その主な理由は、私が戦車の削減を主張していたからですが、私が機動戦闘車を推していたからでもあります。
(戦車大好き派の方々は、機動戦闘車が戦車の定数を食うことを懸念している)
が……先日、機動戦闘車の試作車が公開されると、本土決戦大好きで、機動戦闘車なんかじゃ戦えないと機動戦闘車を批判していた方々が、どういう訳か、こぞって機動戦闘車を持ち上げています。
「機動戦闘車(MCV:Maneuver Combat Vehicle) 公開」(週刊オブイェクト13年10月9日)
「機動戦闘車のファーストインプレッション 」(dragoner.ねっと13年10月10日)
変節の理由は、ハッキリしませんが、公開時の記者会見で、「機動戦闘車は新しいカテゴリに属する装備」発言がされたことで、大綱別表の戦車枠に入らないと理解されているためのように思われます。
「機動戦闘車、記者会見等でわかったことまとめ」(dragoner.ねっと13年10月9日)
Q.機動戦闘車は新しいカテゴリに属する装備なのか、あるいは何かの後継なのか?
A.新しいカテゴリの装備と考えている。
しかし、機動戦闘車を大綱別表の戦車枠に入れるか否かを決めるのは技本ではありませんし、先日報道があったとおり、大綱から別表が消える可能性もあるなか、何かの後継車両ではないと解釈するべき発言をもって、戦車枠に入らないと理解するのは早計でしょう。
ただし、年内に発表される新大綱において、別表が維持されるなら、現行大綱の戦車枠が400両なので、現有戦車の状況を考えると、確かに戦車とは別枠とされるか、同一枠とするなら、戦車定数を増やす可能性が高いと予想します。
と言うのは、90式341両、10式53両の合計394両を保有している状況で、まだまだ使用可能な戦車及びそれ用に養成した要員が十分にいる中、わざわざこれを削減するという英断を、防衛省・陸幕が下せる可能性は低いと予想するためです。
しかしながら、新大綱の次の大綱が発表される頃には、90式の退役を見越した装備調達になるはずで、その時には、ロシアが北海道への侵攻の構えでも見せない限り、機動戦闘車は、90式に替わる装備として位置づけられるでしょう。
現在は、まだ試作車が公開されただけの状態で、陸自の中でも、機動戦闘車の評価が出来ている訳ではありませんから、まだまだ紆余曲折はあるはずですが、開発が順調に進めば、機動戦闘車は、戦車に引導を渡す車両となるはずです。
少なくとも、陸自の対装甲車両用の車両としては、中核を占めることになり、コスト的に戦車を国産することには引導を渡す可能性が高いと思われます。
武器マニアの方々は、技本開発官の言葉で舞い上がってますが、日本の防衛を効率的に行うためには、機動戦闘車が戦車に引導を渡してくれることが適切でしょう。
なお、機動戦闘車の仕様については、別に評価記事を書くかもしれません。