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映画「風立ちぬ」と堀越二郎

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(堀越次郎著「零戦 その誕生と栄光の記録」 、角川文庫、アマゾンHPより転載。)

 このブログを読んでいただくとお分かりのように、私たち政治家には夏休みはありません。

 国会閉会中は、地元での政治活動の日々です。盆踊りに行って、有権者の皆さんに、お叱りを受けるのもれっきとした政治活動です。

 ですから、サラリーマン時代、映画やコンサート大好きだった私でも、なかなか映画はぜいたくなものになってしまいました。

 しかし、映画や音楽は、その時代の国民の関心やムードを反映していますから、感受性をみがくためにも、本来、政治家こそ親しむべきものです。、、、、という言い訳で、何とか時間をやりくりして、宮崎駿監督の「風立ちぬ」を観てきました。

 国際線の飛行機の中での映画鑑賞以外に、映画館に行って映画を観るのは、本当に久しぶりでした。

 大きなスクリーンで観る映画は格別ですね。

 宮崎監督の映画は、ほとんど観ていますが、ファンタジーではなく、昭和の時代をリアルに映し出す描写はさすがです。もちろん、主人公の夢の中で、得意なファンタジーはいっぱい出てきますが、、、。

 反戦映画かどうか、議論はありますが、基本はラブストーリーだと思いました。

 ただし、フイナーレのメッセージは明らかに反戦ですし、宮崎監督自身もそう言っておられます。

 「あの戦争は、いったい何だったのか?」

 美しい飛行機をつくることが目標だった技術者堀越二郎が、戦闘機をつくらざるを得ない中で、技術者としての最善を尽くして迎える敗戦。

 現実の堀越二郎は戦後も生き続け、1970年に「零戦 その誕生と栄光の記録」という本を世に問うています。

 その著書の中で、終戦の詔勅を聞いて、「『これで私が半生をこめた仕事は終わった。』と思った。」堀越は、「日本の国はなんと愚かしい歩みをしたことか。愚かしいのは、日本だけではなかったかもしれない。しかし、とくに日本はこれで何百万という尊い人命と、国民の長年にわたる努力と蓄積をむなしくした。一口に言えば、指導層の思慮と責任感の不足にもとづく政治の貧困からであった。いまこそ、『誠心英知の政治家出でよ。』と私は願った。」と綴っています。

 自民党の堀内光雄元代議士は、近著「『靖国』と『千鳥ヶ淵』を考える」(祥伝社新書、2013年8月)で、8月15日の半年前に戦争を終結させていれば、戦争による死者310万人の内100万人の命が救えたことを指摘し、「ほんとうに、なぜはやく戦争を終結させることができなかったのだろうか。戦後の日本国民が、東京裁判とは別に、自らの手で戦争指導者を糾弾してこなかったことが信じられない。」と書いています。

 航空技師の堀越も、「少年H」(妹尾河童著、新潮文庫,、2000年12月)の洋服仕立て職人の父も子も、アメリカと戦争して勝てるわけはないと思っていました。

 それなのに、当時の日本が戦争に突入し、敗戦濃厚にもかかわらず戦争終結が遅れたのか、私たち一人ひとりが冷静に考えてみるべきではないでしょうか。

 「ABCD包囲網でやむを得ず立ち上がらなければならなかったのだ。」というような正当化をせずに、歴史のイフを考えれば、何度も、違う路線はあり得たはずです。

 「零戦 その誕生と栄光の記録」は今、角川文庫で簡単に読めます。「少年H」も上映されています。

 このブログでも触れた百田尚樹著「永遠のゼロ」も映画化されますが、この小説も戦争指導層の無能と無責任をわかりやすく描いています。

 この夏を、歴史を振り返る、より良い機会にしたいものです。特に私たち政治家は肝に銘じて。
 

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