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継続的に対話する主観

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「エジプトで起きたことはfacebook革命だ」「いやあれは単なる軍のクーデターだ」「いや両方の要素が混じっている」という三人がえんえんと果てしない議論をするとしたら、その三人は「どこかに客観的な真実というものがある」という点において合意している。

「客観的」ということには二つの意味があって、ひとつは「誰が見ても同じ結果になる」ということで、もう一つは「それについて言及する際に私は自分について何かを語りたくない」ということだ。

実際には、「誰が見ても」と言う時、その中の「誰でも」には「特定の世界観に合意し、一定の訓練を受けた者なら誰でも」という暗黙の前提がある。そこをはしょって「誰が見ても」と言うなら、「それは自明のことで、誰でも受け入れるべきことである」と、自分の価値観や世界観を主張しているということだ。本当は自分について語ることを拒否して何かに言及することはできない。

客観性というものが、単なる近似値か方便でしかなったことが誰の目にも明らかになりつつある。

というようなことを漠然と考えている時に、この2冊の本と出会った。

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日本の若者は不幸じゃない (ソフトバンク新書)

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キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)

この2冊はどちらも、今起きていることを鮮かに映し出していると思う。マス消費が消えた時、本当に変化することとは何なのか?

「日本の若者は不幸じゃない」のまえがきで、共著者の一人「もふくちゃん」という27才の女性は次のように言う。
警察庁の発表によると、2009年の20代、30代の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は過去最悪の数字となったそうです。このようなことが、「日本の若者は不幸だ」と言われている要因なのでしょう。主にマスコミや識者、年長者からこのような声が聞こえてきます。

しかし、これらの声を踏まえたうえでも、私の考えは変わっていません。

日本の若者は不幸じゃない、と私は考えています。
「過去最悪の数字」の所には脚注でURLが添えられている。(現在は削除されているがこちらにコピーされている記事のようだ)

つまり、本のタイトルとなっている主張に対して正反対のデータを出典付きで明記していて、それに自分や仲間たちの体験したことをぶつける形で、この本はできているのだ。
これは私の考えですが、かっての価値観を当然と思っている人たちが今の時代の若者を見ると、きっと不幸だと思うのではないでしょうか?若い人でも、自分の父親や母親が以前は当たり前だとされていた価値観を強く持っていれば、大手企業に就職できない自分の境遇を不幸だと思ってしまうでしょう。
そして、それはデータと主観の対立ではなく、価値観と価値観、世界観と世界観の対立だと言っているのだ。

一方、「キュレーションの時代」には「情報の真贋なんてだれにもみきわめられない」という一節がある。
ところがネットにはそういうフィルタリングシステムがないので、自分で情報の真贋をみきわめなければならなくなった。だから「ネット時代には情報の真贋を自分でチェックできるリテラシーを」と言われるようになったわけです。

正直に告白すれば私も過去にそういうことを雑誌の原稿や書籍などで書いたこともありました。しかしネットの普及から15年が経ってふと気づいてみると、とうていそんな「真贋を見きわめる」能力なんて身についていない。

それどころか逆に、そもそもそんなことは不可能だ、ということに気づいたというのが現状なのです。
佐々木さんの苦渋混じりの告白と、もふくちゃんのあっけらかんとした(たぶん無意識的な)開き直りは対照的だが、共通して強調しているのは、人の主観があることの意義だと思う。

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