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知財戦略、タテとヨコを、かっちりと

 6月7日、政府は知的財産政策に関する基本方針を閣議決定するとともに、「知財ビジョン」を決定しました。知財本部発足から10年。過去10年の知財戦略を総括し、今後10年の戦略を立てるものです。

 最後の取りまとめに当たり、関係閣僚らに対し、ぼくは以下を申し上げました。

 今回の決定に当たってのポイントは「連携・一体化」です。

 まず、「ビッグデータ」。

 今回、知財ビジョンはビッグデータをクローズアップしました。公共のデータをどう活用できるようにするか。重要な知財政策です。一方、ビッグデータ対策はIT戦略本部を中心に議論が進められています。知財政策とIT政策の連携、いや、一体化が求められます。 

 政府・自治体が持つデータを公開し、民間が活用し、情報サービスを生んでいく運動「オープンデータ」を推進するには、これらデータの著作権をフリーにすることが求められます。国が保有する公共データには著作権が発生しないよう著作権法を改正する、国がその権利を自ら放棄する、クリエイティブコモンズなど二次利用促進のためのライセンスを採用する、などのアプローチが考えられます。が、これ一つ動かすにも、相当な政治パワーが必要となります。

 昨年設立された「オープンデータ流通推進コンソーシアム」にぼくは理事/利活用・普及委員長として参加しています。関係8省庁や自治体のリーダー、企業や研究機関のみなさんにご参加いただき、情報発信や事例開発を進めています。

 先日の総会の席上、経産省の岡田室長が「オープンデータ国際ランキングで日本は19位」という情報を紹介したところ、理事の越塚東大教授が「3年で1位にしよう」と提案、企業会員の賛同を得ました。政府の目標にするにはハードルが高すぎるかもしれません。だが、民間は熱く、真剣です。政府としても本気で受け止めてもらいたい。

 「教育情報化」もそうです。

 知財ビジョンでは、教育情報化の推進、特にデジタル教科書に関する制度改正を明記しました。だが、これは児童1人1台の情報端末とクラウド環境による教育を実現することが前提。教育コンテンツ=知財の前に、デジタル環境=ITの問題が待っています。これも知財・IT政策が一体とならなければいけません。

 なお、教育情報化には文科省も総務省も熱心に取り組んでいます。また、先頃、自民党の情報化教育促進議連は、一人一台タブレットPC等の導入の促進やデジタル教科書・教材の充実・普及など「教育のICT化に関する決議」5項目を採択し、与党としての姿勢を確かめました。

 この教科書制度改正=知財政策も、デジタル教育環境整備=IT政策も、長年の宿題であり、政府が計画に明記したところで、実現にはかなりのハードルが待ち受けます。本気度を求めます。ただ、議論の高まりを受け、実態も動き始めています。

 大阪市、東京都荒川区、佐賀県武雄市のように、2014年から15年にかけて域内の小中学生全員にタブレット端末を持たせるという自治体も現れ、政府目標の2020年1人1台を前倒しできる可能性もほの見えてきました。

 こうした動きを受けて、ぼくが事務局長を務める民間団体「デジタル教科書・教材協議会」も6月19日、「教育情報化提言 2013」と題し、「デジタル教科書法」の策定、先導100自治体と先導100教員の指定・支援など8策を発表したところです。

 さて。

 こうした中長期的な課題と並行して、「今でしょ」政策を作るため、政府は「クールジャパン推進会議」を開催しました。マンガ、アニメ、ゲームに代表される現代流行文化=ポップカルチャーを核としつつ、ファッション、食、伝統工芸、観光など経済・文化全般にわたるソフトパワーを発揮する。特に海外市場を取り込むことがミッションです。

 このような政策を進めることに対しても、同じ注文があります。タテ割りを打破して「本気でやってくれ」ということです。これもぼくは関係大臣が列席する会議で毎度くりかえしています。

 たとえばクールジャパン政策には内閣、総務、外務、文科、経産、国交、農水、財務といった8つの省庁が関与します。それらが一つの机で前向きに施策を出し合い、連携が進むようになったのは成果ですが、そうした施策を長く継続しているフランスや韓国の気合いには及びません。

 さらに、クールジャパン対策は今すぐできる短期対策で、知財計画は制度、外交、教育などの中長期政策。省庁のタテ割りをヨコにつなぐことに加え、短期・中長期のヨコ割りをタテに連動させることが大切です。

 タテとヨコ、かっちりと紡いでください。

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