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「生産性の概念が欠如」。だから台風でも通常出社しようとする

Chikirinの日記「「生産性の概念の欠如」がたぶんもっとも深刻」より
日本って「生産性」という概念があるのは、工場の中だけなんじゃないの?

それ以外のところ、メディアにも公的部門にも、さらには民間企業のホワイトカラー(管理)部門から営業まですべてにわたり、「この人たち、もしかして生産性っていう概念を全く持たずに働いてる?」と思えて、びっくりさせられたことが(過去3年間の間に)何度もあった。

「昨日、夜中までかかって仕上げた仕事を、残業せずに夕方5時までに終わらせようと思ったら、どういう方法がありえたんだろう?」とかいう、振り返りを全くやらないんだよね。

「今日、8時間かかった仕事を、5時間で終わらせるんはどうすればいいか」って、ちゃんと考えたり、部門内でみんなで話し合ったり、実際に新しい方法でやってみて生産性を比べてみたり、してます?

とても、してるようには見えない人&会社が多すぎる。

引用元
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20131015

・・・・・

まさにその通りだと思う。これこそが日本社会の致命的弱点ではないか。日本社会の衰退の原因ではないか。

今日は10年に1度の強い台風が関東の通勤ラッシュを直撃すると予報されている。にもかかわらず、通常出社を強要する会社も、それにアホみたいに従うサラリーマンも頭がどうかしている。なぜこんなアホなことをするかというと、生産性の概念が欠如しているからだ。

台風が来れば電車は遅れるに決まっている。本数も少なくなると予想されている。混雑や混乱でさらに遅延がひどくなる。すると通常なら1時間で会社に行けるのに、2時間かかったり3時間かかったりするわけだ。

その間、何をしているのか?遅延している電車の中に閉じ込められているか。ホームでただひたすら遅れている電車が来るのを待っているかだ。

この時間ってムダじゃない?遅れるのがわかっているなら、電車に無理に乗ろうとせず、ホームで待っていたりなんかせず、その時間で、スマホなりパソコンなり自宅なりで、仕事すればいいじゃないか。

A:生産性の概念が欠如したサラリーマンは、3時間かけて会社にたどり着き、2時間遅れで仕事を始めました。

B:生産性を考えて行動したサラリーマンは、2時間、自宅で仕事をし、台風の影響がかなり軽微になり、通勤客も減った昼の時間帯に通常通り1時間で出社し会社で仕事を始めました。

Aは2時間、無駄なロスをしているが、Bは電車が遅れていても、台風でも2時間、時間を有効活用し、仕事を進めている。どちらが効率的な仕事の仕方なのかは明白だろう。

ましてや台風の最中に突っ込んだサラリーマンは、会社に着いたはいいが、遅延や混雑でへとへと。そんな状態で果たして仕事の能率が上がるのだろうか?一方、台風混乱のストレスを回避したサラリーマンは、いらぬ疲れやストレスなく、気分よく仕事ができる。生産性の観点から考えれば、後者の方がはるかにいい。

ところが日本企業や日本の社畜には生産性の概念がない。生産性なんかよりも台風だろうが出社する根性と犬死精神が大事なのだ。だから台風だから無理して出社せず、混乱を避けてらくらく通勤するような社員は、会社の輪を乱す不適格な人材とみなされる。たとえ仕事の成果で何倍も貢献していたとしても。

出社することが仕事だと思っている。長時間働くことが仕事だと思っている。いかに短時間で効率よく数多くの仕事をするかという概念がない。そんなことをしようものなら「自分がラクしたいだけだろ!」と、下手したら怒られかねない。

例えば私がサラ金で不動産担保融資をしていた時のこと。不動産の査定は、専門の不動産鑑定士が行う調査と、社員が不動産会社に聞き込んで価格を算出する調査と、2種類、報告することになっていた。

ところがある時、気づいた。審査の担当者は社員の調査書をろくに見ていない。不動産鑑定士の調査結果だけしか見ていない。

ならばわざわざ社員が調査をするのはムダじゃないか。調査するのに1時間はかかる。この調査のために、他の現地調査と合わせて2日がかりになってしまうこともある。2日かかれば、金が欲しいと急いでいる客のニーズを満たせなくなる。2日かかれば、自分の人件費を2日分使うことになる。2日かかれば、交通費も2倍になる。

でも社員の調査を審査が見ないのなら、省いてしまえばいい。省けば1日で済む。だいたい社員の調査書は融資したいがために、専門の鑑定士より甘めに評価をする傾向がある。つまり調査を二重にしたところでリスク管理にもなっていないのだ。

だったらそんな無駄な調査やめればいい。社員調査をやめて1日で済めば、自分の人件費は1日で済み、他の仕事ができる。交通費も1日分で済む。何より1日でも早く金が欲しい客の要望に応えることができる。こうして無駄を省いて自分流に仕事をするようになってから、他の社員に比べて毎月3~4倍の融資をこなせるようになった。しかもどの社員よりも残業はせずにだ。

ところがこういうことをすると、「何、サボってんだ」とか「自分がラクしたいだけだろ」みたいに言われる。でも無意味なことに時間をかけても誰もトクしない。仕事なんだから、いかに短時間でコストをかけずに成果を上げるか、それを目指すべきなのに、そういうことをするのは「ずるい」とかいう人も出てくる。生産性の概念の欠如がなせる技だ。

編集プロダクションに勤めていた時のこと。クライアントにはデザインしたページで見せるので、ワードで書いた原稿の体裁は、デザイナーさえわかればそれでいい。ところがこの会社ではクライアントに見せるわけでもないのに、ワードの体裁をきれいに整えることばかりに時間をかけていた。

でもそれってムダじゃない?単なる自己満足じゃない?そんなことに労力かけている暇あったら、別の取材記事の原稿もう1本書けるだろうにと思って、無意味にワードで体裁を美しくするのをやめにした。

すると上司は怒るわけです。「ちゃんときれいにしなきゃダメだ」と。でもクライアントにワードを見せるわけではない。クライアントに見せるデザインをきれいにするために、時間を割くべきであって、見せないワードを不必要にきれいにしても何の意味もない。

目的と手段が混合している。何が一番大事なのかがわかっていない。無駄な作業にコストがかかるということを理解していない。

結局そういう無駄な作業をしている人ほど、原稿を書くのが遅くなり、多くの仕事をさばけなくなる。一方、無駄を排除し、必要最低限にして、時間をかけるべきところに書けるようにしている方が、その人より原稿を1.5倍以上書き、仕事も1.5倍以上こなしている。能力がどうのとかいう問題ではなく、生産性の概念の欠如意識が、仕事の効率を悪化させているのだ。

台風に限らず、人身事故などで電車が遅延すると、無理に突っ込んでも、電車の中で閉じ込められる無駄な時間が多いので、私は会社員だった頃は、朝、電車が遅延したら、会社に昼に行くと連絡し、その間、自宅でメール処理や原稿書いていたりした。だってそっちの方がはるかに効率いい。

ところが昼に会社に来ると、「おまえ、電車遅延とかいいつつ、のんびり出社して、何、サボってるんだ」というような目で見る人もいる。別に遊んでいたわけじゃない。仕事をしていただけだ。

そういう目で見る人に限って、決められた時間に出社はするけど、出社してからのんびりネット見たりして、だらだら仕事している人が多い。だから昼出社している私の方が、あんたより仕事を数倍もやっているんだよってことがわからない。

でも数字に出すとはっきりわかっちゃう。でも数字だけで評価しない。効率を考え、自宅で仕事をしようが、昼出社するような輩はけしからんという評価になる。そういう生産性の概念が欠如したバカらしい雰囲気があったので、会社を辞めて、フリーランスになった。

フリーランスになるとサラリーマンとは違って、生産性の概念は生命線だ。定時に来ればサボっていても給料をもらえる世界ではない。台風なのに電車に何時間も閉じ込められて無駄な時間を過ごせば、そのツケは全部自分にのしかかってくる。だからできるだけ無意味、無駄なことはしたくない。台風なのに電車に乗って突っ込むなんて、そんなアホらしいことしてたら「倒産」してしまう。そういう危機意識を持って仕事をしている。

でもそれはフリーランスに限った話ではなく、サラリーマンだろうが会社だろうが同じ話。台風なのにがんばって通勤して1時間遅れで出社しました、なんてことをやっているから、業績は上がらないし、給料も上がらない。無意味な時間を使って仕事のパフォーマンスを下げているからだ。

生産性の概念、すなわち時間コストの意識を持って働けば、働き方は大きく変わるはず。いつまでも「台風なのに出社してえらいでしょ!」みたいな、まったく無意味なことに労力をかけるのはやめるべきだ。

それは長期的に見て、自分のためでもあり、会社のためでもあり、社会のためでもある。それができないなら、日本もあなたもジリ貧になり、どんどん沈没していくだけだと思う。

・短時間で仕事をする意識がない人が多い
http://kasakoblog.exblog.jp/13988795/

・朝の電車遅延リスクを想定内と考える、できる社会人の6つの行動パターン
http://kasakoblog.exblog.jp/20497459/

・台風だろうが通常出社を強要する日本社会の玉砕バンザイ意識
http://kasakoblog.exblog.jp/21197304/

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