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アブラハム社の件は「金商法」を学ぶ格好の材料である

アブラハム社が金融庁から「6ヵ月の業務停止命令」という、厳しい行政処分を受けました。

なぜ、厳しい行政処分を受けたのでしょうか。


では、どんな「違法行為」をしていたのでしょうか。

それは、次の3つです。
1. 無登録で海外ファンドの募集又は私募の取扱いを行っている状況
2. 著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為
3. 顧客の利益に追加するため財産上の利益を提供する行為

2番目はいわゆる「誇大広告」で、一般的にも馴染のあることですから、ほとんどの方が理解出来ると思います。

また、3番目は「損失補填・利益供与」といわれる行為ですから、これも感覚的に理解出来ると思います。

では最初の「無登録で海外ファンドの募集又は私募の取扱いを行っている状況」についてはどうでしょうか。この文章を読んで理解できる方は、金融商品取引業(以下「金商法」)をかなり正確に理解されている方だと思います。

投資顧問会社に関わる事件としては、2012年3月に発覚したAIJ事件、2013年4月に発覚したMRI INTERNATIONAL事件が記憶に新しいところかと思います。

しかし、AIJ事件もMRI事件も、詐欺的行為で顧客の資産を焼失させた「事件」ですから、実際の詐欺的スキームが理解出来なくても、多くの人が両社の行ったことが「違法行為」として摘発を受けるのは当然だと感じていたはずです。

これに対して今回のアブラハム社に対する行政処分は、「証券取引等監視委員会もファンドの運用実態を確認している」(日本経済新聞)という状況で発せられたものですから、AIJ事件やMRI事件とは異質のものだと言えます。日経の記事を額面通り受け取ると、AIJ事件とMRI事件には実害を被った被害者がいましたが、アブラハム社の件では直接的に実害を被った被害者はこれまでのところ出ていないということになります。

「誇大広告」と「損失補填・利益供与」という分かりやすい違法行為を除くと、被害者を出していないにもかかわらず、アブラハム社は行政処分を受けました。ですから、何が違法行為だとして行政処分を受けたのかを理解するためには、「金商法」を理解しなくてはいけないということになります。換言すれば、アブラハム社に対する行政処分は、「金商法」を学ぶには格好の勉強材料だともいえるのです。

こうした考えから、今回〝アブラハム社の「業務停止命令」を通して学ぶ「金商法」”という(有料)レポート(表紙を含めA420頁)を作成致しました。NISAの導入も控え、「貯蓄から投資へ」というスローガンが一層声高に叫ばれる中、金商法を理解しておくことは、投資家が大切な資産を守る第一歩になると思います。レポートの「はじめに」と「目次」は無料で公開しておりますので、ご興味のある方には是非目を通して頂きたいと思います。

ところで、アブラハム社に関する記事に対しては、批判的なコメントも頂戴しました。

裁判制度や、「行列の出来る法律相談所」という番組が人気を博していることからも明らかなように、法律解釈はデジタルではありませんし、どちらを優先するか、という立場の違いによっても判断は異なって来るものです。

小生は、自分自身の主張が唯一絶対的なものだと考えておりませんし、自分自身の考えを強要するつもりもありません。自分の経験に基づいたコメントが、Blogを読んで下さる方が物事を判断する際の一助になればという思いで記事を書いているつもりです。実際にお役に立てているかは分かりませんが。

また、Blogを書くに当り、政治家など公的な立場に就かれている方以外の個人攻撃はしない、出来る限り丁寧な言葉を使う、自分のBlogを見解の違いによる議論の場にはしない、ということを心掛けています。

小生の文章に真意が伝わりにくい表記があったことも一因ですが、アブラハム社に対する小生の記事に対して、いろいろな批判的なコメントを頂戴しました。これに対しては、基本的には8日付の「アブラハム社に対する行政処分勧告 ~追加説明」という記事で丁寧に回答をしたつもりでおります。

小生は拙Blogを論争の場にするつもりはございませんので、小生の見解を示すのはBlog内にとどめて来ました。しかし、小生が反論に窮しているという誤った印象を、Blogの読者に与えてしまうのは本意ではありません。

これらのことを考慮し、これまで頂きましたコメントに対しましては、今回の”アブラハム社の「業務停止命令」を通して学ぶ「金商法」”というレポートの中に「寄せられた批判的コメントと筆者の見解について」と「2010年8月メイヤー・アセット・マネージメントに対する行政処分について」という項目を設け、その中で自分の意見を表明させて頂くことに致しました。

小生とは異なった立場からのご意見と、それに対する小生の意見とをお読み頂ければ、一層「金商法」に対する理解が深まると思いますし、法的な論理構成の参考にもなると思いますので、こうした項目を設けることにした次第です。是非ご覧いただければと思います。

最後になりますが、先に述べさせて頂きました通り、小生はBlogでは「汚い言葉」を使用しないよう心がけておりますので、コメントをお寄せいただく際にも、出来る限り「丁寧な言葉」を使って頂きますよう、この場を借りてお願い致します。

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