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報道番組と集団的自衛権など

 石破 茂 です。
 
 もう明日で八月も終わりです。
 久しぶりに夏休みを頂いてはみたものの、「公務や党務が少ない」というだけで、取り立てて何処に行くわけでもなく、地元での初盆参りや終戦記念日関連行事、やや本格的な健康検診、書類整理などで終わってしまいました。
 新幹線や飛行機など家族と一緒に乗ろうものなら、指はさされるわ、ひそひそ「自民党幹事長だ…」と囁かれるわ。公人だから当然でしょ、相手にされなくなったらお終いさ、とはわかっているものの、心安らぐことはありません。外国要人のように広大な別荘でもあればよいのですが、とてもそのような財力もありませんし、まあ、これも仕方がないのかな、と半ば諦めの境地のまま九月を迎えます。

 昨夜、集団的自衛権をテーマとしてテレビ朝日の「報道ステーション」に出演致しました。
 事前に予想していたことではありますが、議論は全く噛み合わず、報道の理解の浅さにはただただ嘆息するしかありませんでした。
 「仮に集団的自衛権を認めた場合、アメリカがシリアを攻撃すれば一緒に戦うのですか?」
という質問が典型です。もしアメリカがそのように行動しても、アメリカがシリアに攻撃をされたわけではないのですから、これはそもそも自衛権に基づく行動ではありません。
 強いて考えるとすれば、米英から武力攻撃を受けたシリアが個別的自衛権を行使し、日本に対して救援の要請をして、日本がそれに応える形で集団的自衛権で米英と戦う、という全くあり得ないケースしかありません。
 「それを聞いて安心しました!」
と古館氏が述べていましたが、あり得ないことを問われてそう言われてもねえ…という感じで、まさに前途遼遠と言う他はありません。
 しかし何としてもこれにチャレンジし、成果を得なくてはならないと気を取り直しております。

 映画「終戦のエンペラー」をご覧になった方はどれほどいらっしゃるのでしょうか。
 感想は人によってそれぞれ違うのでしょうが、私はいかに先帝陛下が立派なお方であられたのかが伝わってくる作品だと素直に思いました。
 畏れ多いことではありますが、先帝陛下、今上陛下のお心を我々はもっと深く静かに考えるべきなのだと強く思います。議員会館や自民党本部前などで日章旗を掲げて演説しておられる方々をときどき見かけますが、あのように声高に叫ばれることがどれだけ人の心に訴えるものなのか、私にはよくわかりません。痛惜や憤怒の念をストレートにぶつけることもまた意味のあることなのでしょうが、それだけでは世の中は変わっていかないように思います。
 他国を罵詈雑言をもって非難、軽侮することも、互いに自制する心を持たなくてはなりません。それはこちらが卑屈になることを意味するものではなく、相手の言い分を是とするものでもなく、むしろ静かに対応しつつも、安全保障環境を冷静に分析し、実運用・統合運用を念頭に置いた防衛装備を充実させ、法律を早急に整備することによって拒否的抑止力を着実に高めていくことの方がよほど重要であると私は考えております。

 異常気象続きであったこの夏もまた過ぎ去ろうとしています。
 夏の終わりに感じる寂寥感と焦燥感が今年は特に強いようです。

 お元気で週末をお過ごしくださいませ。

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