宮崎監督の引退については、海外のメディアからも注目を集めており、"会見まで質問は一切受け付けない"としていたことから、会見場には各国から多くの報道陣が詰めかけた。進行は星野社長、壇上には鈴木敏夫プロデューサーも同席。会見の冒頭、宮崎監督は「"公式引退の辞"をお渡ししてありますので」と、質疑応答をスタートさせた。
子どもたち、韓国のファンへ「作品を見て下さい」
「僕は何度もやめるといって騒ぎを起こしてきた人間なので、どうせまただろうと思われてると思うんですけど、今回は本気です(笑)」と、引退の意志が堅いことを改めて表明。脚本家としての参加、他の監督の作品の監修やアドバイス、ナウシカの続編についても「一切ありません」と断言。"子どもたちへのメッセージ"をとの求めにも、「そんなにかっこいいことは言えませんが、何かの機会があったら、私達が作ってきた映画を見れば何かかわかるかもしれません。それにとどめさせてください」と述べるにとどまった。また、最後の作品となった「風立ちぬ」についての質問も相次いだ。「"破滅に向かって行く時代"を舞台にした「風立ちぬ」を製作することについて、私の家族からも、自分自身からもスタッフからも疑問が出ました。それにどういう風に答えるかで作りました。映画を見ないで論じても始まらない思いますので、是非お金を払って見ていただけると(笑)」と述べた。作品への批判の声もあがっているという韓国のメディアからの質問にも、「映画を見ていただければ、わかると思っていますので(笑)。いろんな言葉にだまされないで、今度の映画も見ていただけたらと思います。」と答えた。
鈴木P「今回は本気だなと思った」
「今回は本気だなと感じざるを得なかった。」という鈴木プロデューサーは、宮崎監督の引退をスタジオジブリのスタッフには8月5日に伝えたといい、「始まったものは必ず終わりがくると思います。僕の立場で言えば、落ちぶれて引退するというのは格好悪いと思ってりおりましたんで、「風立ちぬ」がいろんな方に支持されているときにこういうことを決めたというのは、良かったんじゃないかなと思っております。」と述べた。今後については未定?
「車が運転できる限りはアトリエに通うが、今は休息の時期。そのうちにやりたいことも出てくると思うが、今の段階では約束すると破ることになるから」と。今後の活動はほとんど決まっていないようだ。スタジオジブリでは、来年の夏に向けて新作を準備しているというが、その作品にも宮崎監督は関わっていないとみられる。一時間半に及ぶ会見の最後、宮崎監督は「本当に長い間お世話になりました。もう二度とこういうことは無いと思いますので、ありがとうございました」と笑顔で締めくくった。