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APEC、ASEAN:安倍総理の活躍を正確に伝えたウォールストリートジャーナル

10月5日から10日にかけて、安倍総理はインドネシアバリ島におけるAPECと、ブルネイにおけるASEANに出席した。私も官房副長官として同行してきた。

 安倍総理にとっては極めてハードな日程で、バリ島ではAPEC首脳会合が3回開催される合間を縫ってロシア、ベトナム、メキシコ、台湾等との二国間首脳会談が多数設定された。またAPEC終了後は同じバリ島でTPP首脳会合が開催され、総理も出席した。

 そして、ブルネイに移動して日ASEAN首脳会議、ASEAN+3(日中韓)首脳会議。その合間を縫ってオーストラリア、ニュージーランド、タイ、インドと二国間首脳会談。そして最後はアメリカ、ロシアも参加する東アジアサミット(EAS)に出席した。

 今回はアメリカのオバマ大統領がガバメントシャットダウンの影響で急遽欠席となった。その分習近平国家主席がAPECに、李克強首相がASEANにそれぞれ出席する中国が存在感を増して主導権を握るのではないかとの事前の予想があった。アジア各国もアメリカが居ない状況下では中国に気兼ねをして、言いたいことも言わないのではないか?とも見られていた。

 そんな中、目立ったのは安倍総理の奮闘ぶりだ。

 TPP首脳会合でオバマ大統領に代わって議長を務めたニュージーランドのキー首相は、翌日の安倍総理との二国間首脳会談の冒頭、まだマスコミのカメラ、記者が居る前で、「昨日の首脳会合での安倍総理の2度の発言は、タイミング、内容ともに素晴らしかった。TPP早期妥結への大きな推進力になるだろう」と手放しで評価した。

 安倍総理はアジア各国との二国間首脳会談では、南シナ海における力による現状変更への懸念を表明し、ASEANが一体となってこの海域での法の支配の徹底と行動規範(COC)の早期策定に努めるべきだと主張し、日本もASEANの一致団結した行動を支援することを明言した。また国家安全保障会議の立ち上げや、国家安全保障戦略の策定、集団的自衛権行使の検討などを通じて、日本としても世界の平和と安定に貢献していく決意も表明した。

 このような安倍総理の働きかけと決意表明は、アジア各国首脳の発言に明確に影響を与えた。

 一連の首脳会議の最後に開催され、議長国のブルネイを除いて17カ国の首脳が集まるEASでは、各国首脳の発言の中で安倍総理の名前が3回言及された。議長国ブルネイ以外の首脳は他首脳の発言の中で誰も言及されておらず、安倍総理の存在感は際立っていた。

 また議長の締めくくり発言の中でも、安倍総理は17ヶ国首脳の中でただ一人2回言及された。中国を含む7首脳は1回言及され、残り9首脳は1回もされなかったので、ここでも安倍総理は特別扱いだった。

 そして何よりも安倍総理が主張していた南シナ海における法の支配の徹底と行動規範の策定について、7カ国の首脳が安倍総理と同様の主張を、中国の李克強首相を目の前にして展開した。南シナ海について安倍総理とは異なったあるいは控えめな主張を展開した首脳は3カ国。地理的に南シナ海に関係ないなどの理由で南シナ海に言及しなかった首脳は7カ国。予想以上に多くの国が南シナ海について真剣な懸念と解決策の必要性を表明した。(外交ルールで個別の首脳発言が特定される内容は紹介できない)

 最後にとりまとめられた議長声明にも、この海域での法の支配の徹底等の必要性が盛り込まれた。これは非常に画期的なことである。

 これが私が見てきたAPEC、ASEAN、EASにおける事実である。

 帰国して日本のメディアの取り上げぶりには驚かされた。
 「中国が存在感を示した」という記事が目立ち、一連の会議で安倍総理が示した存在感はほとんど紹介されていない。特にアメリカ、ロシア、オーストラリアを含むアジアに関連する17カ国首脳が参加する最も重要な昨日の東アジアサミット(EAS)の状況が、今朝の紙面ではほとんど取り上げられていない。

 一方でウォールストリートジャーナルは会議における状況を「Abe Raises Profile at Asian Summits」という見出しの記事で比較的正確に伝えている。
 その記事の中では「オバマ大統領の欠席により、主張を強める中国に有利とみられていたが、東南アジアとの関係強化に熱心な別のリーダー、安倍晋三日本国首相にスポットライトが当たった」 という主旨の書き出しから始まって、安倍総理が一連の会議を主導したことがきちんと書かれている。

 総理外遊に同行する官房副長官のもっとお重要な任務は首脳会議や会談の模様を記者団にブリーフすることである。今回も会議や会談の模様を丁寧に正確に記者団には伝えてきたつもりだ。日本のメディアが中韓首脳との立ち話や握手があったかどうかに気を取られて、一連の重要なアジアの首脳会議を十分なスペースで取り上げず、自国首相がどういう行動をとり、どういう評価を得たかを正確に伝えていないのは本当に残念だ。

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