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私が政治を考える原点は「平和」――吉良よし子さん(参議院議員)

『ピカドン』に衝撃を受けた幼い頃

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きら よしこ・1982年生まれ。参議院議員。早稲田大学第一文学部卒業。豊島区内の印刷会社に4年間勤務の後、東京都議選(2009年)豊島区候補。田村智子参議院議員候補者(当時)秘書の後、日本共産党東京都委員会・雇用と就活対策室長を歴任。

 幼い頃、家の本棚にあった『ピカドン』という絵本を何気なく手に取りました。原爆投下直後を描いた絵本なのですが、まだ小さかったから意味がわからなくて、「ピカドン」って何だろう? ピカピカかな? と思って……絵本を開いた瞬間、ものすごい衝撃を受けたんです。親が小学校の教員だったので、他にも東京大空襲や戦争に関する絵本が山のようにありました。どんな家庭なの? って言われちゃいそうですね(笑)。 ただ、戦争がこわかったし、何よりも原爆がこわかった。それに飛行機もこわかった。爆弾を積んでるんじゃないかと思って、飛行機が飛んでいると耳を塞いでしゃがみ込んでしまうほどでした。あんまり怯えているから、ある時、母親が「日本には憲法九条があるから絶対に戦争しないんだよ。絶対、攻撃されないし、攻撃もしない」と教えてくれました。その時、私は憲法に守られてるんだと実感しました。憲法九条のある日本に生まれてよかったと思ったし、なんで九条が日本だけにしかないんだろう、世界中に広がればいいのにって、本気で思いました。それが小学生の時です。

 と同時に戦争中も戦争に反対している党があって、それが日本共産党と聞きました。今も九条のために頑張っているのが、日本共産党だよ、と。だから憲法を守っているのが日本共産党だというのが鮮烈に印象に残っています。今から思うといいタイミングだったのかなって(笑)。

若い人ほど憲法を重視

 私は、もともと政治家を目指していたわけではないのですが、政治の話をするのが当たり前の家庭で育ちましたし、社会を変えるには政治が必要。そのなかでも憲法は、私が政治を意識する一番の原点です。今、その憲法が危機に晒されている。

 でも、希望はあります。街頭演説などで憲法の話をすると、とくに若い世代が手を振ってくれます。制服を着た高校生や大学生が、「頑張って!」って。当選直後にも、「僕たち選挙権ないけど応援してました。憲法を守ってほしいから」と一〇代の若者から言われました。もちろん軍国主義を経験された高齢の方や、お子さんを持つママさんからも応援は受けます。でも、若い人たちの方が「こわいんです。憲法を守ってください」と切実に言う人が多い。

 彼らが声高に「九条守れ」とデモをするかどうかはわからない。でも、私と同世代や、もっと若い世代たちはなかなか表には出さないけれど「憲法は守らなければいけない」と思っている人が多いと思うんです。これからの日本の未来を担う若い世代が、徴兵されるかもしれない若い世代が、この憲法問題を重視しているのは間違いない。私は、それを声にしていかなければいけないと思っています。同時に、若い人たちがもっと声を上げやすくなるよう環境も整えないといけない。

 この間、労働法の改悪などによって働く人が会社にとっての「コスト」だという認識が罷り通るようになりました。そのあおりを受けているのが、今の二〇代、三〇代ですよね。非正規雇用では先の見えない不安で自分のことで精一杯だし、たとえ正社員だったとしても、長時間過重労働が当たり前。休みもろくにとれないなかで、他人を思いやることなんてできない。心の余裕が奪われているんです。

 憲法二五条には、「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあり、国は、社会福祉、社会保障の増進に努めなければならないことも規定しています。でも、現実はどうでしょうか。「自己責任」という名のもとに、非正規なのは自分に能力がないから、長時間労働なのは自分のやり方が悪いから、そんな風に思い込まされ、みんな必要以上に自分を責めている。また、自殺にまで追いやられる人もいる。そんな状況で憲法守ろうよ、政治変えようよと言ったって、自分の一票の重みすら感じられなくなっている。

 私は、就職超氷河期に就職活動を経験しました。六〇社にエントリーして、内定は一社しか取れなかった。五、六次面接まで通過し、ようやく役員面接まできて、落とされる。あれだけ自分の長所・短所と、一所懸命アピールさせられたのに、それが「ご縁がなかった」の一言で終わり。数多くの会社を落とされると、自己否定された気持ちになるんです。私ってよっぽど適性がないのかなって……。当時は、本当に社会と断絶されたかのようでした。二〇代前半の若者にそんな辛い思いをさせるのが就活なんです。

雇用者を分断しない

 就職した民間企業では、企業のCSR(社会的責任)報告書の作成に携わる仕事をしていました。でも、リーマン・ショックがあって、「派遣切り」が蔓延したのに、報告書に「派遣切り」という文言は出てきませんでした。企業の社会的責任って何なのか。

 私は、今の状況を変える一つの突破口は「ブラック企業」問題だと思っています。「ブラック企業」という言葉はネットから発生したスラングですよね。この言葉はマスコミが名付けたのではなく、若者自らが生み出したもの。これまで雇用問題というと、正規か非正規か、もしくは、公務員か民間か、若年世代か高齢世代か、といった分断がありました。でも、「ブラック企業」というと、それら全てが同じ土俵で議論できる。つまり、正規であれ、非正規であれ、人を使い捨てにするような働かせ方をする企業があれば、その企業のやり方はおかしいし、その企業を助長させるような政治もおかしい。そういった問題提起をした言葉だと思います。

 そうは言っても、「私より働かない上司がなんで高給なの」とか「民間企業は不況で厳しいのに公務員は恵まれている」「大変とはいっても正社員は非正規の自分よりはまし」という声もよく聞きます。実際に働いていたらそういう思いがでてくるのもわかる。でも、五〇代、六〇代の待遇を下げたからといって、若い世代の待遇がよくなるとは限らないですよね。もしくは、自分たちがその世代になったらどうなるのか。また、こういった対立を喜ぶのは誰なのか。対立や分断を越えながら、働く人の待遇を少でもよくするために取り組みたいと思っています。そして、いろいろな立場の人と一緒に声を上げて政治を変えていきたい。

古くて新しいスタイル

 最近、よく「(共産党の)イメージを変えましたね」と言われるのですが、私自身はとくに変えたつもりはなくて……逆に戸惑っています。

 でも、何かあれば必ず現場に足を向けるのが、私の活動スタイル。今、困っている人、声を上げている人がいたら、その現場に行き、その場にいる。これは、従来の共産党と何ら違いはないと思います。私は今回、公約として、闘いがある現場の声をまっすぐ国会に届けると訴えました。これは決して新しいやり方ではないし、今回、党が躍進できたのも、この共産党のスタイルが浸透してきた結果。これをもっと広げていきたい。

 立候補することを友人に伝えたとき、「共産党以外から出ればいいじゃん」とか、「でも、(共産党って)力ないでしょ」と言われたこともあります。党に対して、そういった評価があることは確か。でも一方で、若い世代には「共産党」に対してのアレルギーは少ないとも感じています。私が入党した動機を話すと「へえ、戦争中に反対って言っていた人たちがいたのね~」って反応だったり(笑)。

 社会をよりよくするために、他党とも一緒にやれるところは共闘しつつ、進んでいきたいですね。

(まとめ・撮影/弓削田理絵・編集部。9月20日号)

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