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山本最高裁判事の発言に苛立つ菅官房長官 戦争国家が作れないよ〜

憲法解釈の「変更」によって、安倍自民党が解釈改憲へ大きく舵を切り、集団的自衛権行使容認へと踏み切ろうとしています。
内閣法制局の恣意的人事 ナチスの手口に学べ!

 これに対し、前内閣法制局長官で最高裁の山本庸幸判事(63)が憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に異議を述べています。
「私自身は従来の解釈を変えることは難しいと思う。実現するなら憲法改正が適切だ」(毎日新聞2013年8月20日
 その要旨は、安倍自民党が目指す解釈改憲に対する批判そのものです。
 政府見解は、これまで集団的自衛権行使は憲法上、許さないという見解を取ってきたにも関わらず、その解釈を変更してして集団的自衛権行使は憲法上、許されるというのは憲法の存在そのものの否定です。
 そのような解釈改憲がまかり通るようでは法の支配の否定なのです。憲法によって国家権力を縛るのが法の支配ですから、内閣という行政機関がその解釈を変更して好きにできるというのであれば、法の支配を真っ向から否定することになります。

 山本最高裁判事の発言は、とても当たり前の原理を述べているに過ぎません。

 しかし、このような発言は、解釈改憲を実現し、世界各地で展開されてる米軍主導の戦争に加担しようという安倍自民党の思惑に真っ向から反することになります。
 憲法「改正」によって国防軍創設を声高に叫んでいたにもかかわらず、参議院選挙では安倍自民党は実質的な争点にもできませんでした。国民が憲法「改正」に否定的な声が強いという現実にぶち当たったからです。
 それ故に今度は解釈改憲によって集団的自衛権行使をまずは認めさせ、これを実現する方向に重点をシフトさせているのです。

 しかし、日本国政府(歴代自民党政権)は、専守防衛と言ってきたのです。
 専守防衛であれば日本に対する侵略に対する防衛という位置づけです。
 これとは全く異なる概念が集団的自衛権の行使です。
 日本と交戦状態にない外国に対しても米国が戦争を始めれば、米国に加担して戦争を開始する、これが集団的自衛権行使ですから、安倍自民党政権は、専守防衛とは全く次元の異なる戦争をしたいということなのです。

 集団的自衛権などという言い方をするからわかりづらいのです。安倍自民党政権が目指す集団的自衛権の行使とは次の意味です。

 集団的自衛権行使 = 日本とは関係のない国に行って米国が主導する戦争に日本も加担して戦争をしてくるということ。

 2003年にイラクに自衛隊を派兵したときも、この問題にぶち当たりました。後方支援に限定していたのは戦闘地域に自衛隊を展開させた場合には、どう考えても「専守防衛」の壁を越えてしまうからです。
 日本国憲法は、このような行為を禁じ、実際にも国の行動を縛るという意味では機能していたのです。

 これを解釈改憲によって変更してしまうというのは憲法の否定そのものであるし、だからこそ、山本判事は憲法の改正が必要だと発言しているのです。

 この山本判事の発言に対し、「菅義偉官房長官は21日の記者会見で、前内閣法制局長官で最高裁の山本庸幸判事(63)が憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に異議を唱えたことについて「合憲性の最終判断を行う最高裁判事が公の場で憲法改正の必要性にまで言及したことに非常に違和感を感じる」と批判」しています。(毎日新聞2013年8月21日
 しかし、いかにも筋の悪い批判です。
 何故、山本判事の発言が、「合憲性の最終判断を行う最高裁判事が公の場で憲法改正の必要性にまで言及したことに非常に違和感を感じる」という理解に結びつくのでしょうか。
 この菅氏の発言だけをみると、最高裁判事が憲法改正が必要という極めて政治的発言をしているように見えてしまいますが、全く主旨が違います。
 憲法を改正しない限り、集団的自衛権行使は容認されない、という点です。

 菅氏にとっては、この点が気に入らないことは明らかです。
 安倍自民党にとっても憲法「改正」は非常にハードルの高いもので、集団的自衛権行使のために憲法「改正」が必要となった場合には、事実上、集団的自衛権行使は不可能になります。
 菅氏のこの発言は、安倍自民党政権の苛立ちを示したものです。

 憲法の解釈権は、菅氏も認めるとおり、「憲法解釈は最高裁の判例を通じて最終確定する」のです。内閣に解釈権限(内容を確定させる意味での権限)はありません。
「確定までの間に憲法解釈を行う場合、内閣法制局の専門的知見を生かしながら第一義的には内閣が行うもの」と指摘。内閣に憲法解釈の権限があるとの考えを強調した。」というのも詭弁です。
 行政庁に立法解釈を聞いて見るとよくわかりますが、最終的な解釈権は裁判所にありますからと必ずのように念押しされます。そのような意味での解釈権限は行政側にはないのです。
 第一義的に行政の現場で法解釈が行われていることはその通りですが、だからといって好き勝手に解釈してよいということではありません。
 今回の問題は、従来、自分たちが「専門的知見」によって構築してきた解釈を自分たちで変更してしまえ、ということなのですから、どう考えても行政としての姿勢が問われているのであり、このような一般論ですり替えるような主張はすり替えの論理そのものです。
 あくまで行政庁が行う解釈は恣意的であってはならず、裁判所がどのような判断をするのかを見据えて行われるべきものですから、この点からも菅氏の発言は明らかな誤りであり、すり替えなのです。

 安倍自民党のこのような無理筋な解釈改憲を行おうとする姿勢は明白です。
 戦争ができる国家作りの第一歩。それが解釈改憲なのです。
憲法9条こそ守らなければならい 侵略されたどうする?

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