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なぜマーケティングは嫌われるのか?

誰しも生きる上でカネを稼ぐ必要がある。無人島に住んでいる人以外には、すべてつきまとう厄介な話だ。

私は、いままで IT 技術者として技術面を主に担当してきた。フリーランスになっても、カネの面倒はお客さんが考えてくれた。私は、作業の対価を請求するだけ。ビジネスモデルとしては単純きわまりない。

でも、もし私が IT 技術者を辞めるなら、自ら広く薄くカネを稼がなければならない。つまりマーケティング感覚が問われるということだ。

マーケティングの理論については、次のサイトがすごくよい。

マーケティング・パラダイス

マーケティングの古典的教科書は、

リンク先を見る
コトラーのマーケティング・コンセプト
  • 作者: フィリップ・コトラー,恩藏直人,大川修二
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2003/05/02
  • メディア: 単行本
あたりと思われるが、そこまでやらなくても、上の「マーケティング・パラダイス」の無料コンテンツを読めば十分な気がする。

ただ、こういう理論を学んだとしても「よし明日からさっそく実行してみよう!」という気になるだろうか?少なくとも私はそうならない。

私の場合、マーケティングという行為自体に対する根深い不信感がある。マーケティングというと、なんとも軽薄でうす汚い感じがしてしまう。マーケティングといえばカッコいいけど、要するにカネ儲けの仕組みを考えることだ。世の中には「嫌儲」なる人々がいて、カネ儲けをしようとする人間をつかまえては罵倒している。なぜ金儲け=マーケティングは嫌われるのだろうか?

そのことを考える前に、まずマーケティングの基本の基本を考えてみよう。そもそもカネ儲けにつながる仕事とはどういうものだろうか?

仕事がある種の作業であるのは間違いない。これは、必ず2人以上の人間が関係している。たとえば一人でジョギングをするというのも楽しい作業かもしれないが、これは仕事になり得ない。一人だけでは金銭のやり取りが生じえないからだ。

二人以上の間でなんらかの作業が発生し、そこで金銭のやり取りが生まれる。こうしたプロセス全体が仕事なのだ。カネは、原則として自発的に支払われる。脅迫したり(犯罪)、法律で強制したり(税金・罰金)して支払わせることはあるが、こういうのを普通、仕事とは呼ばない。なぜ一方がカネを自発的に他方に渡すかといえば、カネを渡す人が何らかの満足感を得ているからだ。

整理しておこう。
仕事は他者の欲望を満たすこと
なのだ。これは間違いない。そうしないかぎり他者(=顧客)が自発的にカネを払ってくれることは決してない。

マーケティングは、いかに他者の欲望をうまく満たし、そこから、より多くのカネを引き出すか研究する分野のことであるのだ。人をハッピーにしてお金を頂く。何も悪いことはないじゃないか!むしろ素晴らしい。ならなぜ人々からマーケティングは嫌われるのか?

それにはいくつか原因があると思う。

1. マスマーケティングは本質的に押しつけがましい
2. 原価より上乗せして請求する感覚が良心にとがめる
3. 他者の欲望を自分の感覚で判断してアホくさいと軽蔑する

1. マスマーケティングは本質的に押しつけがましい



いまでこそインターネットの登場によって事情が変わりつつあるけれども、以前はマーケティング≒マスマーケティングだった。マスマーケティングの代表はテレビ CM だろう。テレビ CM の送り手は、受け手を選別してメッセージを届けることがあまりうまくできない。その結果、私のような男が興味のない女性の化粧品の CM を延々と見せられてうんざりしたりする。その繰り返し CM が放映されるさまが、まるで視聴者を洗脳するかのようで、私は子供のころから不愉快に感じていた。マーケティングはとにかく押し付けがましいもの、というイメージだった。

2. 原価に利益を上乗せして請求する感覚が良心にとがめる



これはマーケティングというか、商売一般の感覚だが…。原価に利益を上乗せして顧客に請求しなければ、当然、利益が出ないわけだから、商売をしている意味がない。だが、利益率が高いほど、やや後ろめたさを感じてしまうのも人情ではないだろうか?歴史的に、ほぼ全ての文化で商人が忌み嫌われてきたのもこれが原因である。ただ、これは慣れの問題で、徐々にそういう現実を受け容れられるようになっていくものだが…。

3. 他者の欲望を自分の感覚で判断してアホくさいと軽蔑する



売るモノが食料のような日常必需品から離れて行くほど、人々の欲望の形は多様になっていく。自分が欲しくない、むしろ嫌悪感さえ覚えるものを、他者は喉から手が出るほど欲しがったりすることもある。たとえば GREE のソーシャルゲームで月10万円を投じる人間の気持ちは私には全く理解できないし、むしろその10万円で自分の心理的問題を解決するため、精神科にでも行った方がいいのではないかとさえ思ったりする。だが実際にはその人はその10万円の消費によって、深い満足を得て人間的にも成長しているのかもしれない(Who knows?)。 ここで素直に相手の欲望を満たして上げるのがプロのマーケターなんだろう、と思う。

これは非常に微妙な部分で、えてして賢い人間がアホな人間を騙して搾取しているように見える(実際その通りなのかもしれないが。よいマーケターは例外なく賢い人間で、世の中にはアホな人間のほうが賢い人間の何十倍も存在するので)。だが同時に騙されているアホな人々が心底満足しているなら、それはそれでいいのかもしれない。これは、私が金儲けする上で一番引っかかっている点なので、今後も整理しつづけるつもりだ。

マーケティングはたしかにいろいろとインチキくさく、うさんくさいものなのかもしれないが、同時にこのマーケティングという活動を通じて、他者の欲望を推測するという活動を多くの人たちが真剣に行っているおかげで現代の快適な暮らしが実現されているのだ(マーケティングを真面目にやらないとどうなるかは、公共施設を見れば分かる。一通りの設備は整っていても、なんとなく使いづらい感じがするはずだ。あるいは旧ソ連の国営商店のカスタマーサービスのようなものを想像してもいい)

当面の間、マーケティングについて調べてこのブログで書いて行くつもりだ。お楽しみに。

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