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スターダスト社はなぜ内部告発の事実を公表したのか?

10月17日に出版社「ぴあ」(ぴあ株式会社 東証1部)が、印刷部数を印税支払い先に虚偽報告していた問題で、ももクロの所属事務所スターダストプロモーションは20日、問題発覚のきっかけが内部告発だったと明らかにしました(スターダスト社のリリースはこちら)。このリリースにより、ぴあ社の内部社員が、虚偽報告の相手であるスターダスト社に内部告発したことがきっかけで本件事件が発覚したことが明らかになりました。また、取引先への虚偽報告が、ぴあ社の取締役の承認のもとで行われていたことも明らかになりました。

しかし、10月17日付けのぴあ社のリリースには、「取引先からの問い合わせで知った」とあるだけで、内部告発のことについても、経営陣の関与についても一切触れられていません。スターダスト社の公表以降、ぴあ社からは何らのリリースも出ていないようです。このような内部告発は、すでに社内で告発者が特定されるケースがほとんどです。告発内容から、どのようなポジションの社員が告発したのかは推測できますし、またそも(まじめな)内部告発の場合、まずヘルプライン(内部通報窓口)に最初に通報するか、もしくは上司や同僚に相談することが多いからです。つまり、スターダスト社からぴあ社に問い合わせがあった9月の時点で、ぴあ社としては告発者がほぼ特定できていたと思われます。

スターダスト社としては、ぴあ社が上場会社であるため、おそらく自浄能力を働かせるものと期待していたと思いますが、あまりにぴあ社の対応に誠意がないものとショックを受けて、内部告発によって発覚した事実を公表したものだと思います。また、内部告発者が悪者扱いされることを防止するために、わざわざ告発文書の要約まで公表したのではないでしょうか。したがって、私的に最も関心がある事実は、この内部告発よりも前に、ぴあ社には社員からの内部通報があったのかどうか、もしくは公益通報者保護法における公益通報(たとえば上司に対する相談等)があったのかどうか、という点です。そのような通報が存在したにもかかわらず、対応していなかったということであれば、まさに自浄能力の欠如が顕著な事案かと。

今回のスターダスト社のリリースからみると、ぴあ社では取締役が不正隠ぺいに関与していたとのことですし、印税支払いを免れていた、ということは財務書類に不正があったことになります。つまり財務計算書類作成についてのコンプライアンス意識の欠如が全社的に存在していた、ということになります。たしかに決算報告の上では、量的重要性に乏しいわけで、リリースにもあるように業績には軽微な影響しかないものと思います。しかし経営陣が関与している不正ということで、これは質的重要性に問題が生じています。

取引関係における不正ということですから、投資家向けの財務報告に直ちに影響が出るわけではありませんが、このように安易に取引上の数値を改編する、ということは決算財務報告プロセスにも明らかに問題があり、これは開示すべき重要な不備に該当し、内部統制は有効とはいえないものと考えます。この点、監査法人さんはどのように考えているのでしょうか。私は、もし今回の事件がぴあ社の全社的内部統制の重大な不備ではないと言えるのであれば、この異常行動(2008年以降、このような不正は他に1件もなかったというのですから、これは明らかに「異常行動」です)が、なぜ取締役関与のもとに行われたのか、その特殊性が誰の目から見ても明らかな程度に合理的に説明できなければならないと考えています。その合理的な説明が認められない限り、ぴあ社には全社的内部統制の重大な不備が存在する、と言われても仕方ないはずです。

ぴあ社が品位ある企業として、誰からも尊敬される企業として、このような不正だけはしてほしくない、という意識で告発に至った社員は、相当の覚悟をもってのことかと思います。事実上不利益な処分を受けることにもなりかねません。それだけの覚悟をもって行った告発の結果が、ぴあ社の公表した処分内容と釣り合うのかどうか、そのあたりはお読みになった方の判断に任せるしかないと思います。ただ、調査委員会が、2008年以降の同種取引の調査を徹底しているとのことですが、これは発見的措置であり、再発防止のための予防的措置ではありません。統制環境に問題があり、全社的な内部統制に不備があるのであれば、その原因を究明したうえで、内部統制に問題が生じないような措置が講じることが必要です。

また、今回のスターダスト社のリリースにもあるように、たとえぴあ社が法令を遵守する行動に出たとしても、それだけでは取引先の信頼は回復されません。社会の信用を回復するために必要な対応こそ、損害を最小限度に抑えるためのリスク管理として必要なことだと思います。

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