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原発稼働せず、逼迫するのは電力会社の経営(弓削田理絵)

 9月15日、関西電力大飯原発4号機が停止、定期検査に入ることで、日本は1年2カ月ぶりに「原発ゼロ」になる。だが、再稼働申請されている原発は計12基。原子力規制委員会による新規制基準の適合審査が進められるなか、早ければ年明けにも再稼働される原発が出てくるかもしれない。

 九月一五日、唯一稼働中であった関西電力大飯原発4号機(福井県おおい町)が定期検査に入る。再稼働に反対する多くの国民の声を無視し、民主党野田政権(当時)が再稼働に踏み切ってから一年余り。日本は再び、「原発ゼロの日」を迎える。

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関西電力の高浜原発。高浜原発3、4号機は再稼働申請されたが、津波想定の不十分さが指摘された。(撮影/編集部)

 昨夏は、電力需給が逼迫するという関西電力の要請により、大飯原発3、4号機の再稼働が認められたが、昨夏の関西電力のピーク時の電力需要は二六八二万kW。猛暑だった今夏こそピーク時に二八一六万kWを記録しているが、環境エネルギー政策研究所(ISEP)の松原弘直理事は、「今夏のような状況だと、関電はピーク時の電力供給に不安があった。だが、今年は昨年並みに電力需要を抑制するための節電目標を立てていない。西日本間の電力融通と企業によるピーク時の節電があれば、3、4号機が稼働しなくとも電力需給には問題ないはずだ」と言う。

 原発の停止に伴い、原発を持つ九電力会社は、「電力需給」の逼迫を訴え、各電力管内の消費者に対して節電を呼びかけた。最も電力需要が高まるとされる夏のピーク時の電力需要は、各会社ともに福島第一原発事故前(二〇一〇年)から減少している。

 一方、ISEPの試算によると、一〇電力会社の化石燃料購入費は二〇一〇年度の約三・一兆円から二〇一二年度は、約六・三兆円と倍増した。しかし、二〇一二年度の火力発電による化石燃料(LNG、原油、重油、石炭)消費は二〇一〇年度と比較して約三七%増加にとどまる。

 電力会社は、この間、火力発電の燃料費増加等を理由に電気料金の値上げを {お願い} しており、結果、今年九月までに東京電力をはじめ、北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力、九州電力が値上げを実施している。

値上げは仕方ない?

「原発関連の原価の八割は維持費。一方で火力の場合、ほどんどが燃料費。原発が稼働せず、火力が焚増しされれば、その分コストが上がるのは当たり前で、今が一番高い状態」

 大島堅一立命館大学教授はこう指摘する。大島氏は、関西電力が値上げ申請時に提出した資料をもとに原発を廃止した場合の影響を試算。大飯原発3、4号機、高浜原発3、4号機の発電量を仮に火力で代替したとしても、その焚増し燃料費は、原発のコスト(維持費等)を下回る可能性があるとして「再稼働か値上げか、は選択肢でない。本来、原発廃止か維持か。原発を廃炉にすれば、原発のコストがなくなるので、原発ゼロで国民負担が増えることにはならない」(大島氏)という。

ツケは消費者に転嫁?

 だが、原発を廃止した場合、電力会社の損益には大きな影響が出る。稼働四〇年未満の原発が廃炉になれば原発施設の資産価値がゼロになり、巨額の除去損が生じる。結果、会計上マイナスになり、電力会社は債務超過に陥るといわれる。そのため政府は六月に廃炉費用の一部も電気料金に算入できるよう検討に入った。

 また、関西電力はオール電化住宅割引(はぴeプラン)を継続している(二〇一五年四月一日以降は新規加入休止)。火力燃料費の増加で厳しい経営状況のため、電気料金の値上げをしたはずだが、なぜ、オール電化の場合には一〇%もの割引ができるのか。その分、一般消費者の値上げ分に上乗せされているのではないかとの疑念も生じる。関西電力に見解を尋ねたが、期日内に回答を得ることができなかった。

「原発が稼働できないのは、電力会社が {安全な原発} を作らなかったのが原因。原発依存による経営の失敗の責任は電力会社が取るべきこと。なぜ、その肩代わりを消費者がする必要があるのか。原発に依存して変な経営をしたら潰れるという方が、本来、健全ではないのか」(大島氏)

 現在、再稼働申請がされているのは、六原発の計一二基。新規制基準で求められるのは、フィルター付きベント装置(沸騰水型のみ)や緊急時対策所の設置などだが、原子力資料情報室の伴英幸さんは、「各原発ともに自然災害への対策が不十分。地震や津波のみならず、火山(噴火)や竜巻などもある。また、立地自治体および三〇キロ圏内の自治体の防災計画は十分なのか」と指摘する。

 九月五日には、大飯原発直下の断層が活断層でないとの結論が出たとして、原子力規制委は申請中であった大飯原発3、4号機の審査再開を表明した。再び、大飯原発再稼働に向けた動きが加速する可能性もある。

 安倍政権は「原発再稼働」「原発輸出」を掲げている。今や原発は、安全性や電力の問題ではなく経済の問題にシフトした。もはや逼迫しているのは電力需給ではなく電力会社の経営の方なのだろう。

(ゆげた りえ・編集部。9月13日号)

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