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消費税増税が支持されない本当の理由

10月1日に、安倍総理が消費税増税を発表すると報じられていますが、果たして本当にそうなるのか‥なんて言うとバカにされそうです。

 何故ならば、もう結論は出ているではないか、と。しかし、その一方で、消費税増税に反対する人の声も根強いのです。

 日経新聞とテレビ東京が共同で実施した調査によれば、消費税増税に賛成する人が47%。

 どう思いますか、47%という数値を? 過半数には届きませんが、それでも結構高い値だと思います。

 一方、消費税増税に反対する人の割合はと言えば、48%なのだ、と。1%ではあるものの、反対が賛成を上回っているのです。

 この調査結果をどうみるべきなのでしょうか?

 これだけ賛成が高い値を示しているのだから、増税を断行すべきなのか? 或いは、1%とは言え、反対が上回っているのだから、民意を尊重して増税を先送りすべきなのか?

 いずれにしても、では何故増税に反対する人が多いのでしょうか? 何故だと思いますか?

 景気回復に冷や水をかけるから? 景気がよくなってから増税すべきだから?

 いろいろな考え方があると思うのですが‥本当の答えは、そんなことではないのです。

 真実の答えは‥税金が嫌だから!

 これが答えです。

 ですから、この先、仮にどんなにバカ景気になることがあったとしても、人々はまた増税には反対するでしょう。それは確実なことなのです。だって、お金持ちや企業の常日頃の発言からすれば容易に想像がつくではないですか?!

 所得税が高すぎると、日本から脱出するお金持ちが増えるであろう、と。法人税を下げないと国外に脱出する企業が増えるであろう、と。

 要するに、皆税金を払いたくないのです。そして、お金持ちほど、どうにかして納税額を少なくしようと苦心する。だから、この先、経済成長率が高まって、そして、国民の多くが今よりも豊かになったとしても、そう簡単に増税に賛成することなど考えられないのです。

 今増税に理解を示している人々の多くも、本心では、増税は嫌なのです。嫌ではあるけれども、しかし、子どもたちや孫のことを考えたら、増税を受け入れるしかないと思っているだけなのです。

 一方で、増税に反対する人々の多くは、子どもや孫がいないから‥或いは、いても彼らのことなど考えようとしないから、どうにかして増税を受け入れないで済む理屈を考えているだけの話です。

 そのような人々が景気がよくなったからと言って、増税を受け入れる筈がない。そうでしょう?

 但し、税を嫌うそのような感情はどこの国でも共通にみられるものなのです。だから増税に反対するのがおかしいと言っているのではないのです。そうではなく、このまま増税を先延ばししていると、将来必ず深刻な事態に至ることが予想されるが、そうした問題にどう対処しようと考えているのかと言いたいです。

 何の先の見通しもない。ただ、今はまだデフレから脱却した訳ではないから、増税の時期ではない、と。或いは、デフレで困っているのだから、インフレを恐れる必要がどこにあるのか、などと一見もっともらしいことを吹聴するだけ。

 いずれにしても、景気がよくなれば、税率を引き上げなくても税収は自然に増えるから‥などという超楽観論をどうしたら信じることができるというのでしょうか?

 要するに、自分たちにとって不都合なことは見て見ない振りをしているだけの話なのです。地球温暖化の議論でも同じです。温暖化の因果関係を認めてしまえば、どうしても石油や石炭の消費量を抑制せざるを得ず‥そうなれば、今のような経済成長率を望めなくなるから、温暖化なんて陰謀に過ぎないと思っているだけなのです。

 ところで、今の世界の風潮では、所得税は、できるだけ累進税率を低くして簡素化すべきだという考えに傾いている訳ですが、米国の歴史を紐解いてみると、所得税の最高税率が90%を超えるという、今ではとても信じられない時代があったことがあるのです。ご存知でしたか?

 では、何故米国の国民たちは、そのような高い最高税率を受け入れたのでしょうか?

 世界の人々にはよく知られていないが、米国においても暗黒の時代があったのでしょうか?

 実は、そうではないのです。米国は、世界大戦を戦うために、国民に犠牲を求めた時代があったに過ぎないのです。

 我が国でもありましたよね。欲しがりません、勝つまでは‥なんて言わされていた時代が。

 世の中が本当に一大事になれば、税金を納めないなんて言うこともできない、と。

 私が、こんなことを言っても、増税に反対するのが怪しからんというのではないのです。人々が税金を嫌うのは、通常想定されることであり、何らおかしなことではありません。但し、我々は、国家が存在しているお陰で様々な恩恵を被っているのも事実です。そして、そうした国家のシステムが機能するためにはある程度のお金がかかることは忘れてはいけないのです。

 一定の年齢になれば、年金をもらうことができる日本のシステム。病気になっても、医療保険が適用されることによって、誰もが安心してお医者さんに診てもらうことができる日本のシステム。小学校、中学校で教育を受けることが保証されている日本のシステム。

 もちろん、そうした恩恵を被ることができるのは、皆が納めている税金のお蔭ですから、我々国民は、誰に遠慮をする必要もありません。しかし、その一方で、国に1000兆円もの借金があるということは、誰が負担すべきなのかという問題が未解決のままになっているということなのです。

 もちろん、幾ら政府が巨額の借金を抱えていても、その一方で、発行される国債が円滑に消化され続けるならば、急に深刻な問題が顕在化する訳ではないのは、そのとおり。

 しかし、どんどん少子高齢化は進んでいます。そして、それと同時に、最近、どんどん貿易赤字の額が膨らんでいるのです。つまり、日本の社会経済構造が大きく変わりつつあるのに、そういった構造的な変化に気が付かないで、いつまでも国債を発行し続けることが可能だと信じている人がいたら、その人の考えがまともなものでないことは明らかです。

 税金は嫌いだ! 私も税金は嫌いです。だから、多くの人が、増税を支持しないといっても、むしろ当たり前。

 しかし、税金がなくて国家組織が運営できるかと言えば、それは無理な話です。

 どんな増税にも国民は応じるべきだなんて言うつもりはありません。1000兆円の政府の借金をゼロにする計画を作れなどというつもりもありません。

 でも、1000兆円の借金がこれ以上増えない程度の努力をすることの、どこがおかしいのでしょうか?

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