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米軍を「座り込み」で止められるか? 映画『標的の村』が描き出す「もうひとつの沖縄」

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かつては沖縄県民に「ゲリラ役」をさせる訓練も

映画ではそんな状況から、「自分たちや集落が訓練の目標物、つまり標的にされているのではないか」という地区住民たちの声を取り上げている。タイトル『標的の村』は、そんな状況を伝えるためのものだという。

まさかと思うような話だ。しかし、まるでそれを裏付けるかのような訓練がベトナム戦争中に行われていた。1960年代、この北部訓練場内に設置された「ベトナム村」という訓練施設で、地区住民が実際に「南ベトナム人」の役をさせられ、訓練に協力させられていた実態があったというのだ。

この「ベトナム村」での訓練の様子は、米軍撮影の資料で確認できる。笠を被り、黒い服を着た「住民」が米兵に倒され、身体検査を受ける映像だ。また、当時の地元紙によると、乳幼児も含めた高江の住民約20人が訓練に駆り出されたという。映画ではこの記事を書いた記者や、実際に訓練に参加した元兵士にもインタビューを行っている。

ひとり一人が声を上げていくことが大事

映画『標的の村』では、昨年9月末、身体を張って普天間へのオスプレイ配備を阻止しようと、激しく抗議した沖縄県民の姿も取り上げている。基地のフェンス前に座り込み、人間の鎖で抵抗し、警官らに排除される彼らの姿は、多くの点で高江のヘリパッド建設反対運動に通じるところがある。現状に対する強い怒りと悲しみも、おそらく共通だろう。

伊佐さんは「この映画は全国で上映される。沖縄に対して今どんなことが行われているのかや、国が訴訟で住民運動を押さえ込むことの問題点を知ってほしい。安保や地位協定、基地問題についても、全国レベルで考えるきっかけになってほしい」と期待する。

安次嶺さんも「ひとり一人が声を上げていくことが大事だ。高江のヘリパッド工事はやろうと思えば半年で終わる内容だが、6年間座りこみを続けたおかげで、いまだに1個しかできていない。基地問題は、今日明日に解決するわけではないが、地道に声を上げて知らせていきたい」と話していた。

高江の「座りこみ」はいまも続いている。彼らがどうしてそこまでの活動を維持できるのか、そのエネルギーの源がどこにあるのかは、この映画でも垣間見ることができる。今後、基地問題を考えるときには、こうした地元の思いもしっかりと踏まえたうえでの議論が必須と言えそうだ。

映画『標的の村』は現在、東京都中野区の劇場「ポレポレ東中野」で上映されている。今後、大阪など全国で順次上映される予定だ。

■関連リンク
『標的の村』公式サイト

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