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【読書感想】なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか


内容紹介

「情報も本も、ネットでなんでも手に入る」

そうは思っていませんか? けれどもネットだけでは、人を超える発想はできません。


著者は、自ら書店の経営にも携わるクリエイティブ・ディレクター。広告の世界だけ

でなく、ビジネス全般で必要とされる企画力や斬新なアイデアのヒントは、本屋にある

といいます。


いい本屋の書棚は、単に知りたかったこと以上の「想定外」の情報に出会える、すばらしい

装置なのです。「書棚を旅するようにめぐる」「買った本は、べつに読まなくてもいい」など、

人生を面白くするための、本と本屋の使い方を大公開!


Amazonでほとんどの本が買える時代だからこその「本屋との付き合い方」

著者は、『本屋大賞』の立ち上げにも関わってきた広告業界の方です。


 なぜ、本屋に行くのか?

 探すべき本が決まっているとき、アマゾンなどのネット書店は非常に便利です。しかし、なんとなくおもしろい本が欲しい、あるいはもっと漠然と、なにか新しいことに触れたいというときは、ネット書店よりもリアル書店、つまり普通の本屋のほうに利があります。

 なぜなら、本屋に行くと「想定外の情報との出会い」があるからです。ここがネット書店との大きな違いです。「想定外」というと、別にそんなものは必要ない、求めている情報が手に入ればいいと思われるかもしれません。しかし、その想定外の情報こそ、実は自分の求めていた情報であったり、意外にも役に立つ情報であったりするのです。

著者は、巻末の対談のなかで、こんなふうに仰っています。

嶋:いい本屋って、自分の買い物概念を崩されてしまう本屋だと思うんです。買いたい本が決まっている時はネット書店は便利。けれど、人間って知りたいもののうち、言語化できるもの、つまりネットで検索できる欲しい本って、5%しかないんだって。残り95%の具現化できない欲しいものが、あたかも待っていたかのようにある本屋は最高だと思う。かつ、店が小さい方がよりキャラクターが出るんだよね。図書館のように情報がぎっしり詰まった大型店も好きだけど、”アンダー20坪書店”が面白いよね。


これは僕にもわかります。

本屋をブラブラしていると、「あっ、こんな本があったんだ!」と、意外な出会いがあるのです。

というか、そこで出会ってはじめて「自分はこんな本が読みたかった!」と感じることもあります。

いやまあ、実際に買ってみて読んでみると「当たり」だったり、そうじゃなかったりしますが、積みっぱなしになって、「なんであのとき、この本を欲しいと思ったんだろうな……」なんてことも少なからずあるんですけどね。


でもまあ、「自分が読みたい本って、意外と自分でもよくわかっていない」というのは、たしかにそうだよなあ、と。

そして、「あまり大きすぎない書店」のほうが、たしかに、自分と波長があった場合に、「こんなに小さな書店なのに、なんでこんなにたくさん買いたい本が並んでいるんだ……」と嬉しくなることが多いんですよね。

大型書店は「なんでもある」のがわかっているけれど、そんなに大きな書店では「この本を選んで並べている人の顔」を、ちょっと思い浮かべてしまうこともありますし。

ああ、この書店員さんとは、友達になれるかもしれない、なんて。

逆に「これで『うずくまって泣く』わけねーだろ!」って言いたくなることもありますが。


ただ、この本を読んでいると「こういうことは、本好き、書店好きはもうすでに実行しているだろうし、本が嫌いな人には、ハードルが高すぎるだろうな」という気もするのです。

広告業界の人にとっては「知らない本との出会いによる化学反応」に大きなメリットがあるかもしれませんが、「クリエイティブな仕事」ではない人にとっては、仕事に役立つってことも、あまりないでしょうし。


僕は本が大好きですが、正直、「万人にとって、本を読むのが幸せなことなのだ」と言いきれるほど、自分の人生に自信もありませんし……

本を読むのは僕にとっては楽しいけど、他人にオススメして、こんなになっちゃったら申し訳ないし……とか。


 また、同じ本屋であっても、棚のつくり方によって日々変わっていくという話をしましたが、まさにそれを体現しているのが、東京・千駄木往来堂書店です。 

 ここは入ったところの本棚で「今日は何の日」というものをやっていて、「力道山が生まれた日」だと、柔道家の木村政彦力道山についての本に加えて、力道山が刺された赤坂の「ニューラテンクォーター」というナイトクラブの支配人の話とか、自民党の大野伴睦(日本プロレス教会のコミッショナーを務めていた)の話の本とか、そのときその場に行かなければ出会えないような本があったり、「マヨネーズの日」だと、マヨネーズをメインにしたレシピ本などが置いてあったりする。

 普段は絶対にマヨネーズの料理本なんて見たり探したりすることなんかないでしょう。そもそも、そんなに売れるとも思えない本が、メインの棚に並んでいる。まるで、AKBのセンターを決めるじゃんけんで、名前も顔も知らないポッと出てきた子が勝ってしまったかのような違和感と驚きがあります。

ああ、この書店だったら、毎日ちょっと覗いてみたくなるよなあ。

こういう面白そうな「オススメ書店」がたくさん紹介されているのは役立ちそうなのですが、ほとんどが「都心」なので……

まあ、しょうがないといえば、しょうがないのですが……


これを読みながら、逆に「Amazonで、いきなり面白い本を見つける方法」なんていうのが、次の題材として良いのではないかな、と考えてしまいました。


最後に、著者の「読書術」のなかで、興味深かったものを御紹介しておきます。

 そんなに本をたくさん買っても読みきれない、と思うかもしれません。でも、結論からいってしまえば、読まなくていいのです。

積ん読」という言葉があります。文字どおり、買った本を読まないでそのまま書棚や机の上に積んでおくことです。この「積ん読」状態に罪悪感を覚える人が多いようですが、私にはそれが信じられません。罪の意識を感じる必要なんて、まったくないからです。

 先ほど、その情報を知りたかった自分をマーキングするために本を買え、といいました。ならばそうやって買った本が積まれた状況は、自分が知りたいことや欲求の鏡だといえます。それが目に入るところにあって、日常的にざっと眺めるだけでも、相当な知的刺激になります。

 その日、天文学とジャズの本両方を欲しかった自分がいる。それをそのまま残しておくことがいいのです。

 積ん読を否定的にとらえることはありません。積ん読しておくことは、ほうっておいているように見えて、実はすごく意味のあることなのです。

 まず、本は全部読む必要なんてありません。

 基本的に本は、最初に大切なことや結論が書いてあります。「はじめに」とか第一章を読めば、著者のいいたいことは大体わかります。ですから、そこだけ読んで終了でもいいのです。

 ヌーベルバーグの旗手として知られるフランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダール曰く「映画は15分だけみればわかる」そうです。実際、ゴダールは冒頭の15分を見ると、映画館を出て次の映画を見にいっていたといいます。

 読書においても、このゴダール的手法は使えます。永江朗さんはこれを「ゴダール式読書術」と呼んでいます。初めの数ページを読んで、著者が何をいいたいのか、とか何について書かれた本なのかがわかったらパタンと本を閉じて、次の本に向かう。それで全然かまいません。

 本は全部読まなければならない、という先入観さえ捨ててしまえば、たしかに、このほうが「効率的」ではあります。

 「要点」をさまざまな例を挙げて、繰り返し語っている本も、けっこう多いですし。

 それにしても、ゴダールさん、本当にそんなふうに映画を観ていたのか……

 すごくせっかちだったのか、飽きっぽかったのか、それで「わかってしまっていた」のか。

 本も映画も「つかみは大事」だとも言えますよね。


 少なくとも「こういう読みかたでも良いんだ」と思っていれば、本を読むのも気軽になりそうですよね。

 「全部読む」のも難しいけれど、「途中で読むのをやめてしまう」というのも、けっこう勇気がいることではあるのですが。

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