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東電と銀行の裏取引について

貴方はAさんに5千万円お金を貸しています。
鈴木さんもAさんに5千万円お金を貸しています。

貴方はAさんから担保を受け取っていません。
鈴木さんはAさんの自宅(価値6千万円)に4千万円の担保権(抵当権)を設定しています。Aさんが夜逃げをするなど、何かあった場合、鈴木さんは少なくとも4千万円までは確実に回収することが出来ます。

担保権のない貴方は貸した5千万円を全て失う可能性があります。交渉をすれば2千万円だけは返してもらえるかもしれません。(価値6千万円の自宅-鈴木さんの担保権4千万円=2千万円の残存価値)

ある日、鈴木さんとAさんは貴方に気付かれぬよう二人で交渉し、担保権を更に増やして、5千万円にしていました。

これでイザと言う時に、鈴木さんは貸した5千万円を全額回収できることが確定的になりました。
しかし、貴方にとっては、「あて」にしていた自宅の残存価値2千万円が突然1千万円に減ってしまい、益々不安な状態に陥ることになったのです。

「Aさん」を東電に、「鈴木さん」を銀行に、「貴方」を被災者に置き換えてみてください。
本来はしっかり賠償をされるべき被災者が、いつの間にか銀行に担保権を持って行かれ、更に不安定な状態にされてしまう。

このような事が今回、東京電力と銀行の間で取り行われていたのです。
・・・・・ 私たちが「東電は法的整理にするべきだ!」と主張をすると、安倍政権の閣僚たちは決まって「そんな事をしたら、東電が発行している一般担保付社債(=会社の資産を担保にした借入)の債権者が優先的にお金を回収することになっているので、被害者に賠償金を出したり、取引先企業に支払いをしたりができなくなってしまう」と反論します。
しかし、その裏では銀行が東電に出していた「無担保融資」を次々に「担保付の私募債(=上記の一般担保付社債と同じことです)」に転換していた。
今回、会計検査院の調査で、そのような事が発覚したのです。
(私募債の場合は相対取引なので、社債と違って開示性が低く、水面下での取引が可能です)

11月12日の経産委で質問したところ、茂木大臣は「事業者(東電)と銀行の間で決める問題」と答弁し、資源エネルギー庁の上田長官は「公募債の償還等を踏まえながら、事故前に一般担保が付されていた総量を上回らないという考え方の下に私募債の発行を行っていると承知している」と答弁しました。しかし、本来は無担保融資を継続する場合は無担保融資として書き換えるのが筋なのです。社債の償還によって、空き枠ができたからドンドン無担保融資を担保付私募債に変えましょうという取引も平常時ならありえるかもしれませんが、実質は債務超過で、いつ倒産してもおかしくなく、他に多くの債権者がいる状況では全くアンフェアなのです。完全に債権者平等の原則を無視しています。

検査院の報告によると、銀行が東電に「無担保融資」として貸し付けていた資金のうち、すでに8千億円程度は「私募債」に乗り換えられています。

何故このようなことが行われていたのか?
私は以下のような考えがあるのではないかと思っています。

① 最近、法的整理を要求する世論の声も高まりつつあるので、万が一そうなった場合を想定し、少なくとも銀行の債権だけは守ろうとしている。
② 一般担保付債務を高い水準に維持し、「やはり法的整理は無理」と、既成事実をかためようとしている。

また、3-11直後の緊急融資・約2兆円を松永事務次官(当時)が銀行団に依頼をしに行ったとき、「何かの形で債務保証をした」との憶測が飛び交いましたが、事実はまだ明るみにされていません。今回の発覚で、「無担保融資を担保付私募債に転換する」と約束したのが真相ではないかと考えさせられてしまいます。

いずれにせよ、身勝手極まりない行為だと言わざるを得ません。

私は2年前の「原子力損害賠償支援機構法 」審議の時も、民衆はどうせ気付かないだろうと、半永久的な国民負担(電気料金値上げ、税金)で一部の特定利権者やステークホルダー(経営陣、株主、銀行、族議員)だけを救うものだと、強く反対をしました。本来は破たん処理するべき会社をこのような形で救済してしまうと、法治主義・資本主義の理念も踏みにじることになってしまいます。しかし、結局は民・自・公の電光石火で、マスコミに大きく取り上げられる事も無く、可決してしまいました。それが全ての始まりだったのです。

最近で言うと、10月7日の閉会中審査で指摘した「会計基準ルールの変更 」も同じような発想の下に行われたものです。民衆どころか、国会議員も気付かないだろうと、経済産業省が省令で「電力会社は廃炉を決めても特別損失で落とさなくても良い」という、民間ではあり得ないルールを新設してしまったのです。
例えば、タリーズに大赤字店が10店舗あり、閉店を決めてシャッターをおろしたのに、それを資産としてバランスシートに計上し続けたらどうなるでしょう?モラルハザードが起き、投資家も何を信じて投融資をしたらよいか分からなくなってしまいます。
今回の話が更に酷いのは、総括原価方式という名の下に、その不良資産を減価償却し続けて、電気料金に上乗せすることが出来るという点です。またぞろ、国民負担による東電・電力会社の救済なのです。

被災者への賠償金は法的措置で国がしっかり保証し、当初から法的整理をしていれば、100%減資と銀行の債権カットで何兆円もの国民負担を減らす事ができていたでしょう。
今頃は送電網が売却され、発送電分離が実現し、電力自由化が進展していたはず。そして、漏洩・地下水、廃炉、除染問題などは国が責任を持って進めざるを得ない状況になっていたのです。

今後もこのような事が、水面下で起こり続けると思われます。それを防ぐ為にも、もう一度我々は東電の法的整理を真剣に考え、あらゆるオプションを検討し、国民と日本経済の中長期的な発展のためのベストな方法を選択しなくてはいけないのです。

ぜひ、皆様にももう一度、じっくりとお考え頂ければと思います。

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