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「殺せ!」の公言は親告罪なのか

 新宿西口の仲間が掲げている主張の大事な柱に、「殺すな!」という言葉がある。人は人を殺してはならない。今の日本でも、公権力による死刑の執行以外では、人を殺すことを犯罪としている。例外は、自分が直接に殺されるのを防ぐための正当防衛に限られる。

 その日本で、「殺せ!」という言葉が横行しているのは、どうしたことだろう。「殺せ!」とは、殺人の予告および煽動の言葉ではないのか。朝鮮学校に対するヘイトスピーチを行った在特会に対して、これを違法として禁止と損害賠償を命じた判決が初めて出たとのことだ。当然の判断とは思うが、告訴を受けた民事裁判の結果だった。もし訴訟がなければ、救済されなかったのだろうか。

 脱原発のデモ行進のときには、「一人一殺!」と大書した右翼の宣伝カーが近くを示威行進するのを見た。彼らが規定する「国賊」は、一人が一人と刺し違えても殺すという心意気を示したいのだろうが、子ども連れの母親が見たら、本気で恐怖に思うだろう。

 これらの「殺せ!」が安易に使われている実態は、録音でも写真でも、取り締まり当局は豊富な資料とともに把握しているに違いない。殺人予備罪は無理としても、警告ぐらいはしていないのだろうか。

 もちろん表現の自由の問題はある。「殺される」「ぶっ殺す」などの言葉は、冗談に使われることもある。しかし深刻なヘイトスピーチや街宣の中で、多少なりとも本気で使われるものは許すべきではないと私は思う。私たちは「殺せ!」という呼びかけに対して、もっと敏感になるべきではないだろうか。不都合な人間は殺してもよいとする言辞の横行は、人権と人命を軽視する社会の風潮を助長するように思われる。

 人は人を殺してはならない。人類が滅びないための基本原則を掲げて私たちは新宿西口に立つ。「殺すな!」と。

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