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2011/07/24 飯田哲也氏 講演会 in 大阪(1)

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2011年7月24日に桃山学院大学で行われた、  飯田哲也氏による講演「福島から考えるこれからのエネルギー政策」の録画映像と、関西中継市民の @mymsek さんによる文字起こしです。




今日は福島からの政策を、皆さんとディスカッションを通して議論できればと思います。

もともと私は大学で原子力を学んでそのあと産業、いわゆるもの作りの現場、それから原子安全委員会の裏側の仕事と日本の原子力を支える主要な部門を、駆け足でひと通りまわって、つくづく中身がからっぽな、全体として原子力推進だけはあるのだけれども誰一人として実質を支える人がいない状態だと言うことを体感してきたわけです。
福島第一の中にある鑑識貯蔵施設という、使用済み燃料をプールよりは安全に貯蔵できる施設の設計・製造・および許認可に携わったので、福島第一発電所は自分にとっては縁があるのです。今回の事故はまちがいなくその実質のない原子力ムラと私が名付けた組織的な状況がもたらしたもの、というだけではなく、事故が起きてからの対応もまさにそのからっぽさが表にさらけ出されていて、今日までその状況が続いています。

今回の事故を、日本の近代史における第三の転換期 明治維新、太平洋戦争に継ぐ三つ目の転換期に、これから10年、100年先に振り返った時にまちがいなくそうなると思いますし、我々がそうしないといけないのです。それは単なる比喩というよりは実質的に継続しているものがあります。一つは太平洋戦争の時に戦略として、もしくは戦術としてもはや全く無力になっていた、少なくとも主力ではなかった船艦ヤマトムサシを最後はむざむざと犬死にさせるような状態で沖縄に向かって行きました。それを一生懸命作ることには全力を尽くしたけれども、全体としてはそれが資源、石油の不足を生み、肝心の航空戦ではいずれにしても負けた戦争であるとはいえ技術の洗濯として大きく間違ったということもあります。

野中郁次郎さん、戸部良一さんの書かれた名著、失敗の本質という本には、ノモンハン事変からずっと日本の戦略というのはどうしてことごとく間違えたのだろうと日本の参謀本部の指導者の力のなさを洗い出している訳ですが、その構造は実は戦後も続いていて、技術選択の失敗、実際に責任をとらないまるで無能な指導者、そして失敗しても全く責任をとらずに生き延びて同じ失敗を繰り返す状況が続いています。

一般社会に目を拡げてみると、やはり太平洋戦争の時には極めて強い統制がはたらいていて、戦争を疑う声、天皇を疑う声は一切封印されたものとなったのですが、その状況は311前に原子力を問う声、電力会社を問う声というのはマスメディアから一切排除されていた状況と全く一緒です。311が終わってようやく、原子力の話がおもてに出はじめたというのは、まさに8月15日の終戦の瞬間から一億全員がいきなりアメリカさんこんにちはといったみんな民主主義という状況にコロッと変わった状況に大変良く似ています。

311が起きて、一番素早く動いたのはドイツです。3月11日に地震が起きた4日後、3月15日にドイツは7基の古い原発を停止しました。その後さらに1基を停止し、合計8基。さらにそのあとで倫理委員会というものを儲け、6月はじめには脱原発をする決定をして2022年まで原発依存するということがドイツの議会で可決されました。イタリアは国民投票、スイスは閣議決定で2034年で脱原発、スウェーデンはあまり目立たないようですけれども基本的には原発を長期的に閉鎖していくという流れになっています。その中でドイツ、イタリアと日本で新三国同盟だと。昔の三国同盟を想起すると今日的には今ひとつすっきりしない気分はみなさんあると思いますが。一方でアメリカ、フランス、英国、ロシア、中国、インドは原子力をやめるということには全くなっていないのです。フランスは、そうはいっても国民世論の7割、一部の調査では8割がを超える国民がもう脱原発宣言をしている訳ですが、国の政策としては揺るいでいないと。

ただ一応念のために言っておくと、アメリカは1974年に最後の原発ができてから今日まで、一基の原発もできていません。フランスも、今 一基作っているだけでフランスの電力の原発のシェアは7割ですが、いけいけドンドンでこれからも着々と増やすと 311 前の民主党やそのまえの自民党の原子力立国計画という、ありもしないような妄想的なことを行っている国は先進国の中ではない。

イギリスは、政府が低炭素社会のために原発を作るということをいつも出すんですが、CITYというか、金融セクターがそれを全て否定していくので現実的にはイギリスに原発はできない。こうして見るとまさに朝生で議論になってきたのですが、原発を維持することに政府が固執している国と、そうでない国とがはっきりわかれていて こちら(ドイツ、イタリア、スイス、スウェーデン)は旧連合国、こちら(アメリカ、フランス、英国、ロシア、中国、インド)は旧三国同盟および中立国になっていて、これははっきりと、こちらに並んでいる国は核兵器を持っている。やはり軍と繋がっているが故に原子力を売り出しにくいという環境が間違いなくあるが、こちらは核を持たないほうが原子力を◯◯◯(19:16)

日本は核を持たないのに、アメリカ、フランス、イギリス、ロシア、場合によっては中国、インドより派手に盛大にこれから原発を作るんだと311までは言っていたのですが、これから2030年までに原発を14基作って、日本の原発のシェアを5割にすると、非常に威勢のいいことを言ったんですが、原発を持たない国がなぜこんな状況なのかということは、またあとで見ていきます。

この全く現実に基づかない、まさにこれがかつての軍艦を作り続けた軍のような、原発を作り続けた原子力官僚という仕組みは、全く良く似ています。

そして電気が足りない、と言う話は、まぁあまり本質的な話ではないので簡単にさばいて置きたいのですが、はっきり言いたいのは、経産省がやっていることは、一歩はなれて客観的に見るとあまりに変だ、というか、普通の政府がやることではない。

まず一つに、需要を異常に高めに見るんですね。電力会社ですらこの311の前に出していた今年の夏のピークの数字はかなり控えめだったのですが、経産省ははるかにそれを超えた数字を出してはばからないというか、全く今もひっこめてないんですね。東電管内の数字で言うと、東京電力はもう今や311の前は5750と言っていたのですが、311のあとは5500と言っている。経産省は未だに公式文書で6000という数字を変えない。非常に意固地になって高い数字、電気がいっぱいいるんだと。供給サイドの数字は、今はちょっと変わってきましたが、当初は揚水を除く数字しか出さなくて、あと経産省傘下の御用研究所ももっと上の数字だったのですが。供給を少なく見て、需要を多く見せる数字を出すわけです。それで管さんに呼ばれて「揚水があるだろう」とか「埋蔵電力があるだろう」ということで、今またガチャガチャやってるんですが。とにかく電気が足りないという数字を出させようとします。
実際に電気ということを考えた時にこれが今年の夏5700で想定されていた頃、産業過程業務、ですね。(飯田先生、図を使って説明 22:15)これが一年間にわたって平日と週末、それから春夏、とこういうカーブがあって、この一番ピークの高いところから順に一年間ならべてやると、こういうカーブになるんですね。

一年間というのは、24時間×365日なので、合計8760時間。そのうち一番ピークの高いところから低いところをならびかえてやると、これを需要曲線というんです。一番大きいところを拡大してみるとこんな感じで、これは去年の東京電力管内6000万kwから100万kw下がったところまで、つまり5900万kwを超えて6000万kwの間にあった時間というのは、一年間のうちわずか5時間。さらに下がって5500を超えて6000までカバーしていた、突き抜けていた時間というのは165時間。これは一年間の8760時間で割ると、わずか2%ですね。さらに1000万まで5000を超えて6000を超えていた数字は、消えてますけど、だいたい300時間ぐらいです。要は、今電気が足りるか足りないかというのは、ピークの時に需要と供給が合うのか、ということですから、例えば5000とかだったらここから先、(24:02)ここで考えるんですね。

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