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JR北海道の事故が絶えない本当の原因

 JR北海道の事故というか不祥事については、何も言うことはありません。常識では考えられないことばかりですから。

 レールの幅が基準値を大きく超えていたのを放置しておくなんて。何も措置を講じなければ、いずれ事故が起こること位、容易に想像がつくからです。

 でも、分かっていても、保守点検の作業が疎かにされていた、と。

 最初は、なんて組織なのだ、と思いました。北海道なんて、自然は豊かでも、なんていい加減なことがまかり通るところか、とも思いました。

 しかし、JR北海道について調べれば調べるほど、少し同情したくなる気にもなってくるのです。

 もとい! 同情してはいけません。同情するということは、事故が起きてもやむを得ないと認めることになるからです。決して同情してはいけません。やはり、JR北海道の経営陣に大きな責任があることは否定できないのです。

 しかし‥

 私は、何を言いたいのか?

 それは、余りにもJR北海道の経営内容が不自然だということなのです。毎期営業ベースでは数百億円規模の赤字になっていても、どういう訳か最終的には黒字が維持できている。

 おかしいですよね? では、粉飾決算をやっているのか?

 でも、その確たる証拠はないのです。ただ言えることは、余りにも不自然な取引がなされているということだけです。

 では、その不自然な取引とはどういうことなのか?

 それは、JR北海道は、かつての国鉄清算事業団などの事業が引き継がれて発足した独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(略して、鉄道・運輸機構)に対して、総額7300億円の融資を行っているということなのです。

 おかしいと思いませんか?

 何故ならば、例えば、同社の2013年3月期の決算をみても、鉄道事業の収益は約780億円に過ぎないのに、経費はなんと1100億円に上り、320億円ほどの営業赤字になっているからです。そんなに巨額の赤字を毎期出すような企業が、一体どうして7300億円ものお金を鉄道・運輸機構に貸し付けることができるのか?

 さらにおかしいのは、その融資によって得られる運用益がなんと300億円にも上り、利回りは4.1%にもなっているということなのです。

 おかしいでしょう? 不思議なことだらけ。だから不思議なことばかり起きる!?

 実は、JR北海道が鉄道・運輸機構に貸し付けているお金というのは、国鉄民営化の際や、その後、JR北海道につぎこまれた経営安定化基金のお金なのです。

 つまり、JR北海道は国から無利子でお金を借り、その借りたお金をまた国(鉄道・運輸機構)に融資して、金利収入を稼いでいるということなのです。

 どう考えてもおかしいでしょう?

 結局、そうして複雑なからくりが施されているものの、JR北海道は、毎年、国から300億円ほどの補助金を得て、債務超過になるのを免れているのに過ぎないのです。

 ですから、純粋の民間企業であれば、とっくの昔に倒産していて当たり前。

 ところが、様々な思惑のために‥もう少し上品な言葉で言えば、地域経済を活性化させるために、JR北海道を破たんさせないようにしているだけの話です。

 もう一度改めて考えてみましょう。

 何故JR北海道では、考えられないような事故が多発化しているのか?

 リストラが行われ、必要な人員が確保できていないから?

 一言で言えば、そういうことでしょう。本当は、鉄道施設の保守点検などにもっと人を割くべきなのに、これだけの赤字を毎期発生させているので、さらにリストラを進める必要があり‥

 では、国は、JR北海道を今後どのようにするつもりなのでしょうか?

 飽くまでも自助努力を促し、黒字企業に転換することを目標にするのか? 

 でも、それはよっぽど荒っぽい対策を講じない以上、無理な話なのです。

 では、今後も、これまでのように数百億円規模の援助を毎年度実質的に行って行こうというのでしょうか?

 聞くところによれば、JR北海道は、いずれは上場を目指していたというではないですか。つまり、いずれ将来は、優等生のJR東海のようになりたいし、国としても、そうなってもらないと困ると思っていたということでしょう。

 では、どうやったら実力で実質的に黒字になることができるというのか?

 でも、それは既に述べたように事実上無理な話なのです。

 今よりも乗客数が増えれば? しかし、それが実現するとは思えないのです。むしろ、この先、乗客数はさらに減るかもしれない、と。

 だったら、運賃を値上げしたらどうでしょうか? しかし、運賃を上げると、さらに乗客数が減ると思われ、却って事態は悪化してしまうでしょう。

 では、赤字路線は廃止したらどうでしょうか? でも、そんなことをすれば、路線距離にして、今の半分ほどまで事業規模を縮小しなければならないでしょう。しかし、それは政治的にも大変難しいのです。

 結局、そうなれば、やれる手段としては経費の節約、つまり、人員を整理するしか方法がないのです。もちろん、経費の節約にしても、既に削れるところは全て削っている筈です。しかし、効果は微々たるものでしかなくても、国からやれと言われれば、やらなければならないので、絶えず人員整理の圧力がかかるのです。

 つまり、JR北海道において保守点検が疎かになっていたというのであれば、それは国が経費を節減しろと絶えずやかましくいつづけてきたからなのです。それを今になって、保守点検がちゃんと行われているか、検査するなんて言われても‥

 でしょう?

 仮に国が、JR北海道を存続させるために、今後も毎年、数百億円規模、或いはそれ以上の補助金を出すことを厭わないと断言してくれるのであれば‥そして、それによって必要な人員を確保しろと言ってくれれば‥今起きているような理不尽な事故を少なくすることは可能でしょう。

 しかし、国は、実際には何も明確なことは言わない。ただ、実質的な赤字を少しでも減らせ!と、言い続けるだけ。そして、JR北海道の経営陣も、目指すべき方向が分からずに、ただ、サラリーマン根性で、国から言われることに従うだけ。

 菅官房長官が、JR北海道の事故について、次のように述べたと報じられています。

 「極めて悪質だ。個別の事故のミスだけでなく、組織、体質的な問題もあるのではないか」

 それはそのとおり!

 しかし、何か大切なことを忘れてはいませんか? 悪いのはJR北海道だけではなく、何の見通しも持たずに、ただ経費の削減ばかりを事実上強要している国も悪いのです。そして、選挙のことしか頭にないために、JR北海道が抜本的な対策を講じることに反対する政治家も悪い。

 そこまで路線の廃止に反対するのであれば、地元も、もっとJR北海道を利用するなり、運賃の引き上げに協力すべきなのです。しかし、路線の廃止には反対だが、JR北海道をもっと利用しようなどとは思わない。

 JR北海道の経営陣の人々も、俺たちにどうしろと言うのか、と本音としては言いたいと思っていることでしょう。もちろん、だからと言って、レールの幅が異常な状態になっていることを放置した責任は余りにも大きすぎます。

 安倍総理も、アメリカにリニアを売り込むのも結構ですが、こうした国内の深刻な問題にも光を当てて欲しいと思うのです。

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