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安愚楽牧場事件に詐欺罪を適用したら何が違ってくるか

安愚楽牧場事件で何故詐欺罪を適用しないのだろうか、と被害者の視点に立っての素朴な疑問を書いておいたら、この問題の核心を突いていると思われる実務上実に有益と思われる指摘を頂戴した。

「いちおう外形上、ちゃんとした事業そのものは存在していた訳で、一部に実体のある「牛」が割り当てられていなかったことを以て、詐欺の故意を認定するのは元から難しかった。最近ではAIJ事件もその一つ。これについては個人としての被疑者の自白で検察は立件したが裁判では一転否認に回ったらしく判決は予断を許さない。

問題なのは消費者庁が出来るまで、同法の主務官庁が対象資産の流通を所管する大臣であったこと。当然、牛、は農水省となる。

農水省といえば、外庁たる林野庁で、こういう「事件」もあった。

緑のオーナー 何らかの補償必要では '09/6/7
(中国新聞社説)
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200906070169.html

一時、まじめに報道されたものの、最近の動向は余り報じられておらず、現状どうなっているかを窺い知ることは難しい。

安愚楽のビジネスモデルは、それより遥か前に林野庁が作ったコレであって、実態として金融商品であるにも拘わらず、旧証券取引法の対象としてこなかった~関係他省庁が権益保全で反対してきた~ことが問題を大きくした最大の要因。」

いや、立派な指摘である。

この方は比較的簡単に人を裁いてしまう癖があり、その措辞が穏当を欠くことが多いが、指摘されていること自体は鋭く、役に立つことが多い。

重要な指摘である。
ただし、この議論だけで安愚楽牧場事件について詐欺罪での立件はもともと不可能だったんだ、などとは思わないことだ。

人から金員を騙し取る意思があったのだったら、どういう弁解をしても詐欺になる。
最初はまともなビジネスモデルのつもりでも、途中から詐欺になることもある。
本当のことを公表したら経営が破綻するからということで、ありもしないデータを作出し如何にも健全な営業を続けているように仮装し、出資者を誤信させて新たな出資をさせたり金融機関から新たな借入れをしたら、その時点で詐欺になる。

詐欺に当たる事件を不実記載や虚偽事項公表罪で裁こうというのは、大体は被害者が多数で被害者の線引きが難しく、かつ、被疑者の行為と被害の発生の間の因果関係をはじめ被害事実の立証が困難な場合が多いと思われるが、単なる不実記載だけで処罰すると被害の大きさや多数被害者の存在等は量刑のための情状の一つになってしまうから、どうしても被害者の処罰感情を満足させない結果となってしまう。

被害者の弁護団が求めているように、この事件については詐欺罪での追起訴をしても一向におかしくない事案だと思うが、如何か。

刑事事件に造詣の深い方々のご意見をお伺いしたいところだ。
郷原さん、如何ですか。

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