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いよいよ最終コーナーに至った風営法改正

1. 規制改革会議と風営法改正

さて、本ブログ上でも散々取り扱ってきた風営法の改正ですが、いよいよ正念場に至ったなという感もあります。

現在、政府は我が国の経済社会構造改革を進める上で必要となる行政改革を検討する「規制改革会議」と呼ばれる諮問機関を設置しています。この規制改革会議は、すでに幾つかの改革分野を示しているのですが、その中において風営法の改正が議題として挙がっているのです。以下は、先月報じられたニュースからの転載。
風営法のダンスや大学のベンチャー出資への規制を議論 政府の規制改革会議
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130906/plc13090615580014-n1.htm

政府の規制改革会議の創業・ITに関する作業部会は6日、深夜の営業が認められていないダンスに関する風俗営業適正化法(風営法)の規制緩和など、部会で来年6月までに議論する19項目をまとめた。

ダンス規制については、風営法の規定からダンスを取り除くことを求める署名活動や超党派の議員約60人からなる議員連盟も発足。若者らが集うクラブと社交ダンスのスタジオなどが同様に規制対象となるなど、風営法の規定が時代に合わないと指摘する声もある。[...]
規制改革会議は、現・安倍政権における行政改革の「司令塔」ともいえる会議体であって、ここに風営法改正が議案として挙げられ、また来年6月までに優先的に論議がおこなわれることが決定した現状は、風営法改正にとって一歩二歩どころか、十歩十五歩くらい話が進展したといってよいでしょう。

2. しかし、安心してはならない

ただ、安心してはならないのはその論議の方向性です。現在、規制改革会議自体は未だ法改正の方向性を確定しているワケではありませんが、何となく不穏なメッセージも出てきています。以下、第十五回規制改革会議における配布資料からの抜粋。
ワーキング・グループの検討項目(案)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee2/130912/item3.pdf

(国民の選択肢拡大)
13.ダンスに係る風営法規制の見直し
風営法においては、客にダンスをさせる営業は風俗営業とされ、公安委員会の許可が必要だが、許可の基準が必ずしも明確でないため、風営法の規制対象となる営業形態を明確にするべきではないか。
上記は、規制改革会議が風営法の改正論議の検討を正式発表した際の発表資料ですが、「許可の基準が必ずしも明確でないため、風営法の規制対象となる営業形態を明確にするべき」というのは非常に微妙な表現である事は皆さんもお気づきだと思います。すなわち、この検討案では「風営法の見直し」には言及されていますが、規制緩和を明示しているワケでもなければ、規制撤廃を明示しているワケでもない。あくまで「現在の不明瞭な許可基準を明確にすべき」というのが現在までの方針となっています。

風営法の規制対象に対する明確化は、むしろ近年警察庁が積極的に進めている案件です。現在、警察庁は社会から様々疑問が投げられ始めた風営法のダンスにかかる営業規制に関して、「学校教育で行なわれるダンス授業は規制の対象にはあたらない」、「自治体等が健康増進等を目的として開催するダンス営業は規制の対象にあたらない」「盆踊りは規制対象外」などなど様々な風営法の解釈運用基準を発表し、より一般的に広がりを見せるダンスの普及が風営法に抵触しないように「交通整理」を始めています。
【参考】警察が本格的に「ダンス仕分け」をし始めた件について
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/7647040.html
一方で、ダンスクラブに対しては摘発を激烈に強化しているわけで、例えばこのように現在警察庁が解釈運用の中で行なっている「ダンス仕分け」を明確に法律上で行ない、一方で期待されるダンスクラブ規制の緩和に対してはノータッチであったとしても、規制改革会議の示している方針に関して「一定の成果をみた」との回答が出される可能性もある。行政改革というのは、常に「改革をしたい人達」と「したくない人達」の間の綱引きですから、一瞬でも油断すればあっという間に「したくない人達」の流れに論議が持っていかれます。現在のところ示されている「許可基準の明確化」という文言は、そういったリスクを大いにはらんだ表現であると思われます。

すなわち、今の状況に「何となく良い方向性に走りそうだ」と安心すると思わぬ「しっぺ返し」を受けるということ。当然のことでありますが、クラブ関係者およびそのファンは好ましい改正が完遂されるまで声を挙げ続けることが必要となります。

3. その他の風俗営業種のアクションも求められる

一方、クラブ関係者以上の行動が今求められているのが、ダンス系業種以外の風俗営業者です。規制改革会議は風営法の改正を議題としてあげているものの、現在の論議はあくまで「ダンスに関する」とその論議の対象を限定しています。しかし、本ブログ上でも繰り返し述べてきたことですが、風俗営業法の定める「深夜24時以降の営業禁止」規程によって著しくビジネスモデルが制限されているという現状は、その他多くの風俗営業種において同じ状況にあります。

例えば現在、全国各地で見られる駅前のスナックや麻雀店などは、深夜営業を当り前にする業態として社会の中で認知されてきたところもありますが、その実は風営法で深夜営業が禁じられる業態であり、24時を超える営業行為は原則違法です。現在、規制改革会議は風営法改正論議をダンス関連営業に限っていますが、そこに存在する規制上の課題はほぼ一緒。そして何より論議の対象となる法律そのものが同一なワケですから、この種の業界もここで声を挙げずして、いつ声を挙げるのかといった状況にあるといえるでしょう。関係各所には、ぜひ積極的なアクションを期待したいものです。

4. 規制改革会議ホットライン

そして更に言えば、規制改革会議からはそれら様々なアクションを受け止める仕組みが開始されています。規制改革会議では、「規制改革ホットライン」と名付けられた意見の窓口を今月1日から31日までの1ヶ月間に渡って開設しています。
規制改革ホットライン「集中受付」について
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/hotline/syutyu/kokuchi.html

※募集する規制改革に関する提案は、以下のとおりです。 次のような事業やプロジェクト、サービス又は生活の向上等に関する規制について、見直すべきと考えられるもの。
 1. 新しい事業やプロジェクトを立案したものの、規制が障害となって実現できなかったもの。
 2. 国民の生活の安定や向上、さらには質の高いサービスの提供を妨げているもの。
 3. 法律又は政令の明確な委任がなく、省令等下位規範を根拠としているもの。
行政官庁が主体となって実施を行なういわゆるパブリックコメントのようなものは、投票ではありませんから同一の意見に対して沢山の数が集まることには本来それ程の大きな意味はありません。しかし、特に政治主導で動いているこの規制改革会議においては、「そこに多くの国民の関心が集まっている」という事実を見せることは、非常に大きな後押しになることでしょう(世論に動かされるのは政治家のサガ)。そういう意味で、今回の規制改革会議のホットラインに沢山の意見が集まることには非常に大きな意味があると私は考えます。

意見表明は非常に簡単。以下のコメントフォームに必要事項を書き込んで送信するのみです。提案者は企業や団体に限らず、個人での提案も可能となっています。
内閣府共通意見等登録システム 規制改革に関する提案
https://form.cao.go.jp/kokumin_koe/opinion-0009.html
・ ダンスクラブの規制そのものに対して異を唱え、撤廃を求める者
・ 撤廃とは言わぬまでも、より現実的な規制緩和を求める者
・ ダンスクラブ以外の業種でも、規制緩和を勝ち取りたい者

風営法改正に対するスタンスは各立場によって異なれど、全員に共通するのはホットラインが開設されているこの一ヶ月が自らの意思表明にとって最大のチャンスであるということ。風営法改正は、いよいよ最終コーナーに至っています。皆さん一人ひとりの声が、改正に向けた最後の「一押し」となるのです。

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