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第三の矢は放たれるのか?

今年の5月~6月開催のクライアントセミナーでお話したアベノミクスの第三の矢、すなわち成長戦略の行方を占う「国家戦略特区構想」が議論され始めている。 安部総理が打ち出した経済を良くするための景気経済対策は、

①大胆な金融政策

②機動的な財政政策

③成長戦略

これをもってアベノミクス3本の矢と言われている。

現状、①と②が効果的に機能し(期待され)、幾分株価や為替が円安方向にぶれ、私たちの運用成果にも、それなりの好影響を与えていることはクライアントの皆さんも周知のことと思う。

問題は第三の矢③である『成長戦略』である。クライアントセミナーでも触れたが、毎回同じような官僚が決めた補助金をばらまく産業政策(エコ減税などなど)では、本格的かつ持続的な景気回復の効果は期待できない。

大胆な規制緩和を実施し、日本の構造そのものを改革していかなければ、日本に未来は無い。ところが、これまで歴代の多くの総理が取り組んだが、既得権益を持つ業界・団体あるいは政治家・政党に、さらに言えば世論の声に阻まれ、頓挫・挫折してきた。

誰もが果たせなかった偉業を、さぁ安倍総理は断行していくことが出来るだろうか。期待に胸が膨らむのである。

今回、成長戦略の一つである『国家戦略特区構想』なるものが議論され、産業界(民間企業など)から特に要望が高かった【雇用規制の大幅な緩和】がどうも骨抜き見送りになりそうである。 『国家戦略特区』とは、特定のエリアに限定して、これまでに無いような次元の異なる規制緩和を行い日本経済を再生させよう、という政策である。

安倍総理主導の下、政(界)、財(界)、官(僚)が一体となって、日本の強みを引き出して国際競争力を高め、海外から多くの資本(お金)や人材を呼び込み、世界で一番ビジネスのしやすい環境を作ろう!という構想である。

毎回話すように政治家の先生方が唱えるコンセプトは実にすばらしい(決して嫌味ではない)。

今回、それを実行させるために雇用に関する規制(たとえば、日本においては正社員は非常に解雇されにくい。正社員の雇用は強固に守られているということ)を大幅に緩和し、これまでの成熟した産業から成長産業に人が移動しやすくしようとしていたのだが、さまざまな抵抗勢力により、今回これが見送られることになりそうだ。 次元の異なる規制緩和をして『特区構想』を決めようとするのに、従来型の発想で『労働者の雇用が守られない』とか、『弱い者いじめ』などと、後ろ向き発言をして、これまでと変らぬことを繰り返そうとしている。

それでは結果は見えている。

もう幾度もこのコラムで発言したように、構造を変えようとすれば(構造改革をしなければ日本に未来は無いことは全員がほぼ一致した見解を持っているにもかかわらず)、必ず痛みは伴なうものである。

それを避けていたのでは、いつまでたっても構造改革などできようはずは無いのである。

もうバブル崩壊後、20年もの歳月が流れ、何も変らないのだから(失われた10年とか、15年とか、20年と幾度となく叫ばれてきた)、私たちは覚悟を決めるべきではないだろうか!

何でもかんでも、どんな結果になろうとも、『まず、やってみる』。やってみなければ、何も変らないし、たとえそれが最悪の結果を生もうとも、私は安倍総理には世論すべてを敵に回しても、第三の矢を放ち続けてほしいと切に願う。 戦略特区における雇用規制の大幅緩和、さて今後安倍総理はこの問題に対してどのように着地点を見出していくのだろうか。安倍総理の本気度が試される。

歴代の総理のように、声高らかに叫ぶけれど、何も出来ないのか、それとも歴史に名を残す『偉大な総理大臣』となるのか。

安倍総理、頑張って!

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