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H26概算要求-その2_先島防衛の考え方

H26概算要求には、実に大きな命題が含まれています。
それは、先島(宮古島周辺の宮古列島と石垣から与那国島までの八重山列島、そして尖閣諸島)防衛の考え方をどうするか、という問題です。

概算要求には、「島嶼における不法行動及び侵攻事態に備え、島嶼を奪回する機能として水陸両用機能の整備に着手」するとあります。
一見すれば、尖閣を守る確固たる意志を示していると見えなくもありません。
ですので、昨今の情勢から、この施策に反対する方は少ないでしょう。

しかし、良く見てみると、これはとんでもない話なのです。

過去記事にも書きましたが、AAV7等の水陸両用車両では、尖閣には上陸できません。
尖閣の奪還なら、ヘリやオスプレイを整備し、(主に)空からの奪還を目指すべきです。
参照過去記事「泥縄の水陸両用車導入

そうではなく、水陸両用車両による島嶼奪還を目指すと言うことは、防衛省・自衛隊は、有人島である宮古列島と八重山列島に対しても、奪還(一旦獲らせてから獲り返す)戦略を採るということです。

中国が、尖閣諸島だけでなく、宮古・八重山にも手を出すかという蓋然性については、議論があるでしょう。
ですが、私が再三下地島の有効性を説いているように、尖閣で衝突が起こった際、宮古・八重山が後方軍事拠点として機能するかどうかは、尖閣周辺での軍事バランスに極めて大きな影響を与えます。

そのため、尖閣の領有権で中国と衝突する際、中国としては、自衛隊に宮古・八重山を軍事拠点として使わせないため、一時的に宮古・八重山を攻撃あるいは占領しようとする可能性はかなり高いものと思われます。

また、長期的には中国は第1列島線として、これらの島を狙っているため、一時的占領が、そのまま長期化する可能性も捨てきれません。

防衛省・自衛隊とすれば、この可能性が読めるからこその水陸両用機能整備なのですが、そのための具体策として、水陸両用車両を検討するということは、前述の通り、中国がどの島を狙うか読み切れないため、当初から厚い配備を行わず、中国が占領した島を奪還することを作戦として考えるという意味になります。

現代の中国軍が、どの程度の蛮行をするかは読み切れませんが、略奪・レイプなどの可能性は捨てきれません。

そうでありながら、果たして宮古・八重山に対して、獲ってから獲り返すと言う、攻撃・占領されることを前提にした作戦で良いのかというのは、単に軍事的合理性だけで考えれば良い話ではなく、宮・八重山の方の意見も聞いた上、国民的議論が必要だと思われます。

少なくとも、宮古・八重山の住民は、中国軍が蛮行を行わないアルゼンチン並みには近代的な軍隊であることを信頼し、防衛省・自衛隊を信頼した上で、獲られてから獲り返す戦略を支持するのか、表明してもらう必要があるでしょう。

水陸両用車両は、26年度、27年度の間、あくまで研究用の参考品としての取得です。
だから、この問題に対して、解がこれで良いのかどうかは、年末に発表される次期中期防、つまり今後5年間の間に声を大にしなければならなりません。

【関連記事】
H26概算要求-その1_総評
H26概算要求-その3_空中機動力の向上と防衛産業の保護

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