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「自虐史観」とは何か

 本日14日より、文藝批評家・山崎行太郎氏の新著『保守論壇亡国論』の店頭販売が開始されます。是非ご一読いただければと思います。また、本書刊行を記念いたしまして、9月26日(木)に、山崎行太郎氏と政治学者・岩田温氏による講演会も開催いたします。詳しくは月刊日本のホームページをご覧ください。

 ここでは、『保守論壇亡国論』に関連して、以前本ブログで紹介して大変反響のあった、山崎行太郎氏のインタビュー記事の続きを紹介したいと思います。

『月刊日本』8月号
「なぜ保守論壇はかくも幼稚になったのか」より

「被害者」であることを強調する人たち

―― 保守論壇の「左翼化」は、具体的にどのような問題に表れているか。

山崎 その一つとして歴史認識問題が挙げられる。たとえば渡部昇一は、「シナ事変は今では明らかになったようにコミンテルンの手先が始めたものである」、「アメリカ・イギリスとの開戦は、マッカーサー証言の如くその包囲網により、日本の全産業・全陸海軍が麻痺寸前まで追いつめられたから余儀なくされたのである」と論じている。要するに、悪いのはアメリカやコミンテルンであって日本ではない、というわけだ。

 こうした議論からは、日本の主体性というものが完全に欠落している。これではまるで、敵国が謀略を仕掛けてきた時、日本の指導者たちは何もせずに黙って見ていたようではないか。彼らは敵国の謀略に為す術もなく簡単に騙されてしまうほど無知で無能だったとでもいうのだろうか。そんなはずはない。

 アメリカやコミンテルンが日本に対して謀略を仕掛けてきたのは間違いない。しかし、それは戦争なのだから当然のことだ。日本も日露戦争の時は明石元二郎が情報活動を行っていたし、昭和の時代には陸軍中野学校の卒業生たちが暗躍した。

 もちろんアメリカやコミンテルンの謀略に対しても、当時の日本の指導者たちは様々な形で抵抗した。しかし、残念ながら力及ばず戦争に引きずり込まれ、そして負けたのだ。「我々は悪くない」などと責任転嫁する暇があったら、「次は負けないようにしよう」「こちらから謀略を仕掛けてやる」くらいの主体性を持つべきだ。

 私は、悪いことを全て他国のせいにし、日本に責任はないとする歴史観を「受動史観」と呼んでいるが、この受動史観に囚われている人たちは、自分たちは「被害者」あるいは「弱者」であり、自分たちの手は汚れていないということを必死に証明しようとする。

 確かに「加害者」であることは辛く耐え難いものであり、「被害者」である方が楽だろう。しかし、自分たちが「被害者」であることを強調することで批判をかわしたり責任転嫁しようとするのは、それこそ悪しき左翼のやり方ではないか。ここに保守論壇の「左翼化」が端的に表れている。

 本当に強い人というものは、言い訳をしたり、自己を正当化したりしない。本当の帝国は、自分たちがやってきたことを、良い点も悪い点もしっかりと記録に残す。戦前の日本のように敗戦間際になって機密書類を焼いて捨てたりはしない。

―― 橋下市長の慰安婦問題発言にも同じことが言える。

山崎 「被害者」や「弱者」は、「子供」と言い換えることもできる。橋下市長はアメリカに対して、あなたたちも女性を利用していたではないかなどと批判していたが、これほど子供じみた振舞いはあるまい。たとえそれが事実だったとしても、黙って耐え忍ぶのが「大人」というものだろう。(以下略)


 つまり、何でもかんでも中国やアメリカの責任にし、日本は被害者だ、日本は悪くないと言い張る歴史観こそ、「自虐史観」と呼ぶべきものだということです。なお、インタビューの全文と、『保守論壇亡国論』の「はじめに」を併せたものを、キンドル版「保守論壇亡国論序説」でご覧いただけます。ご一読ください。(YN)

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保守論壇亡国論

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