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悪くない内容の景気ウォッチャーとJカーブ効果の続く経常収支

本日、内閣府から10月の景気ウォッチャーの調査結果と財務省から9月の経常収支がそれぞれ発表されています。景気ウォッチャーの現状判断DIは前月から▲1.0ポイント低下してと51.8となった一方で、先行き判断DIは+0.3ポイント上昇して54.5を記録しました。いずれも50を超える高い水準です。経常収支は季節調整済みの系列で7か月振りに赤字を記録し、▲1252億円となりました。まず、日経新聞のサイトからそれぞれの記事を引用すると以下の通りです。

10月の街角景気、2カ月ぶり悪化 台風影響、住宅市場に一服感

内閣府が11日発表した10月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比1.0ポイント低下の51.8で、2カ月ぶりに悪化した。台風の影響で百貨店を中心に売上高が伸び悩んだことに加え、住宅市場では消費増税前の駆け込み需要の鈍化で一服感がみられた。

家計分野では「秋物衣料は、気温の高さや台風など気候の影響を大きく受けて全般に不調に推移している」(東海の百貨店)や、「10月の住宅展示場への来場数は、9月の駆け込み需要の反動で前年比4割減」(近畿の住宅展示場)といった厳しいコメントが目立った。

ただ指数は好不況の分かれ目となる50を9カ月連続で上回っており、内閣府は街角景気の基調判断を前月の「着実に持ち直している」で据え置いた。

2-3か月後の景気を占う先行き判断指数は0.3ポイント上昇の54.5で2カ月連続で改善。年末商戦への期待感がみられた。家計分野で「消費増税前の駆け込み需要が早くも始まり、4Kテレビなど高付加価値商品の需要が喚起される」(北海道の家電量販店)や「宿泊は年末年始がほぼ満室で、宴会もクリスマスを除く忘年会の需要が好調」(近畿の都市型ホテル)という声が出ていた。

調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は92.2%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。

9月経常収支、5873億円の黒字 8カ月連続

財務省が11日発表した9月の国際収支(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は5873億円の黒字だった。黒字は8カ月連続で、黒字額は前年同月と比べ14.3%増えた。現在の基準で比較可能な1985年以降では9月として最大の貿易赤字額となったが、所得収支の黒字も9月としては最大となり、経常収支では黒字を維持した。

貿易・サービス収支は9763億円の赤字。赤字は18カ月連続で、赤字額は前年同月と比べ2383億円増えた。このうち貿易収支は、輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで8748億円の赤字で、前年同月から赤字額が4002億円拡大した。

輸出額は12.0%増だった。米国向け自動車や中国向けの有機化合物などが増えた。一方で輸入額は18.2%増。アジアからのスマートフォンなど通信機や太陽光発電部材など半導体等電子部品の輸入が増えた。前年同月より進んだ円安は、輸出額より輸入額を押し上げる影響の方が大きく出た。旅行や輸送動向を示すサービス収支は1015億円の赤字だった。

所得収支の黒字は前年同期比24.6%増の1兆6279億円で、2カ月ぶりに増えた。円安もあって債券利子の受け取りなど証券投資収益が増えたほか、海外事業で投資先から受け取る配当金収入や支店収益などを示す直接投資収益も増えた。

一方、季節調整済みの9月の経常収支は1252億円の赤字だった。季調済みでの比較を始めた96年以降で赤字となるのは3回目で、赤字額は過去最大となった。財務省は「輸入額が大きくなったため」(国際局)とみている。

いつもの通り、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、経常収支については記事の最後のパラを除いて季節調整していない原系列の統計についての記述であり、このブログにおける季節調整済みの系列と少し印象が異なる可能性があります。次に、景気ウォッチャーのグラフは以下の通りです。全国ベースの現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、影をつけた部分は景気後退期ですが、いつものお断りで、昨年11月を直近の景気の谷と仮置きしています。

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景気ウォッチャーはかなり見通しにくい展開になっています。昨年10-12月期をボトムにして、衆議院の解散や安倍内閣の成立を契機に上昇に転じ、今年の春3-4月くらいまで急上昇した後、5月に為替や株などの金融市場が一服するとともに下落に転じ、再び夏8月をボトムに上昇に向かうかと思えば、足元の最近時点では現状判断DIと先行き判断DIに乖離を生じています。現状判断が低下した一方で、先行き判断は上昇しています。基本的には、台風の影響などにより足元の現状判断DIに影響する百貨店売上げなどが伸び悩んだ一方で、消費税率引上げ前の駆込み需要などは年度末まで期待できるわけですから、2-3か月先の先行き判断DIは上がり続けている、ということなんだろうと解釈しています。すなわち、悪い内容ではないということです。ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府による基調判断は「着実に持ち直している」で据え置かれています。また、水準はどこまで意味があるかどうか不明ですが、現状判断DI、先行き判断DIとも50を超えるレベルを維持しています。この統計指標にしては余り例のない水準だと受け止めています。

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経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線の経常収支の推移に対する各コンポーネントを積上げ棒グラフでプロットしています。季節調整済みの系列であり、引用した記事にもある通り、月次で赤字を記録するのは1996年以降で3回目、今年2月以来7か月振りです。グラフを見れば明らかですが、赤の所得収支は大きな変動ありませんが、9月統計では黒の貿易収支が大きなマイナスを記録しているのが見て取れます。それにも増して、やや私が気にかけているのは、2011年3月の震災から傾向的に経常収支が黒字幅を縮小させており、9月統計もこのトレンドから大きく外れているわけではない、という点です。単純なボックス-ジェンキンズのモデルに従えば、このまま経常収支は赤字に突っ込んで行くような気もします。しかし、昨年11月の衆議院の解散から円高是正に入ってほぼ1年を経過し、貿易収支のJカーブ効果が終わると黒字化に向かう可能性も十分あり、この先見定めにくい展開かもしれません。

景気ウォッチャーは「街角景気」と通称され、商店街やタクシー運転手などの典型的な供給サイドのマインドが反映されています。明日発表の消費者態度指数は逆に需要サイドのマインドを示しています。併せて、先行きの景気を占いたいと考えています。

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