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Twitterが構築する集合知(2)〜スモールデータ?の楽しみ

集合知=スモールデータの形成

前回は、Twitter上で、なぜユーザーが不特定多数の誰ともわからない人間にツイート=つぶやきをするのかについて考えてみた。実はツイートという一方的な情報発信が、めぐりめぐって自らの利益に還元されること。具体的には発信した情報に対して他のユーザーたちも同様の感覚(要するに一方公的な感覚ということだけれど)で情報発信することで、一方向的な発信が結果として送受信関係を形成し、目的の情報が入手できたり、ヒマつぶしの情報になったりしハマること。いわば「情けは人のためならず効果」がTwitterにユーザーの魅力を惹きつけるポイントであることを指摘しておいた。

この魅力をアカウント取得二年目にしてようやっと理解した僕は、すっかり面白くなってしまい、どんどん検索をかけるようになった。またハッシュタグを打ち込んでツイートを収集するなんてこともやり始めた。で、これを続けるうちに、ちょっと面白いことにも気がついた。それは、僕も含めてツイートに参加しているユーザーたちの間に、ある種集合知が構築され、これが肥大化し、循環しているという事態が発生していることだ。

その形成のサイクルはだいたいこんな感じになる。

関心を抱いた項目について検索をかける、あるいはハッシュタグを打つ。すると、それに関連するツイートが提示される。あるいはリツイートされたり、リンクが張られたりする。これに、こちらも何らかのかたち(同意や情報の追加、訂正など)でツイートを返す。またリツイート、リンクもやる。すると、僕のツイートをブラウズしたユーザーが、今度は同様のかたちでツイートを返してくる。こういった循環が検索/ハッシュタグ項目を共有するユーザーの間でそれぞれなされるようになる(これらをやることについては、Twitterはブログとは違ってMAXでも140字なので、文字の書き込みはさして痛痒がない)。で、関連筋のネタを振っているユーザーはフォローしておけば、その後の情報チェックも容易になる。

そして、この循環の中で同じ項目のタイムラインをブラウズしているユーザーたちの間では当該項目について知識の深さと広さを、そして広がりを共有することが可能となる。だらだらとこの循環を繰り返しているユーザーたちはやればやるほど項目についての造詣が深まる。つまり雪だるま式に情報が膨らんでいく。最近、インターネットメディア上で使われ始めた言葉にビッグデータというのがあるが(これは、たとえばGoogleやApple、Amazon、Facebookなどが所有する顧客に関する膨大なデータの海を指す。ビッグデータ自体は、各企業のサーバーにある)、これはこういったビッグデータの極小版をほとんどパロディみたいにやっていることになる。しかもサーバーはTwitter上にあるのではなく、この項目に関わってきたユーザーたちのアタマに共有、分有、分散され、必要に応じてTwitter上でデータのインプット、アウトプットがおこなわれているといったところか。まあ、これこそ「集合知」ということばがふさわしいのかもしれない。さながら人間の脳を使ったデータベース?並列処理?分散処理?しかも人のアタマ=脳だから、コンピューターとは違って、勝手に情報が増殖する。思いついたこと、気がついたことをユーザーたちが勝手気ままにじゃんじゃんつぶやくからだ。

で、こういったTwitter上で形成される「集合知」は、ユーザーとしてはインストゥルメンタルにもコンサマトリーにも利用可能だ。前者だったら、必要な情報を一挙にインプット、アウトプットできる(確かこういったTwitterの機能を上杉隆が「ユーザー数だけ記者がいる」みたいな記述をしていた)し、後者だったらイベントなどで盛り上がっている時には、リアルタイムで情報のインプット、アウトプットをすることで、消費的に集合知、集合意識(無意識)を構築できる(しかも速い)。後者の典型はスポーツなどの実況ツイートで、タイムラインを見ているだけで、さながらスタジアム、サテライトにいるような雰囲気に浸れるし、しかもそこに自らが書き込んで盛り上がることも出来る。

Twitterは大人のSNS

しかし、こういった利用法。実は、ある程度、ユーザー側に社会性についての成熟度がないとやれないというものでもある。というのも、これって、ようするに、かつて検索サイトで人が主に操作していた「ディレクトリ型検索エンジン」みたいなもので、結局人がいじっているからだ。こういったことをやるユーザーの側は独立した個人で、自己責任の下、情報を発する当事者の「人格」と「情報」を切り分ける能力、つまり「もっぱら属人性にアクセスする技術」がなければ場が成立しない。逆に言えば、Twitterというのは、実は結構「大人のSNS」といえないこともない(ちなみにTwitter論が始まった頃、論者の多くが、もっぱらこちらの方でのTwitterの効用を説明していたが、これは彼らが大人で、独立した個人であり、そういう立ち位置からTwitterを利用して議論を構築したためではなかろうか)。

これから、Twitterは学生たちが使っているような身内コミュニケーション的な使い方はLINEに押されて次第に影を潜めるようになるだろうが、それはTwitterの衰退ではなく、Twitterの本来の機能が次第に明らかになっていくというふうに理解した方がいいと、僕は考える。Twitterの時代は、まだまだこれからなのではなかろうか。

【関連記事】
Twitterが構築する集合知〜なぜツイートするのか(1)

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