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2011/07/24 飯田哲也氏 講演会 in 大阪(2)

【質問者】

「いつもお世話になってます、毎日新聞の社会部の記者の日野といいます。飯田さんにはいつもお世話になっております。

最近、原発と自治体というテーマで取材をしていて、原発がある自治体というのは原発そのものが好きなわけではなくて、国策というものに、日本のエネルギー政策というものにそもそも繋がっているというのが誇りというべきか、すがっているような状況であるということが私自身も実感できたんですけど、先ほど飯田さんがドイツであるとかスペインであるとか自然エネルギーが普及している国というのはもともとが地域、社会というか、地方自治が分散して権限を持っている国が多いように感じるんですが、逆に日本を見てみると中央と地方で二極分化していて、地方はかなり疲弊している状況。ただ地域分散型電源であるという自然エネルギーの前提を考える場合、どういう状況整備、政策誘導をしていったら拡大すると今 飯田さんが考えていらっしゃるのかということをのが1点。

それから、国として逆に、エネルギー政策そのものを考えていること自体がマイナスになるんじゃないかという、私自身、疑念を持っています。エネルギー政策を国が考えるべきなのかどうかということも含めてご意見を聞かせていただければと思います。」

【飯田】
「最近福島の佐藤前知事が言ってたのかな。日本の原子力政策、国策は、まさに地方の民主主義をズタズタにしていると。国策というのは、地方の人も嘘だと分かっていながらそこにすがっているようなところもありますし、実際私は上関に関しては、現地で推進的な立場の人も、例えば中国電力が上から目線で 俺たちが金めぐんでやってるんだろ、みたいな形で地域にズカズカと割り込んでいることもあまりおもしろく思わないけれども、しかしそこしか頼るところがない。福島、双葉とか関電の美浜とか見ると30年後40年後には本当に寂れるかもしれないことも分かっていながら、しかし今何もしなければもっと寂れてしまうというような、ある程度問題は分かっていながらもそこにすがらざるをえないという苦しみの中で、国策、というある種フィルターのようなものをかけているようなところがあると私は思います。

条件整備としては、先ほどのコミュニティーパワー三原則のような、国と地方の関係も含めて言うと、ヨーロッパがこれまで培ってきた補完性原理という、個人が、というか一人一人の、自分自身が決めて行きていく権利をまず中心にとらえて、それを支えるためにより大きな主体があるんだと。個人を支えるために地方自治があって、地方自治は個人ができることには介入しない、できないことは支えるというこの二つの原則が成り立つこの補完性原理が、地方自治と県、県と国、ということが健全に本来は成り立たないといけない。そういうものがあってエネルギー政策に関してもそういう原則で営まれるエネルギー政策であればナショナルでやることはあるんだろうと思うんですが、国レベルで、今の経産官僚と電気会社と原子力ムラが暗躍をする、あのエネルギー政策は確かに、むしろないほうがいいかもしれないようなえげつない状況がある。一番望ましいのは補完性原理がベースにあってあとは先ほどのコミュニティーパワー三原則のようなものが成立するっていうのが一つの理想です。現実面としてどう増やしていくかの条件整備で言うと、国の今の全量買い取り制度がまがいなりにも成立して、それのカップリングとして、県なり市が自らの政策によって、そういう原則に極力沿うような、補完的な条例なりルールをくっつけて作るのがいいんじゃないかと思って今私は動いている。名古屋とか、長野市とか、世田谷区とか、高知県とか、あるいは秋田とか。秋田はちょっと行政が動きにくいですけど。
地方自治には一応、条例という、強制力のあるルール作りの権限があるので、国が作る法令というのは穴だらけだし上から目線だし、問題がどうしても残ってしまう部分を、それを地方自治がどう埋めれるかってことが一つのチャレンジです。カナダのオンタリオ州の例で、一昨年の11月に買い取り制度を導入したのですがそこでは追加条件があって、オンタリオ州でできた太陽光や風力でないと条件が適応しないっていうのがある。それでオンタリオ州は1年で1兆円以上の太陽光、風力の工場が立地して、ものすごい今、活気を呈している。で、WTOで訴えられてるんですけど、そんなの関係ないってやってる。
例えば、市町村レベルだったら固定資産税という重要な武器があるので、例えばこの和泉市でできる太陽光発電は和泉市でできた、和泉市の人が工事をしたほうがいいのかな。地域経済に役立つような追加条件を満足したものは固定資産税を0にしますよ、みたいな形で地域経済に役立つようなルール付けをしていくことで、現実論としての地方自治、地方経済の保管をするようなやりかたをやってもいいのかな、と思います。」

【司会】
「エネルギー政策のほうに、何か質問があるというかたでも結構です。まず、そちらの。」

【質問者】
「お話ありがとうございます。環境政策と環境経済を勉強してる学生です。節電についての質問なんですけど、関西圏で行われていう節電要請っていうのは、この福島の事故がなくてもありえた話なんでしょうか。猛暑、とかそういうので供給が足りなくなって節電市内と行けないという話なんでしょうか。メディアを見ていたら原発の必要性を訴えられている気もしなくもないんですが。よろしくお願いします。」

【飯田】
「福島の事故がなかったら節電要請はなかったんだと思いますね。まず、物理量として普通に再稼働をしていたでしょうから、特に国のほうがそういう節電要請をしないといけないような状態ではなかったということと、東日本全体が、今は電気は十分足りているんですが、ある種の連鎖反応として節電という動きがあるのと、その背景には今、言われるように、原発が止まると日本経済と電力需給がとんでもないことになるという、その最初の第一歩として節電のお願いというのを関西電力がやったという側面が間違いなくあると思う。」

【質問者】
「◯◯◯(2:14:32)。私どもの団体は主に◯◯◯(2:14:41)チラシにも入れさせていただいたんですけれども、原発以降、2020年 ◯◯◯ 難しいという助言をされたというのは、先ほど飯田さんがお話いただきました、原発推進。◯◯◯ 火力発電 ◯◯◯ 25%削減が出来ないのは、真ん中の化石燃料に行くからという、そういう主旨で政府が導入したと思われるんですけれども、私どものほうでも福島が起こる前に原子力発電40年廃炉で、経済成長を止めないまま25%削減は可能であると。311以降30年廃炉というシナリオを出してそれも可能であると。内部から、30年では遅いということで、2030年全廃というシナリオを作り直しました。そのシナリオに関しましても2020年25%削減は可能で、その大前提としてあるのはやはり再生可能エネルギーの普及、その普及に伴うための大きな政策導入が必要であるということで、それは非常に経済発展を伴う ◯◯◯(2:16:14)も生むということも求めていますので、そのへんの、ISECのほうに対しても合わせて提言をしていただきたいということと、先ほどのかたの質問の回答にはならないかと思うんですけれども、私個人としましては信用できる情報としてはISEC、原子力資料情報室、WWF、◯◯◯ジャパン(2:16:28)というところは出来る限りにおいては私達市民の視線に立って提言を行っている。◯◯◯(2:16:40)思っていますので、ご理解いただきたいと思います。」

【飯田】
「ありがとうございます。ご紹介いただきまして。今ちょうどISECもIJESとシナリオを充実させようとしていますし、市民ネットワークも、市民調査会も◯◯◯(2:16:59)さんがコーディネーターでやろうというのがあって、そうういった方向性は、温暖化対策と脱原発とを共存させたシナリオはこれから一番やっていかなきゃいけないシナリオだと思ってます。」

【司会】
「その政策というところで、固定価格買い取り制度という今の案について不十分な点とかそういうコメントがありましたら。」

【飯田】
「今の案は、まず、法律そのものについては基本的にはそんなに問題はないんですが、1点だけ送電線のところで、電力会社が第5条のただし書きで、買わなくてもいいということが書いてあるので、本来的にはそこは削除しなくてはならないのですがたぶんそういう協議はなされないだろうということと、実際の普及を担うのは平行して作られる政省令と言われる省庁が作るものですね。そこが311前の電力会社の影響で全部骨抜きにされてるようななルールなので、本当はそこに手をつけないといけない。そこに手を突っ込もうとすると今経産省そのものがそうだし、経産省の事務方、その周りに蔓延ってる御用学者の人達というのはそもそも自然エネルギーを普及させないことがマインドである人達なので、それこそ菅さんが言った自然エネルギー推進庁とか環境エネルギー省は本当は新しいそういう省庁を作らないといけない、それだけの事故だと思うんですが、なかなかそういう大胆な省庁再編
どころか人事の一人すら動かせてないので、国家戦略室も国家戦略協議もできない。ここに民主党政権の限界があるのと。

それから今、一番ホットな話題になっているのは、電気料金の上乗せコストを0.5円の上限にしようという協議が民主党と自民党の間でされているということですね。0.5円を上限にしたらそれで普及の頭うちになってしまうんですけれども、実際のところ速報も出しましたけれども普及をさせるとその分、化石燃料が節約できるので、0.5円分 上乗せをさせると、実は0.5円ぐらい化石燃料が節約できてるんですね。それを無視してるということと、化石燃料だけでもこの春から1.5円分ぐらい上乗せになっていて、このまま化石燃料の値段が上がっていくと7円ぐらい上乗せできるような、今、燃料費調整制度があるんですね。そっちの方は目をつぶったまま自然エネルギーだけ頭打ちにするというとんでもない民主と自民の野望が動こうとしているのが国会で一番ホットな話ところで。まぁどこまで行ってもどうしようもない人達だなぁというのが今国会で起こっていることです。」

【司会】
「あと一つが二つにしておきたいですが。本学の先生方、含めて、どなたか。」

【質問者】
「社会学部の岩尾と申します。時間の関係でたぶん省略された部分だと思うのですけれど、自然エネルギーが不安定であると、風力の太陽もね。 ◯◯◯(2:20:59)できないというのは素人でもよく分かる問題点だと思うので、それを言われるとそうかいな、と思ってしまう部分ではあるんですけれども、その辺はどうご回答されるのかなと思って伺いたいところです。」

【飯田】
「これには短中期的な答えと、中長期的な答えがあるんですね。その前に風力発電とか太陽光発電が不安定だから電気が不安定になるというのは、これこそ原発が止まると電気が足りなくなるのと非常に同じまさに脅し的な理論で、もっと悪質なのは送電線とか周波数とかこういう話っていうのは、電力会社以外に専門家がほとんどいないんですよ。人、もの、金、情報がみんな閉じられていて、事実に関してはほとんど嘘に近いことを一般の人に垂れ流す。これはほとんど反社会的存在だなぁと私は思うのですけれども、もしそれが本当であればドイツとかスペインとかでこんなに風力普及してないです。そういう話を海外ですると、なかば笑われるように、あざけり笑いのような感じで実際 ◯◯◯ (2:22:45)マンスリーに私のコメントで載ったことがあるんですが、日本だけは別の天体にあって、別の物理法則が働いているんだねって笑われるんです。

ちょうどいい質問をなされたので、さっき飛ばしちゃたんですけど。スペインが日本の2億kwの半分の1億kwの電力容量に、日本の10倍の風力が入っているんです。そういう意味では日本の20倍の風力発電がある。さっきのドイツが10年前の今の日本だとすれば、日本の10年後はスペインに近いのではないかと。スペインでそれだけ風力発電が入ってるって、太陽光もけっこう入ってますね。その下(図)太陽光と風力の変動を一番下に入れてるんです。スペインは原子力も残っているので原子力もあってこの3つを称して、変動するベース電源、というふうに言います。これを電力会社と経産省が日本人に垂れ流してきたある種のドグマで、根強い思い込みで、ベース電源というのは一番底で、たいらにあるものだ、というふうに思い込まされている。たいらであることに実は意味はなくて、ベース電源は変動していてもいい。じゃあ、ベース電源というのは何なんだ、というと、一番上を見てもらうと、需要も変動するんです、時々刻々。ベース電源はギザギザでこぼこしてようと、たいらであっても、一番上の需要にはどっちにしろ追随できないんです。実はヨーロッパ的、つまり電力が自由化された世界では、ベース電源というのは需要に追随できないものをベース電源というんです。だから原発みたいにたいらでも、風力みたいにギザギザになってもどちらもベース電源。じゃあ何で間を埋めるかというと、天然ガスと水力です。天然ガスと水力でこの間を自由に伸び縮みして埋めるので、下がたいらでもギザギザでも伸び縮みは結局しなきゃいけないので、いわゆるピーク電源が◯◯◯(2:25:24)これを電力会社とか御用学者の人達は風力と太陽光はバックアップ電源で火力がいるからって言うんですね。それをバックアップ電源っていうなら原子力も需要に追随できないから間をとるバックアップ電源と同じことなんですね。これが10年から20年ぐらい先までをカバーする電源運用です。

もうちょっと時間が経つと何ができるかというと、入り口と出口で今よりもっとダイナミックなことができる。出口っていうのは何かっていうと使う側ですね。使う側は需要を下に合わせて変動していけばいいわけです。いわゆるスマートグリッドとか蓄電池を使って、コンピューターを使って制限してやると。それはもうかなり、日本的スマートグリッドはほとんど上部の世界ですけど、ヨーロッパでは現実に動き始めていて、ヒートポンプってありますね。蓄電池っていうのはまだ高いですけどヒートポンプを使うとお湯をその間作らせる。電気が余ってるときは需要を作ってお湯を作り出そうと。電気が足りない時は作ってるお湯を少しブレーキをかける。お湯がタンクにたまってるなら多少でこぼこさせても全く問題ない。ヒートポンプを使った需要変動はすでにかなり、スウェーデンのほうで始まっています。そのことによって下のでこぼこの吸収を、需要を変動させる。もう一つ入り口っていうのは、かなりスケールのでかい話があって、スーパーグリッド。スマートグリッドっていうのは日本でメディアを賑わせてますが、実はより現実的なのはスーパーグリッド。高圧直流送電線。(図)赤いところはすでにできていて、さらに網の目のように北海を橋渡しをして、送電線網を作る。これは普通の交流と違って直流なんですね。だから3000キロ送っても5%ぐらいしか電気のロスがない。これを作ると例えば養生風力を作って、ノルウェーとスウェーデンに膨大な水力があるのでそこで ◯◯◯(2:27:48)してやる。全体のマスを広げてやると全体の出力調整がより鈍くなっていくので出力調整がしやすい。さらに南に下がると、デザーテックというプロジェクトですが、集中太陽熱発電で電気をサハラ砂漠だとして送ってやろうと40兆円スタートしている。さっきの1万分の1を実際に絵に描いてみるとこういう感じです。(図)この面積に集中太陽光発電をつくるとドイツの電気ができる。この面積でヨーロッパ27カ国の電気ができる。この面積で世界の電気が賄えるというスケールの大きい、10年前ならマッドサイエンティストが言っていたようなことが実は今リアルに動き始めている。
スパーグリッドというのはどういう、ABBとかやっているんですけれども、1997年にわずか3000キロしか送れなかったものが10年間の間に120万 kwの電気が遅れるようになって、一気に技術が進化した。この2000年から2010年までに高圧直流電線が遅れるキャパシティがこれだけ技術が進化した。まさに10年後とか、日本の電力会社とエネルギー政策から20年も50年も考えると、送電線1本作るのに20年かかるんだとか言っているんですけど、10年の間にこれだけ技術が進化している。ですから最初の10年から20年はスペイン型の出力調整をしながら、さらに変動型電気が増えていくと、需要と供給側で、それこそ日本からロシアら、日本から韓国突き抜けて中国とか、スーパーグリッドを、日本の国内はでこぼこしてちゃんと繋がらないので、そういう大きなグリッドという構想も2、30年すればできなくはないというふうに思います。」

【司会】
「じゃあ、最後で。」

【質問者】
「ありがとうございます。和泉市の藤谷と申します。今日はどうもありがとうございました。最後に、牛肉が今問題になっておりましたが、先生は毎日の食事、どういうことに気をつけていらっしゃいますかということを最後の質問にさせていただきたいと思います。」

【飯田】
「私自身は食事に気をつける余裕はなくて、都内を移動するときもふと考えると食べてなかったり、しょうがないからタクシーとか地下鉄とか、歩きながらこの前はコンビにのおにぎりをかじりながら歩いてるとかいうような、なかなか気を使う余裕がないんですけれども、一般論で言うと、我々みたいに年齢が高くて、もうこの先子供を作らないだろうという人達はあの程度の汚染は覚悟して食べる。だけれども汚染レベルが高いものに関しては子供達とか放射線の感受性の高い人達にはできるだけ汚染の少ないものを食べるような、ある意味農薬と同じような感覚をする必要がある。よっぽどひどい汚染のものを除いてはですよ。ですからレベルの低いものをできるだけ子供達とか妊婦さんとか。そういうものが、これは無農薬と同じようなものというふうにレジに表示がつくぐらいにこれからなっていかないといけない、そういう国になってしまったんだ。汚染レベルの高いものはできるだけ年寄りが食べると。やるしかないじゃないかと私は思います。」

【司会】
「ありがとうございました。」

(文字起こし: @mymsek )

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