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リニア中央新幹線 日本を変える一大技術

国民生活や経済活動にインパクト

14年後に東京―名古屋間での開業をめざすリニア中央新幹線で、新型車両による本格的な走行試験が始まった。

最高速度が時速500キロという新型車両は、完成すれば品川―名古屋間を40分で結ぶ。技術大国日本の象徴となるとともに、日本社会に及ぼす影響力は計り知れない。

新型車両は、営業車両の原型であり、実用化にあと一歩のところまで来ている。

JR東海は現在、開業ルートの1都6県で地質や騒音対策の必要性など環境影響評価を進めている。この秋には、調査結果を公表、詳しいルートや駅の場所を示し、来年度の着工をめざす。

リニア中央新幹線の開発は50年前から取り組まれてきた一大事業だ。実用化すれば、海外の高速鉄道の新しいモデルとなることは間違いない。

世界では高速鉄道の需要は高まっている。2005~07年平均で16兆円だった市場規模は、20年には22兆円になると見込まれている。

この中で、日本は東海道新幹線に代表される「新幹線方式」の海外売り込みを精力的に展開している。07年に台湾の高速鉄道開業で初めて採用されたのをはじめ、インドや英国ロンドンなどでも、高速鉄道への新幹線方式の導入に向けて、売り込みが前進している。

しかし、世界における日本のシェアは10%程度でしかなく、全体の半分を欧米企業に占められている。リニア中央新幹線の開発は、日本の劣勢を巻き返す格好のチャンスでもある。

計画によると、45年までに大阪までの延伸が検討されている。三大都市圏が、約1時間で結ばれる影響は非常に大きい。開業に至れば三大都市圏が、約7000万人の人口を抱える一つの巨大都市圏のようになる、と考えられないでもない。

国民生活や経済活動にインパクトをもたらすだろう。

国土交通省の交通政策審議会の分析では、利便性向上を貨幣価値に換算した「便益」は、東京―大阪間の開業時点で年間7100億円に上る。さらに、移動時間の短縮による生産コストの効率化や旅行関連の消費の拡大などで、全国の生産額が年間8700億円増加すると推計される。

防災面で果たす役割も大きい。リニア中央新幹線は、東海道新幹線よりも内陸側を通るため、東海地震が発生した際の迂回ルートともなる。

二重三重の効果を生む夢のプロジェクトであるだけに、ぜひ実用化を成功させてもらいたい。

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