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真の失業率──2013年9月までのデータによる更新(付:物価と給与の推移について)

 完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。

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 完全失業率(季節調整値)は4.0%と前月から0.1ポイント低下、真の失業率も前月に引き続き順調に低下し、4.9%となった。この結果、完全失業率(公表値)と真の失業率との乖離幅は0.9ポイントまで縮小した。先月注目したハローワークの新規求人数も増加に転じ、今月の数値には、全般的に、先行きの明るさが戻っている。

物価と給与の推移について

  消費者物価の上昇は、引き続き輸入物価の上昇が主因であるが、需給ギャップの改善(コアコア部分のマイナス幅の縮小)もみられる。ただし、先月も指摘したとおり、対ドル相場での円安傾向はこのところ一服しており、現在のような形(コスト・プッシュ型)での物価の上昇は、遠からず落ち着いてくるものと考えられる 。

 なお、消費者物価(生鮮食品を除く総合、コア)と所定内給与(概ね基本給に相当)の水準の推移を比較すると、つぎのようになる。

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 第1にいえることは、完全失業率はリーマン・ショック前の水準にまで改善しているが、給与の水準はまだ相当低い水準にとどまっていることである。これは、個々の人々の給与が減少したこと以上に、給与の少ない非正規雇用者が増加したことが影響している。給与の水準が低いことは、ほぼ同時に、物価の水準が低いことも意味する。

 第2にいえることは、2008年半ばから2010年当初までの間、給与が停滞する中で物価が上昇したことである。この間の物価上昇はコスト・プッシュ型であり、企業にとっては、給与引き上げ余力を高めることにつながらなかったことが窺える。

 足許でも、給与に先行して物価が上昇する動きがみられるが、グラフの方向感は当時とは逆である。今後は、労働市場がさらにタイト化する中で、需給ギャップの縮小による物価上昇(ホームメイド・インフレ)へと移行し、企業の給与支払い余力が高まることで、給与の増加へとつながることを期待する。当面は、最低賃金の引き上げによるパート賃金の増加などが見込まれる。

 なお、このところ、構造的・摩擦的失業が大きく、需要不足による失業の改善余地は限られているとの論調もみられるが、それは一部においては事実であるものの、上述のような事実もあることから、大宗において、こうした論調に賛同することはできない。

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