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20年後の不動産のカタチ

さまざまなビジネスに囲まれながら不動産の仕事を長年していて思うことがあります。それは不動産ビジネスが尚も古いビジネススタイルから離脱できないということであります。

不動産といえば住宅やマンションなどの居住用不動産を思い浮かべるかと思います。そしてその取引形態は所有権売買が中心であります。つまり不動産に対する所有意識が高いということです。しかし、所有することには不自由もあります。まず、所有するコストがかかること、管理もしなくてはいけません、そして売りたい時に売りたい金額で売れる保証はありません。

我々を取り巻く世界は所有から借りる、シェアをするという形態に大きく変わってきています。コンピューターのソフトウェアは所有するダウンロードから借りるクラウドに変わってきています。理由は最新版に常にアクセスできること、自分でソフトやデータを管理しなくてよいことなどがあげられます。

最近ではゲームもクラウド化する動きが出てきています。つまり、ソフトを店舗で買ってくるスタイルはもはや、古くなりつつあるということです。

車の世界はどうでしょうか?東京ではちょっと歩けばカーシェアリングの看板を見かけます。住宅街にある5台か10台しか停められない駐車場にもカーシェアリングが組み込まれています。だから所有せずにちょいとその車に乗って出かければ保管中の駐車場代も心配ないのです。

不動産の世界で最近、目覚しく変化が起きているとすればそれは高齢者の終末ライフの過ごし方かもしれません。いつ病気になるかわからない不安を抱えながらもお一人様で生活する高齢者は増える一方です。古い木造二階建ての戸建てもいつか二階に上がる力がなくなり、一階の居間だけで生活している人の数は相当に上ります。

そして子供たちが面倒を見ることも徐々に少なくなってきました。それは同居できるほど広くないという物理的問題もありますし、ライフスタイルや勤務先の問題もあるでしょう。結果として愛着ある家を出てホームのお世話になる人は今後更に増えるはずです。

一方、若者に眼を向けてみると非正規雇用が三分の一を越える中、住宅を買うハードルは更に上がっています。金利がどれだけ安くても銀行の審査は厳しいのです。

私は不動産を所有するというライフスタイルは着実に変わると見ています。つまり、不動産を持ち、業とする者と不動産を借りる人の構図です。それを格差と称するとしたらそれは穿った見方で、借りる人がそのライフスタイルに合わせてサイズを大きくしたり小さくしたりすることでもっと楽しい生活を享受できるはずです。

持てない人の老後はどうなるのか、という質問は当然あるでしょう。ですが、日本には既に世帯数を大きく上回る住宅が存在します。日本の総世帯数は2010年で5195万世帯、それに対して住宅の戸数は2008年で5758万軒存在します。そして住宅戸数は年間80万から100万戸新規供給される一方で人口は減っているのです。これが意味するのはボトムラインでは住宅は飽和しているのだけど消費側の需要と存在する不動産の供給が不一致であるということなのです。ならば、存在する不動産を供給のニーズに合わせる努力をすればよいというのが答えになり、そこでは安価な「目的住宅」を供給する仕組みが作れるはずです。

日本人は所有する概念が非常に強い人種です。江戸時代に商人は商店を、農民は農地を所有していたのです。ところが所有する概念そのものが地球規模で崩れてきた今、日本の不動産も姿を変えて世の中に提供される時は必ず来ると見ています。

既存の概念はきっかけしだいで案外、簡単に崩れ去るものです。

今日はこのぐらいにしましょう。

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