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『読売新聞』で「恋するフォーチュンクッキー」を踊るブームにコメントしました

数日前の『読売新聞』で「恋するフォーチュンクッキー」を踊るブームにコメントしました。確か夕刊だったような。コメントを依頼されたときに即席で(1時間)書いて記者に送った文章です。

追記:10月30日夕刊だったそうです。

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意外な人たちとつながれて幸せになれるのはいいね
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「女の子にしろ、システムにしろ、媚びが嫌だ」と公式にはAKB48嫌いの僕。でも「恋するフォーチュンクッキー」に限っては娘たち(7歳と4歳)と踊る。いろんな企業や役所や学校の人たちが一緒に踊っているのをYouTubeで見て楽しんできた。

 伏線があった。職場や学校の皆が一緒に踊ると言えばEテレ『ピタゴラスイッチ』の2002年からの「アルゴリズムたいそう」「アルゴリズムこうしん」。長女が3歳になった2008年から毎日欠かさず見て、次女が3才になった2011年からは一緒に踊る。

 今年になってNHKテレビで始まった『突撃!アットホーム』。父や母に感謝を示すべく、父や母の職場の人々と一緒に踊りをプレゼントする。今年産まれた長男を入れて5人でそれを見ると毎回幸せな気持ちになれる。そう、その流れに連なるのだ(パクった?)。

「アルゴリズムたいそう」も「感謝の踊り」も「フォーチュンクッキー」も共通して、上手なダンスじゃなく、歌謡曲の振付けだ。そこにはザ・ピーナッツからピンクレディまで振付け歌謡史と共に歩んだ土居甫の振付けが先鞭をつけた「ヘタウマ」がある。

 踊りの下手なAKB48でも(!)アラが目立たず素人が踊れる。一部を除いてシンコペーションがなく、少し練習すれば誰でも覚えられる。ところで「職場の皆で踊ること」がなぜ今──「アルゴリズムたいそう」から数えて十年──感動を与えるのか。

 見て感動。皆で踊って感動。自分らが踊った動画を見ても感動。社会学的に解釈しよう。祭りは我々意識(の元になる共通前提)を必要とする。そして祭りが我々意識を強化する。祭りと我々意識が互いに前提を与え合うのだ。でも最初に共通前提がない場合どうするか。

 集団が同じ振付けで踊ると共同身体性(皆が一つの体を共有した感じ)が生まれる。祭りの本質は共同身体性。だから同じ振付けで踊ること自体が祭りだ。空洞化した地域の再生に地域の祭りが利用されて久しい。この知恵が職場の再生に転用されつつある。

 最近運動会を復活した職場が多い。運動会も赤勝て白勝ての応援や綱引きを通じて共同身体性をもたらす。職場の皆が同じ振付けで踊るのも機能的に等価だ。そして運動会よりも手軽。意外な他者たちと簡単につながれて驚く。

 共同身体性で得られる我々意識は年齢や性別や所属を問わない。その意味で社会的文脈を無関連化できる。ヘタウマな振付けを皆で共有すれば意外な人とつながれる。かくて共通前提なきところに共通前提をもたらせる。実はこれは日本的伝統だ。

 僕は米国の幾つかの大学で「日本的サブカルチャーの本質は社会的文脈の無関連化機能だ」と説いてきた。人種や階級や国籍や性別に関係なく享受し一緒に戲れる。米国人の研究者や学生は皆が同意した。最近ではきゃりーぱみゅぱみゅのブームだろうか。

 僕は転校だらけで小学校に六つ通った。友だちを作るのは簡単だった。漫画やアニメや歌謡曲を「過剰記憶」していたからだ。どこに行っても誰ともつながれた。出生地も方言も偏差値も運動神経も関係ない。歌謡曲の振付けで踊って歌うだけ。

 AKB48が好きかどうかは関係ない。「フォーチュンクッキー」を踊る職場の人も多くはメンバーの名前と顔が一致しない。でも皆が一緒に踊れば幸せになる。そこには、つながりの空洞化を克服したい願いと、克服できたときの感動が見出せる。そこがポイントだ。
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おまけですが、「恋するフォーチュンクッキー PLANETSバージョン」を見て驚きました。宮台ゼミ関係者がなぜか大勢出ている。

一緒にナンパ講座を運営するゼミ関係者の立石くんと中野くんとお茶をしてたら、なんと彼らが作ったというじゃありませんか。

「なんで俺に声かけないわけ?」「だって宮台さんAKB嫌いじゃないですか」「知らねえよ、こういうの作るときは祭り好きの俺に声をかけんだよ!」「……」。

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