわけです。これを、現在汚染が進行している炉の回りに構築するという非常に困難で危険な作業が、循環冷却のためには必要になります。



