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毎月勤労統計に見る今夏のボーナスやいかに?

本日、厚生労働省から毎月勤労統計が発表されました。月次の直近は9月の統計ですが、今夏のボーナスについても集計されています。夏季ボーナスは調査産業の平均で約35.9万円支給され、前年比+0.3%増とわずかながら昨年よりも増えました。業績見合いの分が増加しているにしては吝い結果だと受け止めています。もっとも、電力料金抑制のため電力会社が大きくボーナスを減じた影響がマイナスに効いているのは確かです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

13年夏の賞与、3年ぶり増加 平均35万9317円、前年比0.3%増
厚生労働省が31日発表した毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、6-8月に支払った2013年夏の賞与は前年比で0.3%増の35万9317円と増加した。3年ぶりにプラスに転じた。円安を背景にした企業業績の回復を反映した。
業種別では製造業が0.1%増の47万2285円に拡大した。このほか情報通信業が7.1%増の64万2770円となったほか、建設業も35万7458円と5.4%増えるなど、幅広い業種が景気持ち直しの恩恵を受けた。
厚労省が同時に発表した9月調査をみると、従業員1人平均の現金給与総額は前年同月比0.1%増の26万5376円だった。残業代などの所定外給与が伸び、3カ月ぶりに増加した。基本給や家族手当など所定内給与は0.3%減の24万1855円。賃金水準の低いパートタイム労働者の割合が増えたことで16カ月連続で減少した。ただパートタイム労働者を除く一般労働者の所定内給与は0.1%増と4カ月ぶりに増えた。
9月の残業代などの所定外給与は3.5%増の1万8542円。製造業の所定外労働時間は7.0%増の15.4時間と2012年5月(12.8%増)以来1年4カ月ぶりの高い伸びだった。足元で生産活動が活発になっていることを映した。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。影をつけた期間は景気後退期であり、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月と仮置きしています。


まず、月次統計を見ると、上のパネルの所定外労働時間なんですが、それなりに景気動向には敏感な指標ながら、ここ半年くらいは昨日取り上げた鉱工業生産指数との乖離が私はやや気になっています。季節調整の影響ではないかと危惧しています。いずれにせよ、鉱工業生産指数と同様に、リーマン・ショック前の水準はおろか、昨年のミニ・リセッション前の水準もまだ回復しておらず、その意味では、賃金上昇圧力はまだ強くない可能性もあります。下のパネルの通りです。引用した記事の通り、現金給与総額は前年同月比でプラスになりましたが、所定内給与はパートタイム労働者の比率の上昇でマイナスを続けています。ただし、後にくわしく見る通り、今夏のボーナスは微増したようです。


ということで、夏季と年末のボーナスの前年比をプロットしたのが上のグラフです。今年2013年の夏季ボーナスは前年比で+0.3%増と、わずかに水面上に顔を出しましたが、その前2年間のマイナスが大きく、震災前の水準は回復していません。昨年暮れからのアベノミクス効果によって企業の業績が向上し、その見合いでボーナスはもっと増えるかと期待したんですが、やや期待外れの感があります。内閣が旗を振って経団連まで巻き込んだ賃金アップのためのカギカッコ付きの「国民運動」は、この先、どのような結果をもたらすのでしょうか。



産業別の夏季ボーナスの詳細は上のグラフの通りです。引用した記事にもある通り、調査産業計で35万9317円、前年比+0.3%増でした。毎月勤労統計の賃金統計には官庁は含まれまれていないと記憶していますので、公務員のボーナスを含めるとこれよりも高い可能性はありますが、いずれにせよ、過去最高に迫るくらいの業績の回復ほどにはボーナスは増加していないと受け止めています。もちろん、電力料金の引上げを抑制するために、電力会社でボーナスの削減などが実施された影響が大きいと考えられますし、ここ数年で雇用を増加させているものの非正規雇用の比率が高い医療・福祉のボーナスも水準が低い上に昨年から減少している、といった影響も今年の夏季ボーナスの下押し要因となっていることは理解すべきですが、株価や企業業績と比較した賃金や雇用条件の低迷が気がかりです。私は promarket な経済政策は賛成ですが、農業保護や企業のみに利益をもたらすがごとき probisuness な政策はそろそろ国民生活重視に向かうべきではないかと思わないでもありません。それにしても、ここまで夏季ボーナスが吝かったとは私の予想外でした。もっとも、私の予想が甘過ぎたのかもしれません。

雇用を見ると量的な需要はそれなりにあるものの、質的な賃金や雇用条件などが改善を示すに至っておらず、非正規雇用の重しが暗い影を投げかけています。例えば、週刊「エコノミスト」誌の10月29日付けの号の pp.32-33 で一橋大学の深尾教授は、製造業の非正規労働者の生産性の低さは賃金格差よりも大きく、すなわち、企業は人員調整しやすい非正規労働者を雇うために生産性以上のプレミア付きの賃金を支払っている一方で、非正規労働者には教育・研修の機会が少なくて熟練が蓄積されず、経済成長が妨げられる可能性を指摘しています。さらに解雇条件を緩和して熟練の蓄積を阻害するような規制緩和は沙汰止みになったように報じられていますが、企業業績に貢献するだけでなく、将来も含めた経済成長に寄与するような経済社会全体としての雇用のあり方を考える必要があります。

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