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戦史を学ぶ意義

意外に思うかもしれませんが、自衛隊では戦史を学ぶ機会はあまりありません。
防衛大学や幹部候補生学校、それに幹部学校では、若干戦史関連の授業もありますが、決して多くの時間が割かれてはいません。

そして、その戦史を学ぶ機会にしても、学校で勉強する歴史の授業のように、何年に、誰が誰に対し、どんな戦略・戦術で戦ったと言った事実を学ぶ場ではありません。

では、どんな授業かと言うと、戦史の事例研究です。
事例研究は、ある戦史事例の概要を把握した後、戦いの原則等に照らし合わせて、事例の評価を行い、執るべき別のオプションがあった可能性を研究します。
討論が行われる場合も多いです。

自衛隊における戦史教育が、このような形態なのは、戦争における実務者を育てる事が目的なため、”戦史の応用方法”を身につける必要があるからです。

そのため、自衛官は意外に戦史(何年に何があったというような事実)を知りません。
ただし、これは空自で特に顕著な傾向だろうと思います。

と言うのも、第1次世界大戦で飛行機が戦争に使用され、航空作戦の戦史が始まって以来、まだ100年ほどしか経っていないにもかかわらず、航空機及びレーダーやミサイルと言った関連技術の発達が凄まじく、古い事例はあまり役に立たないからです。

ただし、例えば隊員に対する”指揮”に関しての研究なら、別に陸戦でも海戦でも構わないため、それらを事例として研究することはあります。

とわ言え、自衛隊では、戦史が軽視されていると言う訳ではありません。
各種学校での教育は、実務者を育てるための速成栽培なので、上記のような状態ですが、やはり階級的に、上に行かれる方々には戦史に詳しい人も多くなってきます。

もちろん、戦史を多く知っていた方が、応用するネタが多いという事は言えますが、それ以上に、戦史を知っている事の意義と言えるモノは、戦史が言葉になるからだと思っています。

例えば、以前に記事を書いた”独断”について語る際、”日本海海戦における追撃戦で第2戦隊司令長官上村中将が下した独断”と言えば、上級指揮官に十分な情報がなく、自分の方がより正確な情報の元に判断ができると考えられる際に行う独断の事だ、というような共通理解を得ることができます。

階級が高い程、多くの人と正確なコミュニケーションが必要です。
そのためには、戦史に明るいと、適切な”例”を引いて会話することができるという訳です。

自衛官以外のミリタリーファンの方も、軍事について語りたければ、戦史を知っている方が、より深いコミュニケーションができると思います。
(こんな事も知ってるんだぜ~的な自慢話では、なんの役にも立ちません。相手も知っているであろう適切な事例を、的確に提示できてこその戦史知識です)

そんな訳で、こんなモノを紹介致します。
戦史検定
例題も載ってます。
リンク先を見る
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ベストセラーとして有名になっている永遠の0の著者である百田尚樹氏も推薦文を書かれているこの戦史検定ですが、「日本青年遺骨収集団(JYMA)」という大学生中心のNPOが母体となり、慰霊碑の保全費用を確保しながら、戦史を学ぶきっかけとなるようにという主旨で運営されているそうです。

漢検のおかげで、漢字に注目が集まったように、この戦史検定のおかげで、日本人の防衛理解が深まってくれることを願います。

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