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15年で8000店! 書店消失は「アマゾンのせい」なのか?

9月30日、神戸市の老舗書店「海文堂書店」が閉店し、ファンが別れを惜しんだ。日本著者販促センターの調査によると、2013年5月時点での国内の書店数は1万4241店。1999年には2万2296店だったから、この15年間で8000店以上も減ったことになる。

帝国データバンクの「出版業界 2012年度決算調査」では、2012年の売上高トップは紀伊國屋書店で約1081億円。次いでブックオフコーポレーションの586億円、ジュンク堂書店と有隣堂が513億円と並ぶ。

数字だけみると大きく見えるが、売上トップ10社のうち6社が前年比で売上減。うち3社は2年連続減収だ。数少ない増収の有隣堂もわずかプラス1.3%で、2011年度には前年比マイナス6.5%だった。

「立ち読み」や「偶然の出合い」でもネットに劣る

ある出版社では、10年も前から「これからの書店は、よほどの特色がないと難しいよね」「これから書店に就職する人は、どんな人なのだろう」と囁かれていたという。キャリコネに投稿された口コミにも、書店で働く人の不安の声が見られる。

「基本給はほとんどあがらない。ボーナスもあまり期待できない。業界全体が不況なので致し方ない部分もあるが、生活していくにはなかなか厳しい」(30代前半・男性) 

「斜陽業界なので今後どうなるか分からず、不安が大きい。ノルマ達成が難しいと感じる時もあった」(20代後半・男性)



リアル書店低迷の原因として「ネット書店の台頭」を指摘する声は多い。最大手のアマゾンは、2012年の日本国内の売上だけで7300億円超だ(米アマゾン本社の年間報告書より)。仮に4割が書籍・雑誌の売上だとしても2190億円にも上り、上位数社分を占める。

リアル書店のよさは、立ち読みができることや、本との偶然の出会いが期待できることだ。しかしいまでは書評ブログで本の魅力が語られ、目次構成は出版社のホームページでも公開されている。

オススメの類書もレコメンド(推薦)機能で自動的に表示されるので、在庫を抱えていない小さな書店よりネットの方がよほど出会いが多い。

ネット書店の方が利用者にとってメリットが多い限り、書店不況の原因は自らの改善努力不足によるものと言っていいだろう。

もうひとつの根深い問題が、リアル書店や出版業界自体が長年抱えている構造的な「流通制度」である。

工夫の有無で格差はいっそう広がる

書籍・雑誌は「出版社→取次会社(卸業者)→書店」のルートを経て読者の手元に届く。取次会社が店舗規模や過去のデータ、地域特性などを考慮し、どの書店にどの本をどれくらい「配本」するかを決めるのだ。

これを「パターン配本」と呼ぶが、書店の仕入れ作業は効率化するものの、取次会社任せの仕入れになるため、本の品揃えで独自色を打ち出すことができなくなる。出版社側が「この書店にこの本を○部配本」と指定する「指定配本」もあるが、全国すべての書店を把握することはできない。

また、パターン配本は必ずしも平等に行われるわけではない。大型書店には話題の小説が大量に平積みされているのに、地方の零細書店には1冊も配本されないという事態も起きる。店頭注文しても取り寄せまでに1~2週間かかることはザラなので、読者が離れていくのは当然だ。

ただし、新しい考え方で書店を再生させようという試みも見られる。東京・港区に店舗を構える老舗書店の山陽堂書店は、2011年から店内にギャラリースペースを設置。絵画の展示会やトークセッションを開催し、居心地のいい空間づくりでファンを増やしている。

また千葉市にある中島書店では、県産野菜を店内で直売。野菜のレシピ本も併せて販売していることから、地域の主婦層に人気だ。ただ本を並べているだけの楽な商売では、業界が成り立たないのは以前から言われていたこと。工夫できるところとそうでないところの差が、ますます広がっていくのだろう。

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