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中朝国境で見た地方分権とブランディング

先日、夏休みで吉林省・延辺朝鮮族自治洲の中心地延吉に行ってきた。

上海から中国東方航空の直行便で3時間。エアバスA320の機内は満席だった。延吉の近くにある観光地長白山に行く団体観光客が多かった。

僕の乗った便はほぼ定刻出発だったが、別の便で延吉入りする予定だった現地集合の友人たちの便はほぼすべてがディレイ。どうもそれはその日に限って、ではないようだ。「最近、中国国内のダイヤが乱れている」という報告は受けていたが、やはりそのとおりのようだ。とくに北京の空が混雑しているらしい。

また、この上海-延吉便、チケット購入時点では15:40だった出発時刻が、搭乗時には09:00に変更されていた。午後3時40分がいきなり午前9時。しかも前触れなし。僕が購入した「楽旅China」からは連絡がなかった。友人から教えてもらって初めて知った。

延吉は、人口50万人の街とは思えないくらいの大都会で、しかも消費都市。夜は街の主な通り沿いにあるビルにはすべて統一感のあるイルミネーションが輝き、とても中国辺境の街とは思えなかった。ちょっと言うとマカオのようだ。

現地在住の友人やその家族と会い、いろんな話を聞くことができた。

朝鮮民族と漢民族との関係はきわめて微妙なものだった。

この地域に入るとすべての看板類にはハングルと漢字が併記。しかも「必ず」ハングルが先。これがルールだという。企業や行政の組織においてもトップは朝鮮民族でナンバー2が漢民族。徹底してますね、と現地で案内をしてくれた友人に言ったところ「自治区域ですから」。

「自治」で思い出したのが先日行った灼熱の上海でのこと。「40度を超えると工場の操業ができないので大変」という話をしている日本人の方がおられたので「それは中国の法律ですか?」と尋ねたところ、「いや、上海市のルールです。」という答えが返ってきた。どうやら上海市独自ルールとして摂氏40度を超えたら労働者保護のため工場の操業を停止することが決められているようだ。

延吉に住む友人の弟は、デリバリーの会社を始めたと言っていた。宅配をしないレストランやお店でものを買ってそれを自宅や会社に届けるという会社で、宅配会社と出前サービスと便利屋を合わせたようなイメージ。「何か規制がないのですか?」と尋ねたら、「いや、別に、ないです。こういうサービスがあれば便利だなと思って始めてみました。」という返事。実にストレート。

規制緩和や地方分権、中国のほうが先を行っているのかな。

翌日は、国境を流れる図們江の川下りをした。図們市の乗り場からわずか20分くらいの遊覧だが、「実質的には北朝鮮に入り込んでいるのではないか」と思うくらい、対岸の北朝鮮に近いところを通る。ちょうど嘉瀬川や松浦川の中流くらいの、30メートルあるかないかくらいの河幅で、これなら渡りたくなる。

その後、図們大橋という国境の橋の途中の国境線のところまで行った。国境線のところには傘をさした男の人がひとり立っていた。その日はたしかに暑い日だったがその男性、日傘をさしているわけではなく、そこで観光客が越境しないように見張っている管理人だった。そこにいてちゃんと働いているぞ、ということを橋の両側にいる両国の国境警備の人達に見せるためのもの、とのこと。なんにでもいろんな理由はあるものだ。

延吉を含むこの地域。かなり北朝鮮との関係は深い。柳京ホテルというピョンヤンを代表するホテルが経営する朝鮮料理レストランがあり、そこでは料理のほか歌が披露されている。北朝鮮のたばこ「雪景」がある。そのほか北朝鮮製の特産品「へび酒」などもある。

それらについて語られるとき、必ず言われるのが「貴重品ですから」という言葉だ。話を聞くと、それら多くの北朝鮮の嗜好品は正規ルートではなく入ってくるものなので値段が高いとのこと。

ためしにたばこを吸い、へび酒を飲んでみた。「北朝鮮製は貴重で高い」というちょっと不思議なブランディング効果か、なんともいえぬ複雑な味わいだった。

ふるかわ 拝

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