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載せたいけど載せられないジレンマも──「インターネット歴史年表」制作の裏側

本日(2013年9月6日)、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)より、「インターネット歴史年表」が正式公開されました。

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正式公開された「インターネット歴史年表」。カテゴリごとに「表示」「非表示」を切り替えることもできる。

これは、1958年2月の「ARPA発足」から、2013年6月3日の「IPv4アドレスの国際移転開始」まで、50有余年に渡るインターネットの流れを、インターネット資源管理の歴史を中心に、年表という形で整理したものです。リファレンス資料として利便性があるのは言うまでもありませんが、個人的に「自分のインターネット史」を重ねてみるという楽しみ方もあるでしょう。

この、非常に有意義で、かつ楽しそうなものが、どのようにして制作されたのか、JPNICさんを訪ねてお話を伺ってきました。

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JPNICの根津さん(左)と是枝さん。お二人も「インターネット歴史年表」の制作を担当。

対応していただいたのは、インターネット推進部 課長の根津 智子さんと、同政策担当/広報担当の是枝 祐さん。以下のカギカッコ内は、お二人のご発言をまとめて再構成したものです(お二人に確認していただきました)。

正式版ではカテゴリを追加し、英語版も用意

──インターネット歴史年表は、何人ぐらいで制作されているのですか?

「この『インターネット歴史年表』は、私たちの内部の4人のチームで作っています。サイトのプラットフォームの部分は作ってもらったのですが、データというか、中身はすべて、外注とかはしてなくて、すべて(JPNIC内のメンバーで)内製しています。4人のそれぞれが別に本来の業務を抱えながらの作業なので、大変でした。ただ、以前から歴史に関する資料の収集活動を行っており、そこからある程度、流用できた部分もあったため、年表自体の作成にかかった期間は、下調べのような準備期間を入れて、だいたい1年ぐらいです」。

──ベータ版を公開してみて、どうでした?

「6月中旬にベータ版を公開したところ、思ったより反響があり……。当初、私たちは、そこまで反響があるとは思っていませんでしたので(笑)。FacebookやTwitterで、みなさんが取り上げてくださり、コメントも100件ちょっといただきました」。

──ベータ版から変更になったのは、どういったところでしょう?

「カテゴリが、ベータ版のときは、どちらかというとJPNICの視点が中心でした。しかし、年表としてまとめてみると、言い切れてないところがあるよね、という話が出てきて、今回、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)さんのご協力もいただいて、『セキュリティ』というカテゴリを追加しました。また、インターネットの発展にともなって、法律面が整備されてきたという面もあるので、『法制度』というカテゴリも追加しました」。

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「インターネット歴史年表」の英語版として公開された、「The Internet Timeline」。

──英語版も用意されましたね。

「日本のインターネットの状況が、海外の人からはまったく分からないという声を、結構、いろんなところからいただくので、今回、正式公開に合わせて英語版を用意しました。これ、本当に、泣きそうになりながら、死にそうになりながらの作業でした……(笑)」。

「現状は、基本的に、日本語版を英語に訳しただけです。それだと伝わりにくいかなという思いもありながら、それでも見ていただけるのかなと。少しでも、皆さんのお役に立てればいいなと思っているのですが」。

──「歴史年表」を制作するに当たって、苦労された点は?

「歴史を遡っていくと、自分たちでは経験していないことも多いので、実感が持てなくてよく分からないということもあります。それから、何を載せるべきかという部分でも、だいぶ悩みました。最後は私たちの主観ですが、人によっては違う選択があるでしょうから、そこが難しいところです。また、『あった』ことはだいたい分かっているけれども、日時を特定できないものや、カテゴリ的に分類が難しいものなどは、年表という性格上、載せられませんでした。これも大きなジレンマでした」。

──ベータ版に対する要望などはありました?

「一番多かったのは『これが載ってない』『あれも載ってない』というものでした。たとえば『YouTubeは載っているけど、ニコニコ動画が載ってない』とか、『ウルティマオンラインは?』『iモードは?』みたいな感じで(笑)。先ほども申しましたが、どれを載せるかの取捨選択は本当に難しいところでした。あとは『日付が違うよ』とか、『それなら、こちらを載せたほうがいいよ』ということを、歴史に立ち会った御本人からいただいたりもして、本当にありがたかったです」。

歴史資料の収集は続けていきます

──そもそも、「インターネットの歴史年表」を作られることになった経緯は?

「2007年から2009年ぐらいにかけて、日本のインターネット史に重要な足跡を残された方々が、相次いで鬼籍に入られるということがありました。また、黎明期からやってこられた方々の中には、すでにだいぶご高齢になられている方もいらっしゃるという状況もあって『これまでのことを、きちんとまとめておかないといけないよね』という声を、いろんなところから、たくさん聞くようになりました」。

「また、インターネットの資源管理を使命としているJPNICとしての問題意識もあります。インターネットの有限な資源を適切に管理するというJPNICの活動を、これからも公平、透明な形で続けていくためにも、これまでの流れをきちんとまとめて、広く知ってもらうことは大事なのかなと。私たちとしては、インターネットの根幹としてすごく大事な活動だと思っていますが、一般の人にはあまり馴染みがないことだと思うので」。

「そうしたことを受けて、まずは、資料の収集から始めました。その後、『JPNIC歴史編纂委員会』が作られ、その実際の活動として、JPNICやJPRSのメンバーなどからなるワーキンググループが、2週間に1回ぐらいのペースでミーティングを重ねています」。

「最初は、オンラインの資料館のようなものが作れたら、と考えていました。ただ、資料をそのまま公開するのは、著作権などの問題もあって難しいので、まずは年表という形で整理しよう、ということになったわけです。また、この『歴史年表』のほかに、資料を収集して本にまとめるという活動もしています」。

──今後は?

「『インターネットの歴史年表』の内容は、今後もアップデートしていきます。また、インターネットの歴史資料の収集も続けていきますので、ご協力いただけるとありがたいです」。

「『Internet Week 2013』(主催:JPNIC、会期:11月26日~29日)では、この『インターネット歴史年表』を印刷して貼り出して、そこへみんなに書き込んでもらう、という展示をやろうと考えています」。

(了)

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