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「誰も監視していない取調室で冤罪は作られる」 布川事件・桜井昌司さんが「取調べ全面可視化」にこだわる理由

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いまから46年前の1967年。茨城県利根町布川(ふかわ)に住む大工の男性が自宅で殺害された。事件から2ヶ月後、別件で逮捕されていた二人の若者が強盗殺人容疑で再逮捕された。当時、20歳と21歳だった二人は警察の厳しい取調べに耐え切れず、自白してしまったのだ。

犯人であることを立証する物証がないなか、自白が決定的な証拠とされて、二人は無期懲役の有罪判決を受けた。だが法廷でも刑務所でも、二人は「自白は警察に誘導された虚偽のものだった」として無実を訴え続けた。しかしその主張は認めてもらえなかった。刑務所暮らしを29年続けたあとに仮出所。その後も再審請求を続けてようやく、2011年5月、無罪判決を勝ち取った。

この布川事件の冤罪被害者として知られる二人のうちの一人、桜井昌司さんが9月9日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見をおこなった。桜井さんは、警察や検察の捜査手法の問題点を指摘しながら、「取調べの全面可視化を実現し、検察の証拠独占という制度を改善したい」と訴えた。【取材・構成/亀松太郎】

検察官はいまでも「あいつらは犯人であることに変わりない」と言っている

「布川事件の桜井昌司と申します。私は29年ほど、刑務所に入れられていまして、仮釈放ということで、社会へ帰ってきたんですが、日本弁護士連合会と人権団体の日本国民救援会にお世話になって、44年戦って再審を勝利しました。

無罪判決を受けたんですが、いま検察官が布川事件について何を言っているかというと、『足利事件の菅家さんは無実だけど、布川事件の桜井と杉山はたまたま有罪が立証できなかったにすぎない。あいつらは犯人であることに変わりない』と平然と言っているんですね。

法務省の法制審議会で、映画監督の周防正行さんが、委員の一人に『足利事件や布川事件について反省しないんですか』と聞いたら、『布川事件は反省する必要がない。あの二人が犯人であることに変わりない』と言ったんだそうです。また、ある新聞記者が水戸検察庁で検察官に聞いたときも、『二人が犯人であることに変わりない』と言ったそうです。

日本の警察では、誰も監視する人がいない取調室のなかで、警察官が嘘や脅し、証拠のでっちあげを平然とおこなって、冤罪を作るんですね。私はこのようなことをなくすために、取調べの全面可視化を実現し、検察官の証拠独占という制度を改善したい。そこで、インターネットの署名サイト『change.org(チェンジ・ドット・オーグ))』で、新たな運動を開始したいと考えています。

国連人道大使の上田さんが『シャラップ発言』をしたのをご存じだと思います。私は、その発言を直接聞いてきましたが、その国連拷問禁止委員会のなかでも、日本の取調べ可視化と証拠開示については、強い勧告が出されています。私は冤罪を体験した身として、あらゆる手段を使って、正しく人権が通用するような司法にしたいと思っています」

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