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JR北海道、カネボウ、東電…腐敗した組織風土はいかにして正すべきか

カネボウの白斑問題、JR北海道の路線異常放置問題のあおりで、「組織風土」腐敗の問題が俄かにクローズアップされています。All Aboutさんではその辺の理論的な考察は書いたのですが、カネボウやJR北海道が第三者機関やメディアから「組織風土を根本的に叩き直すべき」と言われたところで果たしてできるのか、今の両社の対応を見る限りにおいては、難しいと言わざるを得ないと思っています。

◆「カネボウ、JR北海道に見る「組織風土」腐敗の7S解析」
http://allabout.co.jp/gm/gc/429654/

上記出典にも書いたように、マッキンゼーが提唱したフレームワーク「組織の7S」を使って解析すると、「組織風土」の正常化に向けては、まず組織の核となる「価値観」が明確に確立され、さらにその「価値観」を組織の構成員が共有し、同時に「価値観」に裏打ちされた「制度」がしっかりと構築されることが必要十分条件になると考えられます。

しかしながら、過去の「組織風土」腐敗によって不祥事を引き起こしたりあるいは業績不振で絶望的な状況に追い込まれた企業は、一部の例外を除いてほとんどがこの必要十分条件を満たすことなく、反省の終息を迎えているように思われます。すなわち、彼らは「再発防止」というお題目の下、「制度」の再構築に終始しその形式整備完了とともに、外野の批判的目もやわらぐことで、「組織風土」改革にまで至らずに終わってしまうのです。

「組織風土」腐敗による不祥事企業にまず必要なことは、その「組織風土」を根底から正すための軸となる「価値観」の再構築でこそあり、この「価値観」は組織のトップが導きだすべきものであればこそ、トップの交代は不可欠なものと思うのです。トップの引責辞任については「辞めればそれで済むのか」という批判がつきまとうのも現実ですが、私はこうした組織の新たな軸となるべき「価値観」再構築の観点からは絶対に必要なことであると考えます。

「価値観」の再構築作業は既存の組織内における常識にとらわれては全く意味をなしませんから、基本は核となる人物の外部登用や幹部構成員の刷新などが大前提となるでしょう。多くの不祥事発生企業で「組織風土」改革が進まない原因は、トップが引責辞任しても心太式に次席が持ち上がり運営大勢にほとんど変化なしというケースが大半だからなのだと思っています。

日航の再建がなぜ短期間にあれだけうまく行ったのか、それは破綻処理による経営陣の刷新と稲盛和夫氏と言うカリスマの外部からの登用により、新たな「価値観」を生みだすことができたからに他なりません。日航の再建を「銀行の債権放棄があったから」とする向きもあり、たしかに財務という物理面では否定しませんが、生き物である組織の風土が腐ったままであったなら決して今のような再生には至らなかったであろうと思うのです。

稲盛氏は、新たな「価値観」お題目に終わらせないために、その浸透を根気強く管理者に対して直接説き続けることで実現したのでした。「価値観」が生きた社員精神に反映され、新たな制度にも活かされたがために、日航は以前とは全く別の「組織風土」をもった組織として蘇ったのです。

東京電力を見てください。福島第一の事故以前と事故以降で、何が変わりましたか。私は利用者に迷惑をかけ続け、隠ぺい体質の下自己の論理でしかものを考えられない「組織風土」は何ひとつ改まっていないと思っています。原因は、トップは交代したもののその「価値観」には何の変化も見て取ることが出来ない、いや広瀬社長は個人的には新たな「価値観」を提示しているのかもしれませんが、社員の間には恐らく何も浸透していないし浸透努力もなされていないと思えます。

やっていることは、経費削減等をお題目に掲げ魂の抜けた「制度」の改革のみ。そこに「価値観」の底支えは微塵も感じられず、「人材」への影響も皆無。結局、東電の問題がこのような状況下の国有化東電として進められても、根本的な問題の解決にはならないでしょう。私がしつこく「東電は破綻処理すべき」との主張を続けているのも、「組織風土」改革こそが東電には必要なことであり、それを実現させ本当の再生をするにはもはや破綻処理以外にあり得ないと思うからなのです。

カネボウもJR北海道も、現時点ではトップは辞任せず、聞こえてくるのは再発防止に向けた「制度」の再構築のみ。このままでは、組織何には恐らく何の変革も起きず腐敗した「組織風土」のまま再スタートを切って、いつかまた同じような問題を引き起こし東電のように今度こそ立ち直り不能な状況に陥るように思えてなりません。

「組織風土」腐敗を指摘されている企業は、「制度」の再建だけでは根本的な解決には全く至らない。「価値観」の再構築と「人材」への浸透があり、その下での「制度」の再建がなされてはじめて、「組織風土」の腐敗を止め改めることができるのです。落ち着いて考えてみると、この問題はカネボウ、JR北海道、東電だけの課題ではなく、前後日本の発展と共に成長を続けてきた高齢日本企業共通の“老害症状”であり、多くの大手企業が自分の問題として向き合う必要があるのかもしれませんが…。

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