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TPPの特徴的なこと

 最近、TPPの話ばかりで恐縮なのですけど、国内的に盛り上がっているのでもう少し続けたいと思います。

 TPPを「特殊な協定」とよく形容する向きがあるのですが、何が特徴的なのかと考えてみました。「関税の撤廃率が高い」、これはむしろ90%未満のところで妥結してきた日本の方がこれまで特殊な部類に入るわけでして、世界のスタンダードからするとそれ程特殊ではありません。その他の分野でもあまり特殊感がある部分というのはありません。

 そもそも、自由貿易協定の本来の理念というのは「締結国間で経済が一体化するくらいまで統合するのであれば、本来の国際ルールである最恵国待遇(ある国に障壁を下げればすべての国に下げる)の例外としてもいい」というものです。この例外、本来はベネルクス三国のような国の経済希望が小さい地域での経済統合ルールとして作られたのだろうなとは思いますが、いずれにせよ、今はそれが世界的なルールの基礎になっています。

 そういう中、私が見て「これはTPP(というかアメリカ)の理念が強く出ているな」と思うのは、競争の分野の「国営企業」の部分です。国営企業と民間企業の競争条件を揃えたいという発想は、アメリカの産業界が強く求めているものですが、私はここが「TPPの最も特徴的な部分」ではないかと思います(それ以外にもアメリカ色が強いのは知財、環境、労働といったところです。)。

 ベトナムのように共産主義体制の結果として国有企業が多い国、マレーシアのようにプミプトラ政策(マレー人優遇)を取っている国などが対象なのでしょう。これらの優遇措置を早期に解消していこうということです。ただ、この交渉は何を国営企業と看做すかによっては日本にも影響が出ます。そこは我々が普通に国有企業と思っていないものまでが入ってくる可能性すら否定できないわけです。

 多分、大丈夫だとは思いますが、現在、WTO政府調達の分野ではNTT、JR、郵政などは「政府」調達の対象から外れてはいません(全体像はこれ です。農水、厚生労働関係が多いように見受けられます。)。また、国家貿易と言われる通商ルールの中ではコメ、麦等の農水省が関与する輸入は国家貿易企業として扱われています。ちょっとしたワーディング次第では、日本の「一見我々が国営企業だと認識していないもの」がバーっと入ってくることすらあるわけです。

 しかし、日本にとっては攻め所でもあります。国営企業が幅を利かせるベトナム、マレーシア市場の窮屈さを解消できるかもしれませんし、将来的にTPPでのルールをスタンダード化して、将来的に他国との自由貿易協定に盛り込んでいく発想もあり得るかもしれません。

 日本の戦略として、この「国営企業」のところで攻めに出るのか、守りに出るのかみたいなことがもっと議論になっていいのではないかなと思います。日本の産業界からももっともっとインプットが欲しいところです。ともすれば、この手の議論で日本は「ルール・メイカー」ではなくて、「ルール・テイカー」であることが多いです。「出来たルールにどう適合していくか」でなく、少しでも我田引水をしていくべきだと思います。そこには非常に大きなビジネス・チャンスがあるはずです。

 交渉担当者からすると「そんなこと分かっているよ」ということなんでしょうけども、報道ベースでは、この国有企業の話はいつも「米対新興国」の構図でばかり取り上げられていて、どうも我が事としての認識が薄いのではないかと思います。とんでもないことです。

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